ヨシダナギ “ふつう”じゃなくても生きていける、悲観から楽観への逆転【前編】

失敗ヒーロー!

2019/10/23
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一人暮らしを始めて得た、生きることへの楽観視

――しかし引きこもり同然の生活を続けるなか、21歳の時に一人暮らしを始めていますよね。「一人暮らしが転機になった」というお話をされていますが、きっかけは何だったのでしょう?

ヨシダ:本能ですね。お父さんにも離婚のストレスがあったのか、どうにもこうにも家の空気が悪い。「ここにいたらダメだ」という本能が働き、実家を飛び出しました。父が反対するのは目に見えていたため、新居の準備も引っ越しの準備も整えて、お父さんには引っ越しの前日に、「明日、出て行くから」と伝える戦法です。「一人じゃ何もできない子だから、すぐに音を上げて帰ってくるだろう」と、父は思っていたようですが、初めて経験した一人暮らしが、思いの外、楽しくて。

確かに私は、一人じゃ何もできない子どもでした。それが実際にやってみると、料理にも洗濯にも掃除にも一つひとつに意味があって、新しい発見だらけ。赤ちゃんが新しい動作や言葉を覚えていく感覚に、近いのかもしれません。日常の小さな出来事が楽しくて仕方ないし、同時に「生きていくって、意外と難しくないんだ」と思えたんです。

――親元を離れたことで生きるための術を知り、その術を得たことでポジティブになれたわけですね。そして一人暮らしを始めた2年後、23歳の時に、憧れのアフリカに単身渡航。一人暮らしの影響が大きかったのでしょうか?

ヨシダ:大きかったと思います。それまでの私は、本当にウジウジした人間だったんです。いじめも経験したし、バイトは長続きしないし。しかも飲食店の次に働いた店では、「あの子は変に目立つから」という理由で目を付けられて。「私って不幸なのかも?」とか、「こんな人生なら、早く終わってしまえばいいのに」とさえ、思っていました。それが一人暮らしを始めたことで、すごく楽観的になれたんです。

そうなると、「英語もできない私がアフリカに行けるの?」と悩むことすら煩わしくて。私がアフリカに憧れを抱いたのは、5歳の時。テレビで観たマサイ族の姿に魅了され、「大人になったらアフリカ人になるんだ!」と、本気で思いました。その夢は「人間には生まれ持った人種がある」と知った10歳の時に崩れ去りましたが、憧れ自体は消えなかった。つまりは5歳から23歳まで、18年間もの片思いです。成就するにせよ玉砕するにせよ、まずは会いに行って告白しないと、先に進めない(笑)!

消去法を重ねていけば、目的地に必ずたどり着く

――恋愛に置き換えると、確かにヤキモキしますね(笑)。それでも一人でアフリカを訪れるには、相当の勇気がいるはずです。しかも、英語ができない状態で。

ヨシダ:一人暮らしを始める前は「英語もしゃべれないのに」と思っていたし、「渡航費はどうしよう」とも思っていました。しかし行くと決めたら、そんなことは小さな悩みだったんです。英語ができないなら電子辞書を使えばいいし、長期で雇ってもらえないなら、短期で稼げる仕事に就けばいい。「英語がしゃべれないから、海外に行く勇気が出ません」という相談を受けることがありますが、それは思考が停止しているだけ。目的に到達するには何が必要なのか、自分の能力に合わせて消去法を重ねていけば、答えは絶対にあるんですよ。

――「これができないから諦める」ではなく、「これができないなら、別の方法を見つけて進む」という考え方ですね。

ヨシダ:そうですね。こうした考えに至ることができたのは、夢の挫折があったからだと思います。私は10歳の時に「アフリカ人にはなれない」と知って以降、いわゆる“将来の夢”を持ったことがありません。「アフリカ人になる」という夢は絶たれ、私にとってのアフリカは、あくまでも憧れの存在です。これがもし、「お医者さんになりたい」という夢を抱いていたとしたら、私は、その夢を叶えられなかったと思います。

お医者さんになるためには6年制大学を卒業して、国家試験に合格してという、確固たるレールがあります。すると「学校は苦手だから独学にしよう」とか、「国家試験は拘束時間が長いから別の方法を選ぼう」といったシフト変更ができない。一つのつまずきで「人生、詰んだ」と思っていたはずです。私を一番近くで守ってくれる両親からも「ふつうじゃない」と言われる私にとって、他人が敷いたレールに沿うような夢の叶え方は、あまりにも難しい。そう考えると10歳の時に夢を打ち砕かれ、新たな夢を持たなかったことが、今の自分につながっている気がします。

後編では・・・

一人暮らしをきっかけにポジティブ思考を手に入れ、社会的には否定されがちな「夢を持たない」ことを強みに変えたヨシダナギさん。後編では、ヨシダナギさんの右腕である名物マネージャー・キミノさんにも登場いただき、著書のタイトルにもある「拾われる力」の秘密に迫ります!

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