小栗旬と山田孝之に学び足りない | マネたま

小栗旬と山田孝之に学び足りない

現代偉人論 その2

2017/01/23
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もし自分を変えたいのなら、あなたは、あなたを実写化するべきなんだ。

白い紙にでも、スマホのメモ帳にでも、なんでもいいから、変わりたい自分、そうなりたい理想のイメージを書き込んでみよう。それが、あなたが実写化すべきマンガの原作になる。

たとえば、もしあなたが、転職や異動を願うなら、自分を実写化する気持ちで動いてみてほしい。とはいえ、これは「新しい自分」に生まれ変わるために、肉体改造をするべきだ、といった話でもないんだね。理想の自分は、どこで働いて、どんな服を着て、どんな髪型なのか、誰にも遠慮せずにメモをとってみる。それを、あなたが実写化していく。そんな話なんだ。

自分を実写化するときにありがたいのは、原作ファンがぜんぜんいないこと。原作ファンは、あなただけなんだね。だから「なりたい自分」をどんどん実写化していこう。と言いつつも、実はこれが一番やっかいな問題でもあるんだね。唯一の原作ファンである自分が、実写化にたいして手厳しいことがあるんだ。変わりたい自分に文句を言うのも、自分自身だったりするからね。

そんなときには『ルパン三世』を演じた小栗旬の言葉を思い出して。

自分の中でどれだけ寄せようと思って一生懸命やっても、見ている人によっては全然イメージと違うと言われるので、そこに関しては最近はあまり思わなくなっています。やることと言えば、自分が見たいルパン三世はどういうものなんだろうということを考えて、きっとそれに賛同してくれる人がいるだろうから、その数を増やせるキャラクターを生み出せるかどうかというのが自分の仕事なのかな( 映画.com)

どうだろう、マイフレンド。「ルパン三世」のような国民的キャラクターを演じるリスクに怖じ気づくことなく、「自分が見たいルパン三世」を掘り下げて行く小栗旬の心意気を見習うっていうのは。そんなのルパンじゃない、と言われることを恐れるよりも、そういうルパンもありかもね、そう思う人を増やすこと。あなたが、あなたを実写化するときには、そんな発想が必要になってくるんだね。

大事なことだから繰り返すけど、本当に恐ろしいのは、変わろうとする自分を冷やかしたり、イメージが違うと文句を言ったりするのも、自分自身だったりすることなんだ。でもね、自分を実写化するというのは、新しい役柄になるんだから、柄じゃないのは当たり前なの。だから大丈夫。少しずつ、自分を変えていこう。そのためにまずは、自分が変わることを、あなたがあなたに、許してほしい。

ところで、今から10年前、2007年に、伝説の不良マンガ『クローズ』が実写化されて大ヒットしたことを覚えているかな。そこで主演の小栗旬の相手役に抜擢されたのは、山田孝之だったんだ。僕は『クローズ』の山田孝之が大好きなんだけど、ここで何よりも大事なのは、山田孝之のフィルモグラフィがこの作品からガラリと変わることなんだ。それまでの山田孝之は泣ける感動作の常連俳優だったわけだけど、この作品で不良マンガのカリスマへ、イメージを振り切ったんだね。『クローズ』に出演したからこそ、今の山田孝之があると言っても過言ではないと思うけど、それは彼が2007年のタイミングで、役者としての自分のイメージを変える努力、想像を絶する努力をしたからなんだ。

すごくいいニュースだよね。あなたが、あなたを実写化するときに、参考になるのは小栗旬だけではないってこと。「自分を変えたい」と思っている人にとっては「マンガ実写化俳優」の役作りが、きっと参考になると思うんだ。じゃあさっそく『クローズ』への山田孝之の取り組みを細かくみていこう。

役者としてイメージが固まりつつあるのを自分で感じていました。僕の出演する映画は基本的に泣けるものだというイメージを壊したかったんです。もちろん、そういう作品がダメということではなくて、そればかりだと自分が楽しくないし、変化が欲しくなってきていたんです。だから今回は絶好のチャンスだと思いました(cinema cafe.net

どうだろう、マイフレンド。このインタビューでの山田孝之のコメントは、仕事に行き詰まりを感じていたり、職種を変えたいと思う人の心情にピッタリとハマると思わないかい?

不良役をやるってなったときに、貫禄や強さだとか、そういったものを自分がどのぐらい出せるのかっていうことを知りたかった。やってみないことには、自分でどのぐらいできるのかってわからないし。不良役をやれば、きっとみんなが持っているイメージを崩せる、かなりチャンスだなと思いました( ORICON STYLE

わかる、わかるよ、山田孝之。自分のイメージを変えるチャンスが、目の前にやってくる。嬉しいけど緊張する。そんなとき、どうするか? これは転職を考えている人には一番参考になりそうな部分だよね。自分を変えるチャンスを手に入れた山田孝之が、どうしたかというと「敗北感を味わう」ことを選んだんだ。

格闘技の経験が全くなくて。パンチやアクションを習いたかったというよりも、敗北感を味わいたかったんです。(僕は)殴られて、「この野郎!!」って相手に向かっていく気持ちも分からない。殴られて、ふっと意識が飛んで「あ、負けたんだ」っていう敗北感を味わいたかったんです。「一度KOしてくれないか?」って頼んだんですけど、さすがにそれは無理で。素人相手にさすがにそれはできないって言われました。でも僕の熱意に負けたのか(笑)、「そこまでがんばるんだったら」って2ラウンドだけスパーリングしてくださったんですよ。これはためになりましたね。今まで生きてきた中でもっとも長い3分間でした。もう長い長い! 3分が20分くらいに感じるんですよ。それに目の前にいるたった一人が何より怖かった( cinema cafe.net

すごい話だね。役作りのために殴られるなんて、ぜんぜん転職活動の参考にならないと思う人もいるかもしれない。でもね、不良マンガの登場人物になるために、見た目をワイルドに変えることは、そこまで難しいわけではないんじゃないかな。だから山田孝之のここでのメッセージは、内面だって変えられる、というものだと思うんだ。人間ってのは内面を変えるってことが一番難しくて、でも、殴られるような経験をすれば、内面だって変化させることができるんだね。『クローズ』での、そんな壮絶な役作りが実を結んで、山田孝之は「泣ける俳優」から「殴る蹴る俳優」へ、見事にイメージを変えてみせたのだからね。

どうだろう、マイフレンド。敗北感さえも自分を変える燃料にする山田孝之のたくましさを知ると、マンガ実写化俳優の役作りには到底かなわないと思ったかな。でも大丈夫。山田孝之はいつだって、あなたがあなたを実写化することを応援しているから。そんなわけで、最後になるけど、彼の最新の代表作『ウシジマくんパート3』でのインタビューの言葉を贈らせてね。

僕は「やりたいことは全部やってやる!」という気持ちでいます。昔からそうなんですけど、俳優よりももっとやりたいことが見つかったら最高の人生だなと思っているんです。そう考えることで架空の逃げ道を作って、俳優の仕事に少しだけ無責任になれれば、むしろ仕事でも好き放題ができる気がする。やりたいことを探してカタチにしていくと楽しいだろうし、より芝居の楽しさも見えてくると思っているんです( シネマトゥデイ

まさに転職しようとしているあなたへの、はなむけの言葉。やりたいことは全部やってやるという気持ちを持ちながら、架空の逃げ道を作って、少しだけ無責任になる。自分を実写化するうえで、これ以上の方針はないかもしれないよ。あなたが、あなたを実写化するときにも、少しだけ無責任になっていこうね。

小栗旬。
山田孝之。
ありがとう。
あなたが、あなたを実写化するときの困難に立ち向かえるように、マンガ実写化俳優たちはこれからも、お手本であり続けてくれるよ。だから安心して、変わりたい自分、そうなりたい理想のイメージを、手帳に書き込んでみようよ。それが、あなたが実写化すべきマンガの原作。大切にしていこうね。

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髙畑鍬名(たかはた・くわな)
映画監督。監督作『FUCK ME TO THE MOON』がDMMにて配信中。タイトルが気になった方は、ぜひチェックしてみてください。→http://www.dmm.com/digital/cinema/-/detail/=/cid=5492moosic00002/
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