2017/01/17 公開

インターンと社員を同等に扱う。ガイアックス社の自己責任5原則

気になる会社の気になる人事 その1

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自分にしか見つけられない、その人の成長要素が見つかった時の快感は半端ないし、見つけていくのはすごく好きです。たまらない(笑)

アントレプレナーシップに必要な5つのポイント

――この度はWantedly Award 2016採用力大賞の受賞、おめでとうございます。まずは、今回この賞の受賞に至った理由をお聞かせください。

藤堂和幸(以下、藤堂) ありがとうございます。受賞理由としては、Wantedlyを通し、多くのメンバー、特にインターンを多く採用したこと、またインターンで育成しているアントレプレナーシップを高く評価いただいたことにあります。

――アントレプレナーシップとは、事業を新たに始める姿勢などを指す言葉ですね。

藤堂 企業によってアントレプレナーシップについて様々な定義がされていますが、弊社が重要視しているのは5点です。

ひとつは「自己責任」。この言葉は一般的に、「自分の身に降り掛かった悪いことを誰かのせいにしない」という考えとしてとらえられていますよね。でも、弊社の場合はもっと広い意味で考えています。

例えば、部屋にゴミが落ちてたら誰が捨てたものであっても拾います。それは自分のことだから当たり前ですよね。一方で、自分が住んでいるマンションに落ちているゴミ、公道に落ちているゴミだと拾う人と拾わない人がいる。どこまでできるかは、自分がゴミについてどこまで自分のコミュニティと考えているか、に大きく左右されます。この意識を「自己責任の範囲」と考えています。

――範囲に関わらず自ら問題に対処しようとする人。つまり御社が考える自己責任とは、目の前の問題を自分ごと化できる人、ということでしょうか。

藤堂 そうですね。会社でトラブルが起こったとき、「担当がどうにかしろ」と思う人がいれば、「自分たちも気をつけなくちゃ」「何か協力できないかな」と思う人がいます。

社会の問題でも同じです。ソーシャルメディアを取り扱う弊社では、「ネットでのいじめを苦に自殺者が出た」という話があったら、「そんなことあるんだ」と距離を置いたものではなく、「ソーシャルメディアを手がけている我々が何かしらの対策をしなかったから、こんなことが起こったんだ。何かしなきゃ」と考えます。こうした広い自己責任の意識を持っていることが大前提です。

――その他のアントレプレナーシップで重要視しているという点は何でしょう。

藤堂 「自分に期待する」こと。自分が持っている能力を120%発揮するために「自分を厳しく律する」こと。他の人からの評価に関わらず、「自分が納得できるまでとことんやる」こと。そして、自分で突き詰めながらも「他人を信頼して支援していく」ことです。「自己責任」を含めたこの5つのポイントが、アントレプレナーシップに必要な要素だと考えています。 

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藤堂和幸(とうどう・かずゆき)
大学4年生の2000年に創業1年目のガイアックスに参画、開発者・営業兼務で韓国からのソリューション導入、台湾との合弁会社とのゲーム事業日本展開、金融機関とのウェブ戦略コンサルティングなどを手がける。
事業拡大によって運用の重要度が増加したため開発・運用に集中し、運用部署の立ち上げから内定者SNS事業の開発・運用責任者を歴任。現在は全社の採用・人事を担当。

インターンを育てる「フリー、フラット、オープン」な環境

――ホームページには「インターン生自らが自身を育てていく場にしていくことが肝心」とありましたが、これこそが自分ごと化なのでしょうか。

藤堂 そうですね。むしろ、「今これをやれば伸びます」みたいなテンプレートはありません。そもそも新しい業界で新しい事業をやっているので、これから何が起こるのかもわからないという状況です。だから自分で学んでスキルに落とし込む、環境を読み取って必要なことを設定していくようにならないと、そもそも成長はできません。 

――インターン生が自身を育てていける場にしていく環境づくりとして、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか。

藤堂 “フリー、フラット、オープン”を徹底しています。“オープン”はなるべく情報をオープンにすること。非常に変化が激しいインターネットの世界では、上の役職の人が常に正しい判断ができるかと言われると、必ずしもそうではありません。現場により近い、その事業やテーマにコミットしている人が、一番確かな感覚を持っています。現場から離れた感覚しか持ってない人が判断しようとすると、間違いが発生する可能性があります。

そうではなく、より感覚に優れた現場に全ての情報を持たせて、なおかつアドバイスを与える。そのような形であれば、現場が迅速に、自由に意思決定ができます。それが一番速いし、的確だろうと考えて、“オープン”を心がけています。

次に、“オープン”によって上司との情報格差がなくなると、どこでも意思決定ができるようになっていきますから、組織そのものが“フラット”になります。“フラット”になることで「自分がやらなきゃ」という意識を持って自主的に行動するようになり、自分で決めたことを実現する力が培われます。

そして “フリー”は、もちろんガバナンス的なことはありますが、「1年目はこれだけ」とか「3年目まではこのくらい」、「部長ではないからこれはできない」など、活動範囲を制限せず、可能な限り自由度高く活動してもらえる環境を整えることを意味しています。この3つが環境づくりにおいて弊社で重要視しているポイントです。

――採用した中ではインターンが多かったということですが、インターンに応募する学生の傾向はどのようなものでしょうか。

藤堂 様々ですが、シェアリングエコノミーやブロックチェーンをはじめ、アンテナを張ってないとピンとこない言葉が頻発するので、情報に敏感な学生が多くいました。あとは、弊社のインターンは厳しいと知っていることから、厳しい環境を求めている人が多いですね。

単独で飛び込んでくる、アポも取らずに「突然で申し訳ありませんが、面接してください」とやってくる人がたまにいるんですけど、それはやる気とコミット量次第という感じです。追い返したりはしません(笑)。やる気とコミット量が少なすぎるとその子も伸びないですし、僕たちもその子に対して投下する効率が下がってしまうので、結果的にあまりよくありません。

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――インターンとして入社するにあたり、半年以上勤務することが条件のひとつなのですね。こちらも、人数を絞る条件のひとつなのでしょうか。

藤堂 条件として提示してはいますが、それに怖気づかないということですね。「頑張ったけど3ヶ月でどうしても続けられなくなった」場合は仕方ないですが、より長期で頑張ります、コミットします、という方が我々も、インターン生も幸せになると思います。

インターンに社員と同等水準の権限を持たせる

――インターンには社員と同等水準の責任や権限を与える、とのことですが、このことについて詳しくお聞かせください。

藤堂 僕たちは事業を成功させるためにはインターンを教育することよりも、インターンに社員と同等水準の権限を与えるのが1番いいと考えました。結果的にインターンの成長にも良い影響を与えています。

事業にはスタートアップ期、拡大期、成熟期、衰退期とありますが、弊社がインターンに業務を任せるのは、ほとんどの場合はスタートアップ期か拡大期だけ。成熟期や衰退期は、経験や業界知識が問われるからです。

――成熟期や衰退期では、知識や経験が無ければ結果を出すのはほぼ不可能ですよね。

藤堂 ごく稀に際立った才能を持つ人もいますが、なかなか難しい。でも、深い知見がなくてもスタートアップ、成長期までならば成果を出せる可能性があります。なぜならばスタートアップ期は、何をやったらいいのか誰もわからないからです。

――誰もが右も左もわからない状態ですよね。

藤堂 組織作りをはじめとする集団スキルは社員のほうが持っていますが、それ以外では正社員もインターンもほとんど変わりません。

スタートアップ期には、多くの施策を考えて優先順位が高い順から超高速で仮説・検証をやっていきます。そういう状況では仮説検証の量とスピード、質が重要です。量とスピードにおいては、スキルよりも高いコミット力が重要です。また、質においては、インターンの若さが重要な要素で、新しい領域でビジネスをやっていると、生まれた時からインターネットに接している世代が持っている優れたセンスで仮説を考えることは非常に重要です。

――インターンに社員と同等水準の権限を与えることについて、不安はないのでしょうか。

藤堂 不安よりも、リターンが大きいですね。何もないところから始める事業において、失敗する不安なんてないに等しい。そんな状況で何かを失ったとしても、「駄目だった。じゃあ次はどうしようか」と思う程度です。

たとえば、「10億円の売上があります」という業務をインターンに任せるのは不安です。失敗したら、会社が傾いてしまうので(笑)。でも1,000万円を投資して失敗しても、最悪この1,000万円がなくなって0になるだけですから。つまり、仕組みが壊れたらダメージは大きくなりますが、仕組みがないところで失敗しても、組織はそう簡単に壊れはしません。だから新しいことに突っ込むことそのものがリスクを限定化するんです。

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マネたま編集部
「現場視点から考えると、マネジメントがもっとオモシロクなる」をコンセプトに、マネジメントに関する情報を発信していきます。