ジェーン・スー/コラムニスト 男女の生きづらさは、背中合わせ【前編】

失敗ヒーロー!

2019/09/10
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華々しい成功の裏には、失敗や挫折がある。その失敗エピソードから成功の秘訣をヒモ解く『失敗ヒーロー!』。今回は、2019年6月に中野信子さんとの共著『女に生まれてモヤッってる!』が注目を集めるジェーン・スーさんが登場。対立で語られがちな男女の関係も、「男女の生きづらさは、背中合わせ」と言います。まずは「〇〇らしさ」への違和感についてのお話からスタート。

ジェーン・スー
1973年生まれ、東京出身の日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』パーソナリティ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。最新刊に中野信子氏との共著『女に生まれてモヤってる!』(小学館)がある。

女性らしさに擬態しても“砂漠”だった

――中野信子さんとの共著『女に生まれてモヤってる!』も話題になっています。まずは、ジェーン・スーさんご自身が「女性らしさ」というものをどう感じてきたのか、過去を振り返って教えてください。

ジェーン・スー:私は、世の中が無意識・無自覚に「女性らしさ」を期待していることに、気づくのが本当に遅かったんです。昔から学級委員をやったりと仕切るタイプで、世間一般でいう女らしさとは遠いところで生きてきたはず。そんな私でも自分らしくあろうとすると、後ろめたさを感じてしまうことがありました。それは、女らしさに自分を縛っていたからだなと、今思えばわかります。もし20代で気づけていたら、悩む時間はもっと少なくて済んだのかな、と。ちゃんとその事実に気づいたのは30代後半になってからですね。

――『女に生まれてモヤってる!』を読んで初めて、これまで感じていたモヤモヤの正体がわかったという声も多数ありますね。

ジェーン・スー:それだけ無意識的なものなんですよね。30代前半まで私も、結婚しなければ人にあらずとどこかで思っていたし、しない選択はないんだとイライラしていました。妊娠・出産はもともと望んでいなかったのですが、それでもよっぽどの努力をしないと自然妊娠は難しい年齢になって、ようやく「もういいかな」と思えたんです。結婚して子どもがいて…という典型的なパターンに、自分は当てはまらないんだなと、いい意味で諦めがつきました。

――著書でも「37歳で人間宣言」とありますよね。ちょうどこの年齢にリンクしますか?

ジェーン・スー:はい。私にとって37歳という年齢は、社会から期待される女らしさを自分とは別のものとしてとらえられるようになった年齢ですね。37歳でやっと人間宣言ができて、人生を別の角度から楽しめるようになりました。

――37歳になるまでは、苦しいと感じることが多かったと。

ジェーン・スー:「これ以上言うと嫌われるんじゃないか」とか「セクハラ的な言動を上手くあしらえないのは、私が未熟だから」と感じていたことですね。それは大間違いだったと思う。私は直接身体を触られたことはないけど、仕事上のバーバルハラスメントは日常茶飯事でした。プライベートでは、女性らしく控えめでいたほうが不特定多数にウケがいいということが、だんだん体感としてわかってきたんです。これは砂漠だなと思いつつ、一度は女性らしく擬態して世間に出てみたけど、苦しかったんですよね。

――今まさにその苦しみの渦中にいる人たちも…。ジェーン・スーさんはラジオ『生活は踊る』でたくさんのお悩み相談に答えていますが、世代による悩みの傾向などはありますか?

ジェーン・スー:悩みは本当に千差万別ですが、20代だと、結婚・出産というワードが出てくる年代です。自分はいつするんだと、私たちの世代は追い立てられていました。でも、今の20代はきっと違いますよね。毎日生きることにもっと危機感を持っているだろうし、恋愛も必須項目ではないでしょう。一度も景気のいい時代を知らず、親がリストラされることもある。抱えている悩みの質が世代10年ごとに違うと感じています。

個人的には30歳になってからは、自然な妊娠・出産のリミットを考えたり、キャリアの岐路に差し掛かりました。当時は異業種転職も30代前半がギリギリと言われていたので、明確なキャリアプランはなかったものの、どう楽しく働けるかを考えていましたね。

自分らしさと女らしさは乖離していい

――そういった女性らしさに縛られないために、できることとは何でしょう?

ジェーン・スー:女性は、既婚・未婚、子供の有無など、選択できるパターンが多いんです。最近だと女性の社会進出が注目される一方、専業主婦が責められている気持ちになるという話も。でも、誰もそんなつもりはないし、そもそも誰かを傷つけるために誰かが存在しているわけではありませんよね。

例えば、男性は働いて女性は家庭に入るというような考えに縛られがちな時代もありましたが、今は生き方や働き方が多様化しつつあります。昔よりもバリエーションがいくつもあるぶん、隣の芝生が真っ青に見えてしまうものなのでしょう。このたくさんのバリエーションを、対立ととらえず、それぞれの違いとしてとらえることが必要なのだと思います。

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