自分の意志を持たないリーダーが率いるチームの末路

チームで仕事をするために必要なこと 第12回

2020/01/07
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著者:日野瑛太郎
 

チームのリーダーにはいろいろなタイプの人がいます。強いビジョンを提示してメンバーをひとつの方向に導こうとする人もいれば、広くメンバーから意見を募って、できるだけ民主的に事を進めたがる人がいます。それぞれ一長一短はありますが、きちんとリーダーシップを発揮しようとしている点ではどちらのリーダーも同じです。

ところが、世の中にはリーダーシップをまったく発揮しようとしない困ったリーダーも存在します。自分の意志はまったくなく、事なかれ主義でやることといえば経営陣の忖度ばかりと、およそリーダーらしいところがまったくないのが彼らの特徴です。

入社から時間が経つと自動的に管理職へ登用される年功序列の企業だと、マネージャーになる素質がない人までいつかはマネージャーになってしまいます。こういったタイプのリーダーはスタートアップなどではあまり見かけないのですが、古くからある日本企業などにはまだまだ大勢います

このような自分の意志を持たないリーダーに率いられたチームは、最終的にはどうなってしまうのでしょうか? 今回はまず、そのようなリーダーの下で起こりうることを色々と考察します。その上で、万が一この手のリーダーの下で働くことになってしまったら、どうすればいいのかについても提案したいと思います。

自分の意志を持たないリーダーの意見はコロコロ変わる

自分の意志を持たないリーダーにとって、仕事とは何かを達成するためにあるのではなく、できるだけ波風を立てずに時を過ごすためにあります。それゆえ、この手のリーダーは基本的に経営層の顔色ばかり窺うことになり、指示内容が一貫せず、コロコロと言うことが変わります

経営層の仕事は組織全体の行動に方向性を与えることですが、そうは言っても現場には現場なりの事情があるのが普通です。一般的なリーダーであれば、そういった現場の事情を勘案した上で経営層の方針を自分なりに咀嚼し、現場のメンバーが納得して実行可能な状態に落とし込もうとしますが、事なかれ主義のリーダーはそういうことは一切しません。そのため、現場のメンバーは指示の背景も理解できず、ただただ混乱します。

また、この手のリーダーは現場が主体的に何かすることを嫌がります。自分が責任を負いたくないので、現場の提案は何やかやと理由をつけて必ず潰しますし、部下が勝手に経営層の意向に沿わないことをやると激怒します。逆にこの手のリーダーが好むのは、言われたことには従うが自分から何かをしようとはしない、自分の意志を持たない部下ということになります。

やる気のある人は辞めていき、やる気のない人は居着く

当然ながら、こういったリーダーの下ではやる気のあるメンバーが真っ先に辞めることになります。主体的に動くことが許されない環境は、やる気のある人にとっては非常につらいものです。最初はなんとかリーダーを説得しようとして頑張るかもしれませんが、その説得が功を奏することはまずありません。ほとんどの場合は、リーダーに失望してチームから去っていく道を選ぶことになります。

一方で、やる気のない人にとっては、この手のリーダーの下で働くのはそれほどつらくはありません。とりあえず言われたことだけほどほどにやって、あとはネットサーフィンでもして時間を潰していれば、業務時間はやり過ごせます。見方次第では、非常に快適な環境だと言えるかもしれません。

チーム内の空気は伝播するので、最初はやる気があったはずの人が、気づけばやる気のない人に変わっているということも起こるでしょう。いずれチーム内からやる気のある人は誰もいなくなり、メンバーはやる気のない人だけで構成されるようになります。

つまり、自分の意志を持たないリーダーに率いられるチームには、自分の意志を持たないメンバーだけが残るということです。

チャレンジをしないので失敗もしない

もしそんなチームがあったとしたら、すぐにでも潰されてしまうだろうと思った人もいるかもしれません。しかし、実際は必ずしもそうではないのです。

この手のチームでは誰ひとりとして難しい課題にチャレンジしないので、必然的に失敗することもなくなります。もちろん、大きな成果を上げることもないのですが、傍から見るとこの手のチームは「無難にやっている」ように見えてしまいます。

その結果、組織の中では潰されずになんとなく存続し続けることも少なくありません。言ってみれば、組織の中に巣食うゾンビのような存在になるわけです。この手のゾンビ化したチームは、特に古い大企業にはたくさん存在すると思われます。

大企業が長い時間をかけてゆっくりと凋落していくのは、こういったゾンビ化したチームに原因があると言ってもよいかもしれません。チームだけにとどまらず、企業全体が責任回避的でチャレンジをしない社風になってしまっている会社もあります。そうなってしまえば、そう遠くない未来に会社が沈んでいくことはほぼ確実です。

自分の意志を持たない上司にあたってしまったら?

このように会社全体を蝕む原因になりかねない自分の意志を持たないリーダーですが、ではそのような人が実際に上司になってしまった場合は、一個人としてはどうすればよいのでしょうか? これは、チーム全体がどれだけその上司の影響を受けているかによって取るべき対応が異なります。

まず、やる気のない人がまだその上司だけで、チーム内の他のメンバーにはやる気があり、彼らと協力関係が築けるようであれば、逆にその上司を利用して自分たちがやりたいことを実現する方向に持っていくという対応が考えられます。

基本的に、この手の上司は「面倒事を背負い込みたくない」という責任回避志向が強いだけなので、上司が責任を取らなくてよいということさえ明確になれば、部下が何をしていようと放っておいてくれます。つまり、自由にやらせてくれるということです。

そこでまずは、「上司は責任をとらなくてよい」ということを納得してもらいます。方法としては、上司のさらに上司や別のチームのマネージャーなどに相談し、上司以外の人の指示で動いているという形にするのがよいでしょう。ややトリッキーな方法ではありますが、自分でない誰かが責任を取るということが明確になっていると、この手の上司は安心します。

次に、既に上司のやる気のなさがチーム全体に伝搬しており、やる気のある人物が自分しかいない場合ですが、その時は残念ながらできることはほとんどありません。誰からも協力が得られないようであれば、チームを変えられるタイミングは既に過ぎています。異動を願い出て別のチームに移ることを模索するか、最悪の場合、転職して別の会社に行くことを検討するしかないでしょう。

ここで下手にチームを変えようと大立ち回りを演じて、無用な消耗をするのはおすすめしません。それは単なる自己満足に終わる可能性があります。それなら主体的に働ける別な環境を探して、そこでエネルギーを使ったほうが社会のためにもなるのではないでしょうか。

そしてもうひとつ大切なことは、自分自身はこういった事なかれ主義のリーダーにはならないようにすることです。反面教師としては、この手のリーダーは理想的です。ぜひ、彼らからリーダーのアンチパターンを学び取ってみてください。

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