2016/10/12 公開

マネージャーの仕事は部下をコントロールすることではない

「脱社畜ブログ」流マネジメントハック その1

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唐突ですが、まず質問です。マネージャーに求められる役割とはなんでしょうか?

素朴に考えると、マネージャー(manager)のmanageという単語は「管理する」という意味ですし、マネージャーのことを管理職ともいうので「部下を管理する」のがマネージャーの役割だと思うかもしれません。たしかに、部下の労働時間や健康状態を「管理する」のはマネージャーの重要な仕事なのでこれはこれでひとつの答えではあります。しかし、実際にはそれほど単純な話ではありません。

マネージャーが相手にしなければならないのは人間です。人間は一人ひとりが考え方も違えば、得意・不得意だって違います。さらには同じ人間でも、日によってやる気がある日もあればやる気のない日もあるわけです。こういった一人ひとりの差異、あるいは一人の人間のその時々による違いを十分理解しつつ、部下を上手に導いて仕事を成功させることがマネージャーの役割です。そして当然ですが、これはとても難しいことです。

この「人間を相手にしている」という点を無視しては、よいマネジメントをすることはできません。あたりまえのように思えるかもしれませんが、このことが分かっていない人は意外と多いのです。

部下を手足のように使って成果を出せばよいわけではない

マネージャーの中には、部下を自分の手足のようにコントロールしなければ気が済まないというタイプの人たちがいます。仕事を与える際には仕事のやり方まで細かく指示を与え、部下がすべてその通りに仕事をこなさなければ許さない――このようなマネジメントのやり方は「マイクロマネジメント」などと呼ばれることもあり、最大の悪手です。

個人ではとても仕事ができる優秀な人が、マネージャーになった途端にこのマイクロマネジメントをはじめてしまい部下を次々と壊していくことも少なくありません。優秀な人ほど、部下が自分とは違うやり方で仕事をすることに我慢ができず、あれこれと口出ししてしまいます。あるいは、マネージャーになってもまだ自分ひとりで仕事をしている気持ちから抜け出せていないのかもしれません。

マイクロマネジメントが悪手なのは、マネジメントの相手が一人の人間だということを完全に無視しているからです。一切自分で判断をすることが許されず、ただ言われたことをやるだけの仕事は人間にとっては非常につらいものです。仕事を楽しくするためには、仕事に裁量がなければいけません。マイクロマネジメントはロボットが相手なら最適な方法でしょうが、感情を持った人間相手には不適切です。どんなに指示の内容が的確で短期的には成果が出ても、中長期的には人が離れていくことになります。

マネージャーはコントロールではなくサポートを

マネージャーに求められる役割はコントロールではなくサポートだと考えたほうがよいかもしれません。仕事のゴールを設定したり、大まかな方針は上司が与えるにせよ、実際にそのゲームを解くのはプレイヤーである部下です。誰だって、ゲームをプレイしている横で「右に行け、左に行け、ここでAボタンを押せ」などとコントローラーの操作方法を指示されたら嫌な気持ちになるでしょう。ゲームも仕事も自分で行動を決められないと面白くないのは一緒です。

仮に、自分だったらしないような方法で部下が仕事をはじめたとしても、よほど大きな問題がない限りは余計な口出しをすべきではありません。そのやり方で部下が躓いた時にはじめて、サポートという形で自分ならどうするか話せばそれで十分です。ロボットは細かく指示を与えてコントロールしなければうまく動きませんが、人間は大きく任せて信頼することでも十分によい仕事をするものです。

放置することと、任せることは違う

もっとも、だからといって完全に放置したのでは、マネージャーがいる意味がありません。放置することと、任せることは違います。

仕事を「任せる」際にはその仕事を任せる範囲をマネージャーが適切に設定しなければなりません。「何でも好きにやっておいてくれ」というのではただの放置です。その部下の能力や適性に応じて適切に仕事の範囲を設定して「任せる」ことで部下は成長していきます。そのような適切な課題設定を行うのも、マネージャーの重要な役割です。

よいマネジメントは、部下の能力を最大限引き出すことができます。それができれば、チームや組織は何倍も強くなれることでしょう。簡単なことではありませんが、ぜひ挑戦してみて欲しいと思います。

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日野 瑛太郎
ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある。