ジェーン・スー/コラムニスト 若者が失敗しても平気な社会を作ることが、大人の責任【後編】

失敗ヒーロー!

2019/09/11
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失敗こそ、本当のチャンス

――ジェーン・スーさんが教育担当だったとした場合、後輩の失敗をどうフォローしますか?

ジェーン・スー:失敗の質によりますよね。悪気がなく不注意ならなにが悪かったかを伝え、ドンマイと励まして、次はどう回避できるか、これをどう挽回するかを話します。その人の失敗とその人の性格を掛け合わせて、伝え方などを工夫しますね。

でも今の若い子たちは、失敗すること自体を恐れているように感じます。就活でSNSのアカウントを出せと言われ、プライベートまで見張られるなんて地獄じゃないですか。失敗しないと学べないことってあると思いますが、失敗が一生挽回できないようなムードがあるのだと思います。

本来なら、ライフハックの方法を教えるのではなく、失敗しても大丈夫な社会を大人が作らないといけないんですよね。今の若者は夢が小さいんじゃなくて、失敗できないと思わせる社会に大人がしてしまったんですから。「就活の時、みんな同じ格好なのは思考停止だ!」と責める人もいるけれど、それはちょっと違うと思います。絶対失敗できない場面で、アンパイを選択するのは当然のことでしょう。

――失敗して誰かに迷惑をかけた場合、どうしたらいいと思いますか?

ジェーン・スー:「ピンチはチャンス」は私にとっては真理でした。でも、ここで周囲からの助けを遠慮して、「自分でできます」と安易に引き受けないほうがいい。失敗したばかりの人の「できます」は一番恐いので(笑)。ごまかさず、素直に本当のことを伝えたほうが、私の場合は事態が好転していきました。先輩の助言を全部聞いて、120%で対処する。自分の失敗で迷惑をかけた人を助けるチャンスは必ずめぐってくるから、その時に手を差し伸べればいいのだと思います。

あとは、とても難しいことですが、失敗したことをクヨクヨ考えない。今は落ち込んでいる場合ではないと、事態を好転させるようにしてきました。全部終わった後に、友達に思いっきり愚痴ってますけどね。

大失敗しても、生きてるから大丈夫

――ジェーン・スーさんご自身は、過去の失敗とどのように向き合ってきましたか?

ジェーン・スー:笑える失敗はたくさんしていますよ。でも、本のなかで中野さんもおっしゃっていますが、すべての選択をあとから自分で正解にするしかない。失敗のままになる可能性は多分にあるなか、正解にしていく努力はしてきたと思います。「ああ、あの時は失敗だと思ったけれど、結果的にはこうしてよかった」となるように。

失敗といえば、もっと早く今のキャリアを始めるべきだったんじゃないか、と考えることもあります。でも、若いころはまだ自分に自信もなかったし、その裏返しで過剰な自意識に振り回されていたし、10年前に始めて上手くいったかといえばそうとも限らないだろうな、と。ちょうど38歳から出てきた謎な人って感じも、時代と合っていたのかもしれません。

――何か失敗をしてしまった時は、どうケアをしていますか?

ジェーン・スー:新卒でレコード会社に勤め始めたばかりの時、ラジオ局の生放送中にスタジオの消火器を倒してしまったことがあったんです。スタジオ内は真っ白になりました。機材はギリギリ大丈夫だったけど、備品とかいろんなものがダメに…。なにせ生放送中ですし、いろんな人に迷惑をかけた。早くもこの仕事を辞めなきゃいけないのかと思い詰めましたね。上司がかばってくれて、なんとかことなきを得たのですが。

それ以外にも、サラッとは喋れないレベルの大失敗がいくつかありますが、すべて自分のベンチマークになっています。あれに比べたら、今のこのミスは大丈夫だと思える(笑)。あんな大きな失敗をしても、今普通に生きてるから大丈夫だと、自分を納得させています。

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