ジェーン・スー/コラムニスト 若者が失敗しても平気な社会を作ることが、大人の責任【後編】

失敗ヒーロー!

2019/09/11
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華々しい成功の裏には、失敗や挫折がある。その失敗エピソードから成功の秘訣をヒモ解く『失敗ヒーロー!』。前編に引き続き、ラジオパーソナリティやコラムニストとして活躍するジェーン・スーさんが登場。今では、ラジオで多くの悩み相談に答えるジェーン・スーさんでも、過去には笑える失敗から笑えない大失敗まで、経験してきたと言います。

ジェーン・スー
1973年生まれ、東京生まれ。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』のラジオパーソナリティを務める他、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。2019年6月には、中野信子氏との共著『女に生まれてモヤってる!』が発売され、女性の生きづらさに関する発言も注目されている。

仕事の価値観を合わせるのは時間のムダ

――平日の5日間、生放送のラジオ番組『ジェーン・スー 生活は踊る』のパーソナリティを務めていらっしゃいます。チームで仕事していく上で、ジェーン・スーさんが気をつけていることはありますか?

ジェーン・スー:ラジオで私は出演する側なので、なるべくスムーズにできるようスタッフが気を遣ってくれています。でも、それが当然だとは思わないように気をつけていますね。スタッフは私を気持ちよく喋らせるのが仕事だから、そうしてくれているだけで、自分に価値があるからだと勘違いしたらダメだと思っています。

――年齢の離れた方と仕事をする機会もあると思いますが、ジェネレーションギャップを感じることはありますか?

ジェーン・スー:意外とないんです。あったとして、理解し合う必要はないと思っています。仕事にどう対峙するかは千差万別。完璧に擦り合わせようとすると、絶対トラブルになります。

私自身は、若干オーバーワークになったとしても、いいものを残せるならがんばりたいタイプ。発注あってこその仕事なので、その結果を次の発注につなげたいからです。会社員時代も比較的そうでした。でも、それぞれ好ましい働き方が異なれば、そのやり方は通用しない。搾取だと嫌悪される場合もあります。その価値観の違いを1ミリの違いもなく擦り合わせるのは無理なんです。

――価値観の違いによるトラブルを防ぐには?

ジェーン・スー:お互いの職務区分を明確にすることですね。その上で、同僚および上司との報連相を徹底する。「これ、ふつう確認するよね?」と自分は思ったとしても、人によってはそうは思わないので。仕事観が合わない人とは特に徹底するようにしています。

――あえて仕事観を合わせる必要はない、と。

ジェーン・スー:合わせようとするのは、時間のムダでしかないですね。傾向の違いは世代によってあるけど、世代が同じでも合う合わないはあります。それをすり合わせするのは、無理だと思うんです。担当区分をしっかり行って、そのなかでのみ付き合えばいい。

ここで役に立つのが、ベティ・L・ハラガンの『ビジネス・ゲーム 誰も教えてくれなかった女性の働き方』という本。原著は1978年に出版されていますが、皮肉にも現代でも十分通用する内容です。そこには「自分の職務内容以外のことは、一切しなくていい」と書いてあります。「自分の職務系統にないことをやって、評価されないことを嘆く人がいる」と本にありますが、私にも「こんなにやっているのに会社は評価してくれない」と思っていた時期がありました。20代のころでしたかね。自分の担当区分以外のことをボランティア精神でやっても、評価されないのがサラリーマンの世界なのだと知らなかったので。自分が手を出さないことで全体のクオリティが落ちたとしても、担当区分以外のことは、ある程度、諦めることが必要。諦めたくないなら独立して、全部自分でやるほうが精神衛生上いいと思います。

安心のできる環境を作ることは、仕事

――他人の仕事を断れない人は、どう対処すべきでしょう?

ジェーン・スー:断る力というより、放置する力が必要だと思います。誰かのやりかけの仕事を全部自分が拾っていくと、周りはラッキーと思うか、気づいていないかのどちらかなんです。手を出さない力を養うことは、私には非常に功を奏しました。いい人、頼りがいのある人と思われたくても、図々しい人には「それ私の仕事じゃないんで」と言って放置する。失礼な人に対して失礼な態度を取っても、私の経験ではたいした問題にはなりませんでした。会社のすべての人とわかり合おうとするのは意味のないことだと理解するのには、少し時間を要しましたが。

――仕事観が合わない人とチームを組まないといけない場合、ジェーン・スーさんはどうしますか?

ジェーン・スー:仕事観が合わない人は、人生観も合わない人だと私は思います。職務区分を徹底してもまっとうな業務遂行が難しかった時は、上司にネゴシエーションして、自分が一緒にやりやすい人と組めるよう動きました。気持ち良く取り組める人とチームを組むだけで効率も上がるし、ストレスも減ります。

――それも仕事の一部と。

ジェーン・スー:一部というより、大きな仕事、主な仕事です。「何をやるかより、誰とやるか」とラジオでもよく言っています。例えば、サラリーマンだったら、ズルしたり手柄を横取りする人とは距離をとったほうがいい。誰と組むかに全力を注ぐようにしていました。上司と合わない場合は、異動や転職も考えます。私たちは奴隷ではないから、よっぽどのことがない限り動けるはずです。異動希望をがんがん出したり、転職活動をしたり。中野信子さんも共著『女に生まれてモヤってる!』で、自分の居心地のいいところにどんどん移動していくことを勧めています。

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