チームでテレワークを成功させるには“雑談”が必要だ

チームで仕事をするために必要なこと 第15回

2020/04/01
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著者:日野瑛太郎
 

今年の3月ぐらいから、新型コロナウイルス対策のため全社的にリモートワーク導入に踏み切る企業が続出しました。リモートワークというワークスタイル自体はこれ以前から存在しており、一部の企業などでは既に採用されてはいましたが、ここまで一斉に日本中がリモートワークを試すことになったのは、おそらく史上初めてのことではないかと思います。

仮定の話としてリモートワークを語るのと、実際にリモートワークをやってみるのとでは、大きな違いがあります。今回初めてリモートワークをすることになった人たちの感想をネットなどで見ていると、どうやら意見は二分されているようでした。「思っていたよりも支障がなかった」「むしろリモートワークの導入によって生産性が増した気がする」という肯定的なものもあれば、「やはり家だと怠けてしまう」「実際に会って人と話をしないと不安。長くは続けられそうにない」という否定的なものもあります。

チームで密にコミュニケーションをするタイプの働き方をしている人たちの場合、リモートワークの導入には一工夫必要です。たしかに、テクノロジーの進歩によって、多くの仕事は家からでもできるようになりました。会社支給のノートパソコンでVPNに接続すれば社内のデータにもアクセスできますし、ビデオ会議用のツールを使えば相手の顔を見ながら会議もできます。しかし、それらのツールを入れるだけでは、必ずしもチームでスムーズに仕事ができるようにはなりません。会社の方針で半ば強制的にリモートワークをすることになり、戸惑ってしまったチームも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、チームでリモートワークを成功させるためにはどんなことに気をつけるべきか、考察してみたいと思います。

リモートワークによって失われる“非言語コミュニケーション”とは?

まず、リモートワークによって何ができなくなるかについて考えてみましょう。前述のように、社内のデータにアクセスしたり、会議を実施したりといった仕事のコアの部分は、今やオフィスにいなくても特に問題なく実現できます。リモートワークによって失われるのはもう少し仕事の副次的な部分です。具体的には、言葉を介さないコミュニケーションが、リモートワークだと少し難しくなります

たとえば、オフィスで働いている場合、ある人が忙しそうにしているかどうかは、実際に話しかけなくても表情やパソコンに向かっている姿勢などからなんとなく察することが可能です。ディスプレイを睨んで真剣にタイピングをしているなら「ちょっと今は話しかけるのはやめておこう」となるし、逆にコーヒーを片手にリラックスした表情でディスプレイを見ているようであれば、「話しかけても大丈夫だろう」と判断することができます。

これらはいずれも言語による情報ではなく、表情や行動といった非言語による情報でその人の「忙しさ」を判断していることになります。我々がオフィスで実際に集まってチームメンバーと仕事をしている場合、意識しているかは別として、このような非言語による情報に基づいたコミュニケーションをほぼ必ず行っています。そしてリモートワークになると、このような情報は抜け落ちてしまいます。これがリモートワークで働く場合に「なんとなくコミュニケーションがうまくいってない」と感じる原因のひとつです。

雑談できる場所を確保する

非言語による情報でその人の様子が把握できなくなると、最初に困ってしまうのは「話しかけるタイミング」が掴めなくなることです。ただ、これは実はそれほど大きな問題ではありません。

リモートワークでは、SlackやChatworkなどのチャットツールがコミュニケーション手段として主に使用されますが、これらのツールを使っているなら「話しかけるタイミング」は本来、別に気にしなくてもよいはずのものです。多くのチャットツールでは相手の名前を入れて投稿をすると相手に通知が飛びますが、これは意図的にオフにすることができます。「集中して作業したい時は通知を切る」というルールにしておけば、相手の作業を中断してしまう心配は最初からなくなります。また、仮に通知が来てもすぐに返信をしなければならないわけではありません。このあたりはチームでルールを事前に決めておくことで、生産性を損なわずにリモートワークに移行できます。

それよりも問題なのは、リモートワークだと雑談がしづらくなることです。オフィスで働いている場合、夕方などの集中力が落ちてくる時間になると、誰かがなんとなく雑談を始めることがあります。それに徐々に周囲の人が加わっていき、盛り上がることもよくあります。一見、これらは仕事には何の関係もないように見えますが(厳しい人になると、これはサボっているのと同じだと思うかもしれません)、このような雑談には実はとても重要な意味があります

チームで働く場合には、メンバーの人となりはわかっていたほうが絶対に働きやすいものです。雑談の場を重ねていくことで、「あの人はこういうことに興味がある」「この人は今これで悩んでいる」といったことが暗黙的に共有されます。つまり、雑談がコミュニケーションのベースを作っているわけです。チームから雑談を完全に抜いてしまうと、このコミュニケーションのベースが失われるので、仕事上のコミュニケーションもどこかぎこちないものになってしまいます。

そこでリモートワークをうまく回すには、なんとかして雑談の場をオンライン上に持っていく必要があります。ところが、実際にやってみるとこれが一筋縄ではいきません。

“オンライン雑談”は可能か?

まず、誰もが最初に思いつくのが、チャットスペース上に「雑談専用チャンネル」を設けるという方法です。これはたしかに一定の効果はあるので、やらないよりは絶対にやったほうがよい施策だと言えます。

しかし、実際にやってみると起きやすいのが、発言者がメンバーの一部に偏ってしまうというものです。チャットの雑談に積極的に加わりたいと思うかどうかは人によるところがあり、「なんか違うかなぁ」と思った人は結局、雑談チャンネルをほとんど見ないようになります。これでは効果は限定的です。

そこで僕が提案したいのは、ビデオ会議を利用して雑談の時間を意図的に設けるという方法です。ビデオ会議と言っても、内容は会議ではありません。夕方ぐらいの時間に、なんとなく人と話したい人がオンライン上に集まって話せる枠を用意するのです。相手の表情は見えたほうが絶対によいので、カメラはオンにします。参加は自由で、もちろん途中抜けしても構いません。

わざわざ雑談専用の会議を開催すると聞くと驚く人も多いのですが、実際にやってみると、これが意外と悪くないということに気づきます。夕方ぐらいに開催するというのがポイントで、ひとり自宅で黙々と仕事をしていると、人間は夕方ぐらいにちょうど誰かと話したいという気持ちになるものです。そういうこともあってか、以前とある会社でこの方法でリモートワークをした時は、夕方の雑談の時間は盛況でした。もちろん、いつ開催するのがよいのかは、メンバー各自の事情を考慮してチームごとに柔軟に決定するとよいでしょう。

リモートワークはチームの可能性を広げる

リモートでもチームワークが発揮できるとなれば、様々な可能性が開けるようになります。通勤がない分、自由に使える時間が増えますし、遠隔地にいる人たち同士でチームを結成することもできます。最初はコミュニケーションに違和感があるかもしれませんが、やり方を工夫すれば適応していくことは十分に可能です。

どんなチームでも、最初から100%うまくリモートワークを導入することはできません。だからと言ってすぐに「チームでリモートワークは無理だ」と結論を出すのではなく、ぜひ色々な工夫を試してみて欲しいと思います。


photo by Giulia Forsythe

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