2016/10/13 公開

【後編】『美魔女』ブームの仕掛人・山本由樹さんに訊く、”理想の女性マネジメント”とは?

「働く女性」の未来像

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森を見る視点を持ちつつ、地を這うような視点の両方を持つリーダーが必要だなと思います。

前編に引き続き、『美魔女』ブームの仕掛け人である山本由樹さんにお話を伺っています。

小池都知事は理想の女性リーダー

――女性だからこそできるマネジメントの特徴は、どんな部分だと思われますか?

山本 なあなあにしない、ところでしょうか。女性がトップのチームって、ちょっとピリッとしているイメージありますよね。ただ、マイナス面を挙げるとすれば「感情に流されやすい」部分。正義感は強いけど視野が少し狭く、「木を見て森を見ない」タイプのリーダーになりがちな点はあります。森を見る視点を持ちつつ、地を這うような視点の両方を持つリーダーが必要だなと思います。

――例えば、そういった両方の視点をもつリーダーはどなたをイメージされていますか?

山本 小池百合子さんはまさにそうではないでしょうか。豊洲の問題も、単体で追及しているわけではないですよね。情報公開の問題について、都庁にクサビを入れているわけです。豊洲の先にあるものを解決することで、何かを変えようとしている。俯瞰で見て、グランドデザインを描きながら、各論に白黒きっちりつけていく。そういう小池さんのようなタイプの女性リーダーが生まれるといいですね。

――今まで一緒に仕事をしていた方で、そういう方はいらっしゃいますか。

山本 経沢香保子さんですね。『カラーズ』という会社でベビーシッター派遣サービス『キッズライン』をやっている方で、経沢さんは「このサービスは、社会を変えるために必要だ」と仰ってるんですね。働きながら子育てをしていた経験から、こうしたサービスが必要だと。

すごいチャレンジだと思います。というのも人材派遣のサービスって、基本的に「どれだけ安く、どれだけたくさん出せるか」で利益が決まってくるわけです。単価を上げることをしない、数を出さなくてはいけない。経営としては、一番難しいところに取り組もうとしているんです。情熱を持って新しい、困難なサービスを立てていることに注目していますし、応援しています。

――ご自分はワーキングマザーとして働いてきたけれど、その苦労を他の人にはさせたくないと。

山本 「そこには需要があるはず。それに応えることが、社会を変えるはず」だと。単純に経営だけを考えると、無謀かもしれない。でも、そこに取り組んでいるわけです。個を超えて何か大きいものをやろうとした時に、人は輝けると思います。

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山本由樹(やまもと ゆき)
株式会社「編」代表取締役社長、「DRESS」エグゼクティブプロデューサー。
1986年に光文社に入社し、以降週刊女性自身で16年にわたり編集を担当。その後2002年に『STORY』創刊メンバーとなる。
2005年から2011年まで同誌編集長、2008年に『美STORY(現美ST)』を創刊。2010年には「国民的美魔女コンテスト」を開催、『美魔女ブーム』の仕掛け役となる。2013年に同社を退社、『DRESS』を創刊し現在に至る。

求められるのは、女性的な共感

――私も女性として思うところある一方、ロールモデルが近くにないのでマネジメントをするイメージがあまり描きにくいところがあります。

山本 ロールモデルって、実は必要ないと思うんですよ。僕自身、プラスの教えをしてくれた人よりも、「ああなっちゃダメだな」というマイナスのロールモデルから学ぶことが多かったです。今の時代、過去と地続きになってロールモデルを見て参考にすることはあまり意味がない。過去の人をアンチ・ロールモデルにして、自分を磨いていくほうが絶対にいい。

ただ、「ああなりたくないな」と思う人にいつの間にか自分自身がなっていることも往々にしてありますからね。常に自分を省みる力は必要です。女の人は「自分が正義」になりがちな部分もありますから、そこは1番難しいところです。

――女性同士でぶつかるときは、かなり激しくぶつかりますよね。

山本 「女の敵は女」というくらいですから。時短勤務している女性がいるとして、そういう人たちを一番悪く言うのは実はフルタイム勤務の女性たちだったりします。女性リーダーに必要なことは、正義を振りかざさないこと、多様性を認めることです。その辺は、男性のほうが長けている部分かもしれません。

逆にいうと、現代の男性リーダーに求められるものは女性的な共感かもしれませんね。たとえば企業の社長にしたって、社員の共感がなければ働いてもらえません。「我が社はAだ」というのが旧来型だとすると、今は「Aだと思う? Bだと思う?」「Aだと思います」「だよね。俺もそう思う。一緒に頑張ろうよ」というタイプのマネジメントが求められていると思います。

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若い女性は、がむしゃらに働くべき

――最後に、これから生き生きと働いていきたい女性へのメッセージをいただけますでしょうか。

山本 いまの環境に不満があっても、まずはがむしゃらに働く経験を積み重ねることでしょうか。もちろん環境を選ぶ必要はありますが、僕はやりたいことに直結した仕事に就けばどんな環境であっても楽しいと思います。

もちろん、環境ってなかなか思うように選べない部分はありますよ。でも、環境に対して不満を持つ人はどこにいっても不満を持つだろうとも思います。若いうちに限って言えば、がむしゃらに働く経験を積み重ねることが大切。別に、今輝かなくたっていいじゃん、人生長いんだから。

女性は86歳くらいまで生きますから。20代で輝かなくても5年後、10年後、15年後、20年後にまだまだ人生は続いていく。そこに向けて輝ける経験、仕事をしたほうがいい。

僕だって、「女性自身」になんて全然入りたくなかったんですよ(笑)。受かったところがたまたま光文社だった、っていうだけです。現場で張込みをさせられたり、ヤクザに監禁されたり、悲惨な16年間を送りました。

でも仕事が好きなので、目の前のことを一生懸命やっていました。5年もすると評価もされ、自分も仕事に愛着を持っていきます。意図して環境を選ばなくても、そこで頑張ることがその後のキャリアに繋がっていたりするものです。僕が編集長になったのは、42歳の頃ですし。

――それまで編集長になった経験はなかったんですね。

山本 ないんです。ずっと現場にいました。『女性自身』に行けと言われたときは、まさか約20年後にファッション誌で編集長をやるなんて全く想像していなかったですね。先に何があるかなんてわからないんだから、若いうちから輝かなくてもいい。「小綺麗にして、おしゃれにして、若い男の子にちやほやされたい」くらいの見通しでいいんじゃないですか。

――意外です。「今輝いてください」くらいのことをおっしゃるのではと思っていました。

山本 だって、経験も何もないのに無理だよね。

――経験を積まないと、そもそも自信は生まれませんよね。

山本 僕だって自信なんかないですよ、全然。知らないこともたくさんあります。でもまあ、人生の8割はハッタリですから(笑)。僕はテレビに出ることもあるんですけれど、本当の自分なんて30秒のコメントでは到底伝えられないです。そこで、四捨五入してわかりやすく伝えるということをタレントさんたちは常にやっていて、すごいなあと思います。

テレビに映っているキャラクターは、実はその人本人ではありません。「自分自身とはなんだろうか」って思うこと自体に、意味はないんですよ。自分なんてない。8割はハッタリでいいんです。

――本日は、貴重なお話をありがとうございました。

<了>

インタビュー・テキスト:田中千晴 撮影:澤山大輔 編集:マネたま編集部

【前編】『美魔女』ブームの仕掛人・山本由樹さんに訊く、”理想の女性マネジメント”とは?
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