2017/01/11 公開

「板挟み」からの脱出法 ― 上と下を説得するためには?

「脱社畜ブログ」流マネジメントハック その4

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多くの場合、マネージャーにも上司がいます。マネージャーは、部下のマネジメントをすると同時に、上司の指示にも従わなければなりません。上司と部下との間で板挟みになって心身をすり減らしてしまうという話は、マネジメントの課題として昔から根強く存在しています。

たとえば、部下からは「こんな人数では仕事がまわらない」と突き上げられている一方で、上からは「もっと業務効率化を促進して少人数でも仕事が回るようにしろ」と言われてしまい、どういう態度を取ればよいのかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。部下からは聞き分けの悪い上司だと嫌われ、上司からはなぜ目標が達成できないのかと詰められる――そうやって上からも下からも批難されるのは非常につらいものがあります。

このような「板挟み」の状態に陥ってしまった場合、マネージャーはどうやって脱出すべきなのかを今回は考えてみたいと思います。

「板挟み」という立場を一度忘れて、フラットに物事を見てみる

上司と部下の間に挟まれるマネージャーがつらいのは、自分の立場がはっきりと確定できない点にあります。100%経営者目線では部下に強く反発されますし、一方で部下に100%肩入れすることもできません。ある意味では、宙に浮いたような中途半端な立場だとも言えます。

実はそのような中途半端な立場だからこそできることがあります。それは、上司にも部下にも肩入れせずに、フラットに物事を見てみることです。たとえば、先ほどの人員配置の例で考えてみましょう。部下はもっと人をまわしてほしいと言い、上司はもっと少人数で仕事がまわせるようにしろと言っていますが、果たしてどちらの言い分が正当なのでしょうか。自分がいま「板挟み」になっているということはいったん忘れて、どうすべきなのかを自分なりに判断してみてほしいのです。

あなたは上司よりも現場を見ていますし、現場よりも経営者の立場がわかっています。そのようなフラットな立場で判断すれば、たとえば「業務Aは効率化できるが、業務Bについてはもう少し人が必要だ」といった判断が下せるかもしれません。「板挟み」の状態を脱するためには、このように物事をフラットに見た上で、まずは自分の意見をしっかりと決める必要があります。

上と下をどう説得するか

自分の意見が決まれば、次にすべきことは上と下の説得です。自分の意見が上司側、あるいは部下側と完全に一致しない限り、説得はどちらに対してもする必要があります。

上司を説得する場合も、部下を説得する場合も、ポイントとなるのは「相手の見えていない情報をしっかりと伝える」ことです。たとえば、上司が非現実的な目標などを突きつけてくるのであれば、上司にはあまり現場の情報が伝わっていないと言えます。逆に、部下が現場のことだけしか考えていないような短絡的な要求ばかりしてくる場合は、経営者の意志が現場にうまく伝わっていません。これらの「伝わっていない情報」をしっかり伝えつつ、自分の意見を丁寧に説明するのが説得の基本です。

説得をする際、特に部下を説得する際に一番やってはいけないのは「これは自分の本意ではないんだ」という態度を取ることです。「自分もこういうことはやりたくないんだけど、上の意向で仕方がないんだ、わかってくれ」という形式のマネジメントを行う人はたくさんいますが、これをやると部下からの信頼は大きく損なわれます。この「自分の本意ではない」という論法による説得は、全部上のせいにして自分は責任逃れをすることに等しく、マネージャーの職務放棄だとも言えます。上や下の説得は、必ず自分の意見にもとづいて行うようにしたいものです。

「全員にいい顔を見せよう」という思いは捨てよう

板挟みになってしまった時には、「全員にいい顔を見せよう」という思いは捨ててしまったほうがよいでしょう。上と下とで意見が対立しているものを調整する以上、両方にいい顔をし続けることは不可能です。時には相手の意見を大きく否定しなければならないこともあるかもしれませんが、それをおそれてはいけません。

短期的に上司や部下から嫌われることよりも、できないことをできないと言えないほうがはるかに問題です。「あいつは強く言えば何でも飲んでくれる」と思われてしまうと、いよいよ板挟みになって心身を激しくすり減らすことになります。相手の意見を否定しない「いい人」タイプの人がよくこの状態に陥って苦しんでいるように思います。

それよりも「あの人は自分の意見を持っていて、納得できないことは必ずノーと言う」と思われていたほうが、マネージャーとしての仕事がしやすいと言えるでしょう。短期的にはとっつきづらく思われても、中長期的には上と下との関係が安定します。それは結果的に、プロジェクトを成功させることにもつながります。

結果を出し続ければ評価も変わる

上や下にいつもいい顔をしていなくても、最終的に仕事でよい結果を出し続けることができれば、あなたへの評価は変わってきます。逆に、どんなに人間関係を良好に保つことに長けていても、関わったプロジェクトが失敗ばかりではその人の評価は上がりません。

もちろん、一番理想的なのは上と下との対立もなく、仕事の結果も出ることなのは言うまでもありませんが、なかなかそこまでうまくはいきません。そんな時は、信念に従って、「自分が嫌われないためにはどうすればいいか」ではなく「仕事を最終的によい結果に導くためにはどうすればよいか」を優先して考えてみてください。

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日野 瑛太郎
ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある。
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