2016/12/14 公開

優れたマネージャーは部下の不満とどう向き合うのか?

「脱社畜ブログ」流マネジメントハック その3

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仕事をしていれば、誰でも面白くないことのひとつやふたつは必ず出てきます。マネージャーになる前であれば、こういった不満を抱いてもただ同僚と愚痴をこぼすだけで済みますが、マネージャーになるとそうはいきません。

部下の不満に適切に対処するのはマネージャーの重要な仕事のひとつです。不満を一方的に口に出すことは簡単ですが、不満を受け止め、解決策を考えて対処することはとても難しいものです。中にはこの仕事を放棄してしまうマネージャーもいますが、それでは職場の雰囲気は悪くなる一方で、やがて部下の心も離れていくでしょう。

そこで今回は、マネージャーが部下の不満とどう向き合うべきかについて考えてみたいと思います。

大前提として、まずはホンネで不満を言える環境をつくる

そもそもの前提として、マネージャーは部下が不満を言いやすい環境を職場内につくらなければいけません。たまに「俺の部下はほとんど不満を言ってこない。ということは、自分のマネジメントはうまくいっているに違いない」と思い込んでしまう人がいますが、これはほとんどの場合勘違いです。大げさに言えば、不満を抱かない部下などいるはずがありません。不満を耳にしないのは、不満がないからではなく不満を言いづらいと部下から思われてしまっているからです。

僕が過去に所属していたことがあるチームのマネージャーも、このことがわかっていない人でした。そのマネージャーはすぐに相手を詰める人当たりが強いタイプだったので、誰もが彼を恐れてなるべくコミュニケーションを取らないようにしていました。あろうことか、彼はそのことを「うちのチームの人間は誰も不満を抱いていない」と受け取ってしまったのです。

一人のチームメンバーという立場からチーム内を見てみると、ほとんどのメンバーがそれぞれで大きな不満を抱えていることはすぐにわかるのですが、マネージャー本人はそのことにまったく気づいていませんでした。マネージャーに相談しようという話はたびたび持ち上がるのですが、結局は「あいつに言ってもムダだ」ということで話が上に伝わりません。最終的にそのチームは散り散りになって、プロジェクトごと消滅してしまいました。

部下の不満に向き合うための大前提は、自分に対してホンネで不満を言ってくれるぐらいの信頼関係を部下との間に築くことです。そのためにはこまめに相談に乗るだけでなく、時にはこちらから「何か困ったことはない?」と働きかけるぐらいでちょうどいいと言えるでしょう。

マネージャーと部下は「言いたいことをお互いに言いあえる」のが理想

もっとも、ホンネで不満を言ってもらえる関係を部下との間に築けたとしても、それだけではまだ不十分です。部下が一方的に不満を言い、それをただ聞くだけでは肝心の問題解決につながらないからです。

ここで大切なのは、マネージャーと部下が「言いたいことをお互いに言いあえる」ことです。それではじめて対等な立場で、問題解決モードに入ることができます。このようにお互いに何でも言いあえる関係が築かれてないと、単なる「立場の違う人同士の意見交換」で終わってしまいます。

マネージャーと部下がお互いに言いたいことを言いあえる関係を築くためには、まずマネージャー側から歩み寄って部下の話をしっかり聞き、その上で真摯な意見を述べることが必要です。相手の意見で正しいと思うことはしっかりと認め、違うと思うことについても相手の立場で丁寧に議論すべきです。絶対にやってはいけないのは、一方的に論破することです。受身的でもなく攻撃的でもない、対等なコミュニケーション(アサーティブなコミュニケーション)を心がけるようにしたいものです。

部下の不満は3つに分類し、それぞれで対処法を変える

基本的に、部下から上がってくる不満は解決方法別に3つに分類できます。

1つ目は、まさにマネージャーである自分が解決すべき不満です。たとえば、会社の上層部から来る方針に対して部下が不満を持っているというのであれば、その不満を解消してやるのはマネージャーである自分の役割です。自分も上層部の方針がおかしいと思うのであれば自分が上と話さなければいけませんし、逆に部下の側に考え違いがあるというのであれば部下に丹念に説明してやる必要があります。この手の不満は、自分が主体的に動かない限りは解決しません。

2つ目は、最終的には部下自身が自分で解決しなければならない不満です。たとえば、ある部下が「通勤に時間がかかりすぎて、仕事に打ち込むことができない。自分としては会社の近くに引っ越したいと思っているが、家族には反対されて引っ越すことができない」と言い出した時は、最終的な判断を下せるのは部下本人とその家族以外にはいません。もちろん、相談には乗るべきですし、自分の意見を述べることも大切です。ただ、その際も自分にできることは部下のサポートにすぎないということは知っておいたほうがよいでしょう。ここで一方的な介入を行うと、部下の信頼を大きく損なうことになります。

3つ目は、チーム全体で解決しなければならない不満です。たとえば、部下がチーム内の雰囲気が悪いと言い出した時は、チーム全員でその問題に取り組まない限り最終的な解決は望めません。その際にマネージャーに期待される役割は、部下も自分と一緒に努力してもらえるように、リーダーシップを発揮して問題解決に望むことです。部下任せにしてはいけませんし、自分ひとりだけですべてを解決しようとしてもいけません。

部下の不満に対処する時は、その不満が上の3分類のうちどれにあたるのか見当をつけてから対処するようにすると、力の入れどころを間違えずに済みます。

部下から不満が上がってくるのは、別に自分のマネジメントに問題があるからではありません。大切なのは上がってきた不満にしっかりと対処することです。不満を解決に導くことができれば、部下の信頼はより強固になっていくことでしょう。そういう意味では、部下の不満はチャンスでもあります。簡単なことではありませんが、取り組む価値は大きいと言えます。

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日野 瑛太郎
ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある。
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