個性的な人はどうすればチームで活かせるのか?

2019/05/08
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著者:日野瑛太郎
 

チームで仕事をしようとすると、メンバーには様々なタイプの人がいることに気がつきます。真面目で職人気質な人もいれば、社交的でチームのムードメーカー的な人もいます。中にはこういった「タイプ」では捉えきれないような、個性的な人と一緒に働くことになる場合もあります。

従来の日本型組織では、こういった個性的な人はチーム内で浮いてしまうことが少なくありませんでした。集団が均質であることを好み、出る杭はすぐに打たれてしまう日本の組織では、どうしても個性的な人は排除されてしまいます。排除までとはいかなくても、腫れ物に触るように扱われてチーム内であまり力が発揮できていないという例はよく耳にします。

これは非常にもったいないことです。チームに様々な個性を持ったメンバーが増えることはチームの多様性を高めることにつながり、これは結果的にはチームの力を高めることになります(詳しくは「ダイバーシティの推進は組織にとっても労働者にとってもメリットしかない」参照)。今後は、個性的な人を活かすことができるチームこそが、真の意味での強いチームになっていくに違いありません。

では、個性的な人が能力を最大限に発揮できるチームは、従来の均質性を重んじる日本的なチームと何が違うのでしょうか。また、仮に個性的な人がチームで浮いてしまったり、排除されそうになってしまったりした時にはどう対処すべきなのでしょうか。今回は、これらのテーマについて考えてみたいと思います。

チームワークで許される個性と許されない個性

まず前提として、個性と一言で言っても様々な個性があり、そのすべてがチームで働く場合に許容されるわけではないということを確認しておく必要があります。

ある個性がどこまで許容されるかは、業態やプロジェクトの目的によって異なります。たとえば、僕が過去に所属していたウェブ業界であれば、服装などの個性はほぼ無制限に許容されていました。実際、オフィスにビーチサンダルと短パンで出社する人もいましたし、髪をピンク色に染めている人と一緒に働いたこともあります。これがたとえば接客業などの業態であれば、このような個性的な服装をすることは許容できないはずです。このあたりの線引きは業態によってある程度慣習的に決まってしまっているものなので、基本的には受け入れるしかないでしょう。

また、どんな業態のチームであっても、チームワークを明らかに乱す人の個性まで尊重しなければならないわけではありません。たとえば、メンバーの人格を否定する発言を頻繁にする人はたしかに個性的かもしれませんが、こういった人をチームが無理して受け入れるべきでないことは明らかです。

難しいのは、人によって「あり」と「なし」が分かれるようなグレーな個性です。従来の日本型組織だと、この手のグレーな個性もすべて排除という判断がされがちでした。言い換えるなら、「他の人と違うものは基本的にアウト」にしてしまっていたということです。このやり方では到底、個性的な人がチームで活かされることはありません。

僕が提案したいのは、この「他の人と違うものは基本的にアウト」という判断基準から「どうしても譲れない要素以外は他の人と違っていてもセーフ」という判断基準に転換することです。個性は原則として尊重する、と言い換えてもいいでしょう。相手が変わった人でも、基本的にはチームに受け入れる方向でまずは考えてみるということです。これは些細な違いのようで、大きな転換になります。

個性的な人を活かすためにもチームの「コアバリュー」を定義する必要がある

「どうしても譲れない要素以外は他の人と違っていてもセーフ」という判断基準でチームメンバーを受け入れるなら、次に問題になるのはこの「どうしても譲れない要素」が何なのかということです。このようなチームにとってどうしても譲れない、すべてのメンバーが持っていなければならない要素(価値観)のことを「コアバリュー」と言う場合があります。個性的な人が活躍できるチームをつくるためには、このコアバリューを定義しなければなりません。

コアバリューを定義していないと、チームである個性が許されるのか許されないのかの判断をする方法がなくなります。そうなると結局、個人のフィーリングで個性的な人が排除されるようになり、今までと何も変わらないということになりかねません。コアバリューが決まっていれば、そこに立ち返って考えることでその人の個性が許容されるのかどうか判断することができます。

たとえば、あるウェブサービスを開発するチームのコアバリューが「ユーザーに驚きを届ける」だったとします。このコアバリューに照らすと、他の人が考えないような突飛な発想をする人はむしろ歓迎ということになるでしょう。仮にその人が奇抜な服装をしていたり、普通の人とはちょっと違った趣味に熱中していたりしたとしても、排除する理由にはなりません。このように、コアバリューに関係がない要素では絶対に相手を否定しないというシンプルな方針に従うことで、個性的な人でも活躍できるカルチャーをチームに芽生えさせることができます。

個性的な人が活きるチームには、ルールが少ない

個性的な人を活かすことができるチームは、コアバリュー以外のことについてはあまり細かく言いません。基本的に、優秀で個性的な人は細かなルールによって縛られることを嫌います。実際、細かなルールが多いチームでの仕事は窮屈なものです。優秀な人材に最大限の力を発揮してもらうという意味でも、細かなルールで人を縛るようなマネジメントを敷くべきではありません。

そもそも、細かなルールがたくさん必要だという時点で、コアバリューがしっかり定まっていないことが疑われます。そのルールがコアバリューに直結するようなものであればわざわざ細かくルール化しなくてもみんなが当然守っていなければならないものですし、コアバリューに直結しないようなルールなのであれば、そのルール自体が存在すべきでないものです。仮にチームで働いていて細かなルールをたくさん作ることが必要だと感じたならば、それはチームのコアバリューが明確になっていない可能性が高いです。一度、チームでコアバリューについてよく話し合ってみる必要があるでしょう。

個性的な人が排除されそうになった時にはどうすべきか

しっかりコアバリューを定めたはずなのに、それとは関係がない部分で個性的な人がチームから排除されそうになってしまったら、チームはどうすべきなのでしょうか。

そういうことが発生してしまう背景には、ふたつの可能性があります。ひとつ目は、コアバリューとして定義したはずの価値観に、本来含まれているべきだったものが含まれていなかった可能性です。これは、コアバリューの策定が不十分だったことを意味します。改めてチームでよく話しあって(もちろん、話し合いにはその「個性的な人」にも加わってもらうべきです)「どういう価値観を持っている人たちと一緒に働きたいか」を改めて合意しなければなりません。その上で個性的な人を改めて許容するのか、それとも個性的な人に何か行動を改めてもらうのか、あるいは(最悪のケースですが)チームを去ってもらうのかを決める必要があります。

ふたつ目は、コアバリューと多様性を大切にすることの重要さが、チームメンバーに十分に浸透していない可能性です。実際、コアバリューが形骸化してしまったり、多様性が大事と言っておきながら現実には均質な人ばかりが集まってしまったりすることはよくあることです。この状態に陥ることを防ぐためには、リーダーがコアバリューの大切さを何度も説くことは当然として、実際に個性的なメンバーをどんどんチームに加入させていくことが効果的です。チームに個性的な人がひとりという状態ではその人は浮いてしまうかもしれませんが、チームに個性的な人が他にもたくさんいれば、個性的なことが普通になり、結果的にチームの多様性が保たれるからです。

もちろん、個性的な人が伸び伸びと働けるような多様性のあるチームは、一朝一夕で築けるものではありません。それでも変化する努力を続けていけば、必ずチームの多様性は高まります。少しずつでいいので、根気強くぜひ挑戦してみてください。


photo by Dean Hochman

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