2017/08/03 公開

努力しているのに成果を出せない部下との向き合い方

「脱社畜ブログ」流マネジメントハック その11

Pocket

本人はとても頑張っているように見えるのだけど、成果はほとんど出ていない――こんな部下を持ったことはないでしょうか。このような部下を持った時、マネージャーは大いに悩みます。仮に最初から部下のやる気がまったくないというのであれば、やる気が出るように働きかければよいので話はシンプルですが、この場合はやる気自体はあるので、問題があるとすればモチベーション以外の部分ということになります。

マネージャーはチーム全体のパフォーマンスを最大化するのが仕事ですから、やはり成果が出せない部下をそのままにしておくわけにはいきません。何より、努力しているのに成果が出ないという状況は部下本人にとっても苦しいものです。その状況を改善するために手を貸すことができれば、部下本人にとってもチームにとってもプラスになります。

今回は、このような努力をしているのに成果が出せない部下を持った時に、マネージャーがすべきことについて考えてみたいと思います。

なぜ頑張っているのに成果が出ない人がいるのか

そもそも、なぜ「頑張っているのに成果が伴わない」といった事態が起こるのでしょうか?

この問題を、部下の能力や適性のせいにしてしまうのは簡単です。人間の能力には個人差がありますから、同じ仕事でも時間がかかる人がいるのは当然です。また、仕事の向き・不向きが存在するのも事実です。口下手な人を営業職にしたり、コンピュータに苦手意識がある人をエンジニアにしたりすれば、パフォーマンス面で不都合が出ることは誰でも予想がつきます。

もっとも、このような能力・適性が理由で仕事の成果が出なくなるケースばかりではありません。僕の経験ではむしろそういった事情は少数で、実際には仕事のやり方自体に問題があってそれで成果が出ないことのほうが圧倒的に多いように思います。

「頑張っているのに成果が伴わない」という人の多くは、仕事のやり方自体に欠陥を抱えています。具体的には、時間をかけるべきでないことに時間をかけすぎてしまい、そのせいで本当に時間をかけるべきでないところに十分な時間を割けなくなっている――つまり、サブタスクの優先順位の付け方にうまくない部分があって、それで成果が出なくなっていることがほとんどです。

問題があるのは仕事の「やり方」なので、これは能力や適性と違って、意識的に治すことができます。能力や適性が問題であるなら、配置転換などを行わない限り根本からの解決は難しいと言えますが、仕事のやり方が問題の場合は、一度正しいやり方を覚えてもらえば、以後はずっとチームの主戦力として活躍してもらうことができます。

まずは部下の仕事を「見える化」しよう

部下の仕事のやり方に潜む問題を取り除く際に、最初にやるべきなのは部下の仕事を「見える化」することです。多くのマネージャーは忙しいので、一日中席に座って部下の仕事ぶりを細かく観察することはできません。しかし、仕事のやり方に潜む問題をあぶり出すには、部下が一日の時間を何にどう使っているのか、ある程度詳しく知る必要があります。

方法はいくつか考えられますが、一番オーソドックスなのは日報を提出してもらうことでしょう。日報のフォーマットは様々ですが、必ず盛り込みたいのは一日のタイムスケジュールの予実(予定と実績)です。まず、出社した時点で一日の予定をタイムスケジュール形式で簡単に立ててもらい、業務終了時には実際の時間経過を書いてもらいます。あとはこの日報を見さえすれば、部下がどの仕事にどれだけの時間を費やすつもりだったのか、そして実際にどう使ったのかがひと目でわかります。

頑張っているのに成果が伴わないという部下の場合、このタイムスケジュールにどこかおかしな部分があることがほとんどです。たとえば、朝の時点で立てた仕事の見積もりが甘すぎて本当に必要な仕事に時間が割けなくなっているのかもしれませんし、成果物のクオリティを必要以上に上げるために時間を使いすぎているのかもしれません。いずれにせよ、実際に部下の仕事の「見える化」さえしてしまえば問題の発見は容易です。

場合によっては、このようなタイムスケジュール形式の日報を提出してもらうようにしただけで、大きくパフォーマンスが改善されることもあります。計画を立てて実績と比べるということを繰り返していけば、特に誰に指摘しなくても自分の仕事のやり方の改善すべき部分が見えてくるからです。

部下の仕事のやり方を「矯正する」という考え方ではダメ

タイムスケジュール形式の日報で仕事のやり方の問題さえ発見できてしまえば、あとはそれを正しいやり方に修正するだけです。しかし、ここでひとつ注意すべきことがあります。それは、マネージャー側から一方的に「お前の仕事のやり方は間違っている、矯正してやる」という態度で接してはダメだということです。

頭ごなしに部下の仕事のやり方を否定して、押し付ける形で従わせるようなマネジメントでは、いくら言っていることが正しくても相手は納得しません。もちろん、部下のタイプによっては外資系コンサルなどで行われるような論理的な「詰め」による指導で効果が上がることもありますが、基本的にそれは少数だと思っておいたほうがよいでしょう。

こういう場合、できるマネージャーは相手に直接指摘するのではなく、相手が自分で気づくように「仕向ける」という方法を取ります。具体的には、「どうすればもっと成果が上がるようになるのか?」を日報の予実を元に、部下本人と一緒に考える形式などがありえます。

そもそも、努力をしても成果が上がらないことで一番悩んでいるのは部下本人のはずです。本人が変わりたいという意志を持っているのであれば、正しい情報をうまく提示してやるだけで、自分で気づける可能性は低くありません。マネージャーはあくまで、その手伝いをするというスタンスでいることが大切です。なかなか成果が出せずに苦しんでいる部下が頼りにしたくなるような、そういうマネージャーを目指してみてください。

マネたまご マネたまをフォローすれば最新記事をお届けします!
日野 瑛太郎
ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある。
運営会社 | Copyright © kaonavi, inc. All Rights Reserved.