【後編】「物事のハウツー化が『好き』への熱意を削いでいく」・やついいちろう(エレキコミック)

失敗ヒーロー!

2017/10/03
Pocket

ハウツー化による効率化が長寿イベントをダメにする?

――なるほど。「一緒にイベントをやりたくなる人間」であり続ける努力ですね。
 
やつい: イベントの方向性としても、別のフィールドのファンを引き込めるようなフェスって、意外となかった。それが「やついフェス」も6回目を迎え、似たようなフェスが増えてきました。だけど自分を資本とした一次産業であるためには、他と一緒じゃダメ。「型にはまらないように、もっと変なものに」って、新たな難しさは感じています。

難しいなら、そこで終わりにしちゃってもいいけど、それでは、これまで協力してくれた人たちに申し訳ない。他のメディアへのキャスティング権もない僕にとって、彼らに恩返しができる唯一のコンテンツが「やついフェス」ですから。

――単発では味わうことのない、長きに渡って求められるイベントこその難しさですね。そこをクリアするために必要なこととは、何だとお考えですか。

yatsuiichiro2-5

2017年開催の「やついフェス」では、やついいちろう氏本人も「キケチャレ!」としてアクト。やついいちろう公式インスタグラム より

やつい: とにかく“ハウツー”にしないこと。それは常に心掛けています。やっぱり回数を重ねていると、前回、前々回と、同様の提案をすることもあるんです。そうすると「それ、前も言っていましたよね」っていう話になる。「前にも同じことが提案されたから、今回も同じように進めればいい」って、どうしても“ハウツー化”したくなるんですね。なぜなら、その方が効率いいから。

たとえ前回の繰り返しでも、議論から熱意が生まれる

 
やつい: だけど効率を優先してハウツー化してしまったら、それは「型にはまる」と同じですよ。それよりも大事なのは、「これがやりたい!」って気持ち。やっぱり熱意だと思うんですね。たとえ前回の繰り返しになったとしても、あらためて熱をもって詰め直すことに意味がある。だってハウツーに従って物事を流してしまったら、それって本質的には「大してやりたくない」のと一緒。話が堂々巡りになってしまうけど、やる気のない人間には誰も付いてこず、いずれはフェスそのものが成立しくなる気がしますね。

――ハウツー化は効率化、その中では熱意が希薄になる。企業のミーティングにおいても、同じことが言えそうですね。これも企業に置き換えることのできる話ですが、「やついフェス」には曽我部さんを始め、いわゆる大御所ミュージシャンも出演されています。こうした目上の人とお付き合いをする中で、気を付けていることは?
 
やつい: うーん、曽我部さんにせよ誰にせよ、尊敬する先輩とお話しするときって、昔はすごく緊張していたと思うんですけどね。今は正直あまり意識していないけど、相手を「好き」という気持ちがあれば、失礼なことを言ってもうまくいく気がします。外ヅラというか、表面に出てくることって意外と大事じゃないんですよ。その内面に何が潜んでいるかって、大御所であればあるほど簡単に見抜いてしまいますから。後は見抜かれてしまうだけに、変に持ち上げない。そのくらいだと思います。

セルフマネジメントとは、好きをお金に換えること

――冒頭でお話しいただいた曽我部さんとのエピソードからも、「好きな気持ちがあれば」ということが伺えますね。こうした先輩方を始め、多種多様な人たちが集結する「やついフェス」。商業的な成功もあってこそ、現在まで続くイベントになったと思いますが、「自分の好きなこと」を仕事にするにはどうすべきなのか、あらためて聞かせてください。

yatsuiichiro2-3
 
やつい: やっぱり「自分を資産とした一次産業」という話に戻ってしまいますけど、まずは自分の気持ちを問いただすことじゃないですかね。「自分の好きなことすら分からない」という人もいると思うけど、「ずっとゲームがしていたい」とか、「ひたすら寝ていたい」とか、「とにかく認められたい」とか、誰にだって欲望はあるはずです。「好きなこと」という視点で考えず、漠然とした「欲望」でいい。「その欲望をお金にするには、どうしたらいいんだろう」と考えることが、好きを仕事にすることだと思います。そして、好きをお金に換えることこそ、「セルフマネジメント」なのではないでしょうか。


【前編】「コントとDJは僕のお米。その出荷先がフェスだった」・やついいちろう(エレキコミック)
【後編】「物事のハウツー化が『好き』への熱意を削いでいく」・やついいちろう(エレキコミック)


マネたまご マネたまをフォローすれば最新記事をお届けします!
運営会社 | Copyright © kaonavi, inc. All Rights Reserved.