「チームの雰囲気が悪くなってきた」と感じたらするべきこと

チームで仕事をするために必要なこと 第9回

2019/10/02
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著者:日野瑛太郎
 

チームで働いていると、明確な理由はわからないものの、チームの雰囲気が悪くなってきたと感じることがあります。チームメンバーの多くがちょっとしたことで苛立つようになったり、誰かのミスに対して執拗に責任追及をすることが常態化したり、あるいは単純にチーム内で冗談を聞くことがほとんどなくなったり――自分の働くチームを以前と比べて「居心地が悪い」と感じるようになることは間々あります。

もちろん、仕事のチームは単なる仲良しグループとは違うので、必ずしもメンバー全員がベタベタと仲良くすればいいわけではありません。適度な緊張感があったほうが仕事はしっかりやれると考える人もいるでしょう。しかし、単にチームの雰囲気が悪いことと、チーム内に適度な緊張感があることとは、似ているようで違います。チームの雰囲気の悪さは、ほとんどの場合そのままチームのパフォーマンス低下に繋がります。実際、僕の知る範囲で「チームの雰囲気は最悪だがパフォーマンスは上々だ」というチームを見たことは一度もありません。

チームの雰囲気が悪化する理由には、もちろん様々なバリエーションが存在します。すべてを網羅することはできませんが、その中でも特に今回は「人間に起因すること」と、「仕事そのものに起因すること」という2つの軸に沿って、チームの雰囲気悪化の原因を考えてみたいと思います。その上で、それにはどのような対処をすればいいかも同時に考えます。

チームの雰囲気は主にリーダーが作っている

まずは、人間に起因する雰囲気悪化についてです。チームは人と人とが同じ目的達成のために協働することで成立しますが、その構成要素である「人間」がチームの雰囲気醸成の中心を占めているであろうことは容易に想像できます。

その中でも、チームの雰囲気を作る中心人物はリーダーです。実際に、あなたの身近なチームのことを思い浮かべてみればわかると思いますが、チームの雰囲気はリーダーの影響を強く受けているはずです。リーダーが厳しいピリピリした人だとチームの雰囲気は彼につられてピリッとしますし、逆にリーダーが穏やかな人のチームは、チームの雰囲気も穏やかになりがちです。もちろん例外は存在しますが、そういった傾向があることには同意いただけるのではないでしょうか。

大事なことは、リーダーがそのことに自覚的でなければならないということです。ところが、自分の一挙手一投足が、チームの雰囲気を容易に良い方向にも悪い方向にも変えてしまうということを、自覚しているリーダーはあまり多くありません。

たとえば、会議でリーダーが誰かの素朴な質問に対して「あまり幼稚な質問はしないように」と注意をしたとします。リーダーはこの発言にそれほど深い意味を込めていなかったとしても、この発言はチームの雰囲気に大きな影響を与えます。そのチームでは今後、会議で発言をする人や質問をする人は激減するでしょうし、さらには会議以外の場所でも、発言する前にためらってしまう人が増えるでしょう。それはそのままチーム内の風通しの悪さへと繋がります。かように、リーダーの与える影響は絶大です。

そこでリーダーは、チームの雰囲気がよくないと感じたら、まずは自分の日頃の行動に問題がないかをぜひ疑ってみてほしいと思います。そういえば最近忙しくてついメンバーに対して邪険な態度を取ってしまった、など思い当たることがあるのなら、実はそれがチームの雰囲気悪化の原因になっているかもしれません。ぜひ見直してみてください。

チーム内の問題人物にはリーダーが毅然とした対応を

また、リーダーの影響とは別に、チーム内に「この人のせいでチームの雰囲気が悪くなっている」と明確に言える人物がいる場合もあります。事あるごとに顧客や同僚の悪口を言いふらしたり、割り振られた仕事をまったくしようとしなかったりするなど、誰が見ても問題行動を取る人がチーム内にいると、チームの雰囲気はみるみる悪化していきます。

身も蓋もないようですが、この手の問題に対処する方法は基本的には2つしかありません。ひとつは問題の人物に問題行動を改めてもらうことで、もうひとつは、問題の人物にチームから出ていってもらうことです。このいずれかもできないというのであれば、チームの雰囲気が改善されることはありえません。

この手の問題人物のせいで雰囲気が悪くなっているチームでは、多くの場合「誰もその問題人物に明確な注意を与えていない」という状況もセットになっています。リーダーがことなかれ主義者で、見て見ぬ振りをしているということも多いものです。

この場合、注意を与えるのはリーダーの役割であり義務でもあります。リーダーが何もしないでいると、一介のメンバーはその仕事を辞める以外の方法では対処ができません。そうならないように、リーダーは毅然とした態度で事に対処して欲しいと思います。

仕事の成功体験がゼロのチームの雰囲気は悪くなる

チームメンバーには特に不満はない、リーダーもチームの風通しをよくするよう努力している、しかしなぜかチームの雰囲気が悪くなってきた――この場合、雰囲気悪化の原因は仕事そのものにあります。一言で言うと、仕事が全然うまく行っていないと、やはりチームの雰囲気は悪化します

たとえばチームに課された目標が未達で、それどころか目標に向かって進んでいる気すらしないという場合、チームメンバーは仕事で達成感をまったく味わっていません。達成感がまったくない仕事は単なる苦行です。そのような状態で気持ちよく働き続けられないのは、あたりまえです。

この場合、必要なのはどんな小さなことでもいいので、チームでまず成功体験を積むことです。いきなり大きな目標を達成する必要はありません(普通、それはできません)。些細なことでも「仕事が先に進んでいる」という感覚さえ得られるようになれば、チームの雰囲気はまた上向いていきます

まずはチームに課せられた目標を分解し、小さな目標を作るところから始める必要があります。その際には、わざと手加減した「簡単に達成できそうな目標」を設定するのがコツです。よく、目標設定の場では「ストレッチ目標」と言って「頑張るとギリギリ達成できるぐらいの目標」を設定することが推奨されますが、それは成功体験があるチームの場合の話です。チームの成功体験がゼロなら、まずは何より成功体験の獲得を優先しなければいけません

業務のゆとりがゼロだとチームの雰囲気は悪化する

もうひとつ、仕事が原因でチームの雰囲気が悪化する理由として、単純に「仕事が忙しすぎる」という場合があります。つねにギリギリの人数で、休憩も取れず、残業は常態化し、休みも取れないという状況になれば、どんなにメンバー個々人の人格が優れているチームであっても雰囲気は悪くなります。

残念ながらこの状態は、チームメンバー各人の努力ではなく、経営陣によって解決がなされるべきものです。もちろんリーダーは窮状を上に強く訴えるべきですが、それに対してリソース増強や業務量緩和といった判断をするのはさらに上の人間です。彼らが問題だと思わない限り、状況は基本的に改善されません。

そこで僕はぜひ、上に立っている人たちには「ゆとり」の重要性を認識していただきたいと思っています。経営者には、業務にゆとりがあるという状況は、それだけ効率が悪いというふうに映るかもしれませんが、それは間違っています。ゆとりは人間に立ち止まって考える機会を与えます。これが結果的に仕事に変化をもたらすことになり、チームの活動に非連続的な成長をもたらすのです。ゆとりがイノベーションの源泉になると言っても言い過ぎではないでしょう。

業務にゆとりがないという状況は、このような非連続的な変化の可能性が閉ざされていることを意味します。単にチームの雰囲気が悪くなるという以外にも多くの問題があることを、ぜひ上に立つ人には知っていただきたいものです。

以上、様々な理由から起こるチームの雰囲気悪化について考察してきました。チームの雰囲気をよくするためにできることは自身の立場による限界もありますが、ぜひ自分の立場で出来る最大限のことを試してみて欲しいと思います。


photo by David Joyce

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