日本は仕事ができない人に良い環境!?厚切りジェイソンが「Why?」と思う日本の職場とマネジメント

変わり種マネジメント その10

2018/09/18
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世界のビジネスシーンをリードしているアメリカ社会の働き方やマネジメントは、日本と比べてどう違うのでしょうか。「Why Japanese people!?」と叫びながら、日本や日本人のおかしなところにツッコミを入れていくネタでお馴染みのお笑い芸人・厚切りジェイソンさん。実は日本に本社を構えるITベンチャー企業、株式会社テラスカイのグローバル・アライアンス部部長と、100%子会社のアメリカ法人、TerraSky Inc.の役員も務めています。

アメリカと日本、双方の国で大手企業とベンチャー企業で働いた経験を持つ厚切りジェイソンさんに、お話を伺いました。

会社役員とお笑い芸人。異色のハイブリッドワークを両立させる秘訣とは?

――そもそも、厚切りジェイソンさんがお笑い芸人になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

厚切りジェイソン(以下、厚切り):単純に「楽しそうだったから」ですね。やってみたいと思ったし、「僕にもできそう」だと思ったんです。やってみてダメだったら会社に戻るだけですから、チャレンジすることによるリスクもない。それなら、「やらない理由がない」と思ったんです。

――当初からプロの芸人を目指してやってみようと?

厚切り:いえ、プロを目指そうとは特に思っていませんでした。養成所に通って、たまに養成所のライブに出るくらいだと思っていたので。気付いたらプロになっていった、という感じです。

――アメリカで芸人になることは考えていなかったのですか?

厚切り:アメリカに住んでいたら、アメリカでコメディアンをやっていたかもしれないですね。日本にいるから日本で活動しているだけなので。もしアメリカで活動していたとしたら、日本のようにバラエティ番組に出て笑いをとるような「お笑い芸人」の仕事は存在しないので、シチュエーションコメディーと言われる、いわゆるコメディードラマやトークショーの脚本家、演出家になっていたと思います。

――プロのお笑い芸人になってからも、会社役員としての仕事は継続されていますよね。どのように両立されているのでしょうか。

厚切り:芸能活動をする際は移動時間や待ち時間が多いので、その間にパソコンを開いて仕事をしています。今は技術が進歩して、会社にいなくてもパソコンがあれば家でも電車でもホテルでも、どこにいても仕事ができる時代ですからね。

日本人からすると、アメリカ人はみんな早く仕事を切り上げて帰宅しているようなイメージがあるみたいですけど、実際は帰った後も家で働く人が多いので、もしかするとアメリカ人のほうが日本人よりも働いている時間は長いかもしれません。

――そうなんですね。どこにいても仕事ができるとはいえ、まったく異なる2つの仕事をするのは大変ではないですか?

厚切り:そうでもないですよ。1つのことだけをしていると、必ずどこかで空き時間ができますよね。僕はそういう、何もしない時間が昔から嫌いなんですよ。「この時間があったら、他のことができるのに!」って思うんです。だから基本的に、常に2つ以上のことをするようにしています。トーマス・エジソンが創業したアメリカのゼネラル・エレクトリック・カンパニーで働いていた時も、並行してコンピューターサイエンスの修士号を取って、同時に独学で日本語検定1級も取りました。僕の場合、したいことのために時間をつくるというよりは、余った時間で何か別のことをやろう、という考えで仕事を含めていろいろなことに取り組んでいます。

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厚切りジェイソン(あつぎりじぇいそん)
1986年4月9日生まれ、アメリカ・ミシガン州出身。17歳でミシガン州立大学に飛び級入学し、その後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の大学院を卒業、2011年に来日。株式会社テラスカイのグローバル・アライアンス部部長と、100%子会社でアメリカ法人のTerraSky Inc.の役員も務めながら、2014年にお笑い芸人としてデビュー。『R-1ぐらんぷり2015』と『R-1ぐらんぷり2016』に出場し、2年連続でファイナリストに。現在は会社役員とお笑い芸人を両立しながら、著書も手がけている。

物事を両立できるかできないかは「コミュニケーション」の問題

――それはすごい。仕事は空き時間で進められるとしても、スケジュール管理はどうされているのでしょう。

厚切り:自分で予定に優先順位をつけて、その予定を前もって双方の関係者に伝えています。たとえば、「この日は役員会議があるので、芸能の仕事は入れないでください」とマネージャーに伝えておけばいい。物事を両立できないとしたら、それは単純にコミュニケーションの問題だと思います。

――突発的な予定が入ってくることもありますよね。

厚切り:突発的な予定が入ってきたら、僕は断っています。「この予定をこなさないといけないので、せっかくのお話なんですけどお受けできません」って。

――なるほど。そこはもうストレートに断るんですね。

厚切り:日本人は、断ることが苦手な人が多いですよね。断ればいいんですよ。「今回はお受けできないのですが、また次回があればお願いします」って言えばいいだけなんですから。

――日本人からすると、そこで断ったらもう次につながらないのでは、という不安があるんだと思います。

厚切り:そうなんでしょうね。でも他に優先することがあるなら、しょうがないじゃないですか。特に、「それはあなたが自分でできるでしょ」、「他の人でもできるでしょ」と感じるような仕事を頼まれたら、「できません」とはっきり断ったほうがいい。実際に僕はそれで時間をつくっています。全部やろうとすると時間が足りなくなるのは、当たり前ですから。

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日本の職場は「仕事ができない人」にとって良い環境

――一般的にアメリカの企業は個人主義で成果を重視していて、日本の企業は集団主義で過程を評価しがちだと言われます。ジェイソンさんはそれぞれの働き方や環境について、実際のところどのような違いがあると感じていますか?

厚切り:実際に日本の職場では、多少失敗したりマイペースに仕事をしたりしていても、「あいつは頑張ってるから仕方ない」とよく言いますよね。つまり、日本は「できない人」にとっては良い環境なんですよ。

一方でアメリカの職場は、実力が発揮できない人は長く働けない環境です。厳しいようでもあるけど、逆に言えば自分に合っていない仕事を我慢してやり続ける必要がないということでもある。合わない仕事よりも、実力が発揮できるかもしれない仕事に就いたほうがいいですから。そもそもアメリカでは、特定の会社の社員になるために会社に入る、という感覚があまりないんです。それよりもたとえば、「プロのプログラマーとして仕事をするために会社に入る」感覚です。そこも日本と大きく違うところですね。

――ではジェイソンさんが会社役員として、社員のマネジメントをするうえで意識していることはなんでしょうか。

厚切り:基本的にアメリカ人は「成果さえ出せれば何をやってもいい」という考え方なので、僕が指示を出すときも「こういう成果を持ってきてください」としか言いません。その成果を出すためにどうしたらいいかは部下が自分で考え実行して、結果を報告してもらう。「これを実行したらここまで到達できたので、次はこういう方法を考えているのですが、いかがでしょうか?」と。

それに対して日本人の部下に「こういう成果を出してきてください」と言うと、大抵の人が「どういった方法がいいでしょうか?」と返してくる。こちらからすると、「それを自分で考えて」という感じですよ(笑)。

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――確かに(笑)。

厚切り:結果を出すための方法まで教えなければいけないとしたら、「自分でやったほうが早い」と思ってしまうし、それでは部下が育ちません。

――つまり日本の会社の上司と部下は、学校の先生と生徒のような関係性だと思っていらっしゃるわけですね。

厚切り:そうなんですよ。日本は上司と部下に限らず、できない人にも優しい文化で、みんなで手をつなぎながら仕事を教え合っている感じがします。でもそのやり方では、グローバル社会で戦えるとは思えないんです。

――そもそも社会に出る前の、教育課程に大きな原因がありそうですね。

厚切り:そう思います。日本の学校では「解答が合っていても、やり方が先生と違うと点数がもらえない」という話をよく聞きます。その教育方法が、まさに「考えられない人」を大量につくっている要因になっていると思いますね。

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