生産性を向上させる効率的な会議術

本当の「働き方改革」の話をしよう その11

2018/09/04
Pocket

著者:日野瑛太郎
 

突然ですが、質問です。みなさんの会社では、どのぐらいの頻度で会議がありますか? そして、その会議は効率的に実施されているでしょうか?

この質問をすると、多くの方は苦々しい顔をします。もちろん、世の中には会議がほとんどないという会社や、会議がものすごく効率的に密度高く進められているという会社もあるとは思いますが、そういう会社は少数派なのではないでしょうか。僕自身も過去に何社かの会社で働きましたが、いずれの会社も「会議は下手」で、よくイライラさせられました。朝から夕方まで就業時間内はすべて会議で、実際に自分の仕事がはじめられるのは夜になってからという時さえあったほどです。

「働き方改革」が叫ばれるようになってから「生産性を高める」ことの重要性が非常に高くなっていますが、手っ取り早く生産性を高めたいなら、無駄な会議の見直しや議事進行の効率化が極めて効果的です。たとえば、6人が参加する1時間の会議を30分に縮められれば、チーム内には合計3時間の余裕が生まれます。そもそも、この会議自体が不要なのであれば、廃止することで6時間の余裕が見込めます。生産性を高める手段は他にもあると思いますが、会議の見直しは比較的簡単にできる割に効果が非常に高いので、コストパフォーマンスの面でも非常に優れた方法です。真っ先に取り組むべき課題だと言えるでしょう。

そこで今回は、不要な会議をいかに発見し、効率化していくかという課題について少し考えてみたいと思います。

その定例会議は本当に必要か?

会議にもいくつか種類がありますが、まず見直さなければならないのが定例会議です。

組織の構成員が少ないうちは大丈夫なのですが、組織が拡大してくると必ずと言ってよいほど定例会議をやったほうがいいのではないか、という意見が出てきます。「最近、人も増えてきて情報共有が十分になされていないような気がする」「他のチームのノウハウや成功事例を全体にシェアする場があったほうがいい」などといった声が上がり、定例会議は設置されます。これらは一見もっともらしい意見に思えますが、それを受け入れて気軽に定例会議を設置していくと、気づいた時には毎日定例会議ばかりしているという状況に陥ります。

実際、僕が以前働いていた会社ではこのような「情報共有の必要性」から、全社定例、部署定例、チーム定例、エンジニア定例などなど、多数の定例会議が設置されていました。これらにすべて真面目に出席していると、自分の仕事をやる時間はほとんどなくなってしまいます。さらに、少しでも業務時間が削られるのを防ぐためにと定例会議では多くの人が話を聞かずに内職をするようになり、もはや何のために会議をやっているのかわからないという本末転倒な事態になってしまいました。

思うに、会議はあくまで議題を話し合い、意思決定をすることを主目的として行うべきです。たしかに情報共有は重要ですが、定例会議という手段によって実現するのはあまりよいやり方とは言えません。会議は参加者全員のスケジュールを同期しなければならないため、実施のコストが高すぎるのです。

組織内で情報共有を活性化したいのであれば、まずは定例会議以外の方法を考えるべきでしょう。たとえば、社内wikiを設置したり、Slackなどのチャットツールを導入したりすることでも社内での情報共有を活性化させることは可能です。これらのツールが定例会議より優れているのは、情報の発信・取得を各自の好きなタイミングで行えるという点です。これなら自分の仕事が溜まっている時や作業に集中したい時に会議のために時間が奪われるという心配はありません。

それでもどうしても定例会議を行いたいというのであれば、個人が参加する定例会議の時間を厳密に制限することをおすすめします。たとえば「ある人が定例会議に参加する時間は1週間に1時間まで」と決めてしまうのです。仮に、この制限を超えて参加しなければいけない定例会議があるとしたら、やはり無駄な定例会議が多すぎると認識すべきでしょう。

会議の出席者はできるだけ少なくする

情報共有のための定例会議は廃止したとして、それでもチームで仕事をしている以上、意思決定のために会議を招集したくなることは度々あるはずです。その時に忘れてはならないのが、出席者を厳選することです。

繰り返しになりますが、会議は参加者全員のスケジュールを同期させ、時間を強制的に奪うという点で非常にコストが高いものです。それゆえ、参加しなくてよい人まで巻き込むことは絶対に避けなければなりません。あたりまえのように思われるかもしれませんが、このルールが徹底できている組織は意外と少ないのです。

会議に参加したものの「なんで自分が呼ばれたんだろう?」と思った経験がある人は多いと思います。そのような時は、会議の主催者に「自分が何を期待されているのか」を確認し、その期待に応えられそうにないのであれば会議への出席を辞退できるようなルールにすべきです。他人の時間は大切にしなければなりません。

脱線を避けるために議事録を全員で共有しながら会議を行う

では出席者は十分に厳選できたと仮定して、実際の会議の進め方について考えてみましょう。

非効率な会議でよくあるのは、議論が脱線してしまい、何のための話し合いをしていたかがわからなくなってしまうことです。脱線まで行かなくても、議論が細かい枝葉の話に陥ってしまって本当に議論したいと思っていたことについては十分に議論できずに時間切れになってしまう、ということもよく起こります。

これを避けるためには、その会議の目的が何で、さらに今話しあっているテーマが何なのかをつねに参加者が共有できるようにしておく必要があります。これを実現するためには、以下の方法がおすすめです。

まず、会議のファシリテーターは、必ず会議の冒頭でその会議のゴールを設定するようにします。もしゴールを設定することなくなんとなく会議が始まりそうになったら、参加者の誰かが必ず「この会議のゴールはなんですか?」と質問すべきです。仮に、ファシリテーターが会議の明確なゴールを参加者に説明できないようであれば、その会議は実施してはいけません。

その上で、会議の進行はファシリテーターがプロジェクターでスクリーンに自分のPCの画面を投影しつつ、リアルタイムで議事録を作成しながら行うとよいでしょう。議事録をリアルタイムに投影することで、今話しあっているテーマが何なのかについての認識を合わせることができますし、会議が終わった時点で自動的に議事録も完成していることになるので無駄がありません。この方法なら、話が脱線したり、議論が細部に入りすぎたりすると自然に議事録を書くのが困難になるので、「あ、今脱線しているな」ということがすぐに参加者全員に伝わり、軌道修正も容易になります。

そして、会議の最後には必ず「ネクストアクション」をまとめるようにします。本来、会議は何かを決定する場なので、決定したのであればそれに基づいて次にやることが明確になっているはずです。誰がいつまでに何をするのかを議事録に明記し、参加者全員で共有してから会議を終えるようにすれば、会議によって物事を先に進めることができるようになります。仮にネクストアクションがひとつも無いとすれば、それは会議の前と後とで何も変わらなかったということになりますから、会議の必要性自体を疑わなければならないと言えるでしょう。

場数を踏めば、会議スキルは誰でも上達できる

ここまで効率的な会議の進め方について書いてきましたが、これを読んで「すぐに全部はできない」と感じた人もいるかもしれません。実際には、この方法で会議を進めようとしても、社内の諸々の事情で理想通りには進められないことも多いと思います。

それでも、諦めずに「できることから」会議の改善を行っていくのが、会議スキルを上達させるコツです。「会議スキル」というと少し不思議な感じがするかもしれませんが、会議は実践を通して試行錯誤していく中で確実に上手になっていくものなので、これは純然たるスキルだと僕は思います。特別な才能は必要ありません。

会議が効率的に行えるようになれば、組織全体の生産性は飛躍的に上昇します。また、会議スキルの上達は個人のビジネススキルの上達にも直結します。ぜひ、会議スキルを上達させて、組織としても、個人としてもひとつ上のランクを目指してみてくださ

photo by Jeff Eaton

マネたまご マネたまをフォローすれば最新記事をお届けします!
日野 瑛太郎

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある。