職場で「マウンティング」をしてくる社員の扱い方

チームで仕事をするために必要なこと 第11回

2019/12/03
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著者:日野瑛太郎
 

数年前から、対人関係において「マウンティング」という言葉をよく聞くようになりました。マウンティングとは、本来はサルやゴリラのような霊長類が自己の優位を誇示するためにする行動を指す言葉でしたが、今やこれは人間同士の関係においても広く使われています。

対人関係におけるマウンティングは、主に自慢やひけらかしという手段によって、話している相手よりも自分のほうが優位であることを示そうとする行為を指します。特に質問されたわけでもないのに自分から相手よりも学歴が高いことをアピールしてきたり、高収入であることや実家が裕福であることをひけらかしてきたりすることなどが、マウンティングの代表例です。あなたの周りにも、隙あらばこの手のマウンティングで周囲をしらけさせている人が一人ぐらいはいるのではないでしょうか?

プライベートの場でマウンティングをしてくる人間に遭遇した場合は、その人と距離を取ることさえできれば被害は最小限に食い止めることができます。ところが、仕事の場でマウンティングをしてくる人に出会ってしまった場合には、そう都合よく縁を切るわけにも行かずに困ってしまいます。同じチームの中に、四六時中マウンティングをしてくる人がいたらうんざりしますし、上司がマウンティングをしてくるタイプだったりした場合はもう地獄です。

そこで今回は、この手のマウンティング社員にどう対処すればよいかを考えてみたいと思います。まずは同僚や上司がマウンティング社員だった場合の一般的な対処法を考察し、その後はそういう人がチームにいた場合に、自分がマネージャーならどう行動するべきかについても検討します。

マウンティング社員と同じ土俵で戦ってはならない

マウンティングをしてくる人に対して一番やってはいけないことは、彼らに正面から反論しようとすることです。マウンティングは「自分のほうがお前よりすごい」ということを示すための行動なので、これに対して正面から反論すると、相手はさらに強いマウンティングで自分の優位性を保とうとします。こうなってしまうと泥沼で、マウンティングにうんざりする気持ちはさらに強くなることでしょう。

マウンティング社員をやり過ごしたいのであれば、絶対に彼らと同じ土俵で戦ってはいけません。たとえマウンティングされても、怒ったり反論したりはせず「おー、なんかこの人、マウンティングしてきてるなぁ」と一歩引いてその状況を把握することができれば、マウンティングをやり過ごすことは簡単です。

同じ土俵に立たずに一歩引いて状況を把握したら、あとは「へえ、そうなんですね」と言ってあげましょう。あまりにも敵意むき出しでこのセリフを言うと反論と受け取られるおそれがあるので、サラッと流すような気持ちで軽く言うのがおすすめです。あとはそのまま他の話題に転換してしまえば、相手はそれ以上マウンティングをしたくてもできません。

これは結局、「あなたとはマウントの取り合いはしませんよ」と言っているのと同じことです。何度もそういう態度を示していれば、物分かりのいい相手ならいずれマウンティングをやめてくれます(そういう物分かりのいい相手ばかりではないのがつらいところですが)。思うに、会社のチームメンバー間でどっちが優位なのかなどと争ったところでいいことはひとつもありません。チームの本当の課題に対処するという意味でも、マウンティングはスルーが基本です

上司のマウンティングには、仕事の相談で返す

同僚のような横の関係であれば上述のようなスルーでいいのですが、困ってしまうのはマウンティングをしてくる相手が上司だった場合です。本来であれば、上司と部下の間には形式上の上下関係があるので、わざわざマウンティングなどしなくてもいいはずなのですが、それをあえてしてくるというのは逆に相手が「自分は優位に立てていないのではないか?」という不安を抱いているということでもあります。

この場合も、一番やってはいけないのが反論して相手と対立することです。反論すれば、相手の不安はさらに増大しマウンティングはもっと激しくなります。ここで大事なのは、「マウンティングなんかしなくても、あなたは上司だから上の立場なんですよ」ということをやんわりとわからせることです。これを実現するために、僕はあえてその上司に「仕事の相談をする」という方法を勧めます。

熱心に仕事の相談をすれば、相手は自分が頼られていると感じるようになります。そうすれば上司の「優位に立てていない」という不安も和らぎ、マウンティングもいずれ止むかもしれません。

もちろん、一番いいのはマウンティングをしてくるような上司の下では働かないことですが、時には配属などでそういう事態に陥ることもあるはずです。この場合も相手と同じ土俵には立たないようにして、うまく切り抜けてみてください。

チームにマウンティング社員がいる場合、マネージャーは何をすべきか

最後に、やや特殊なケースですが、チーム内にマウンティング社員がいる際のマネージャーの役割について考えてみたいと思います。

「そんなのは本人に注意して終わりだろう」と考える人もいるかもしれませんが、すぐにそういう直接的な手段に飛びつくのは得策ではありません。マウンティングをする人は、自分ではマウンティングをしているという自覚に乏しいため、注意したとしても自分の問題行動をうまく反省できないことがよくあります。

それよりも大事なのは、なぜその社員がマウンティングばかりしているのかを考えることです。人がマウンティングをしなければならないのは、自分に自信がなく、自己肯定感に乏しいからです。そうだとすれば、仕事の割り当てをその人の適性が活きるものに変えたり、あるいはキャリア面談などでうまく目標設定をしたりすることで、その人の自己肯定感の醸成を促し、マウンティングを辞めさせることができるかもしれません。これらはすべて、マネージャーの職務のうちに入ります。

マウンティング社員がチームに入ってきた際に、「ああ、厄介な人を入れてしまった」と嘆くことは簡単です。そうするのではなく、まずはマネージャーの職務の範囲内で色々と改善を働きかけてみるのは前向きでとてもよい態度だと僕は思います。

もちろん、中にはマネージャーがどんなことをしても、問題行動が改善されない人はいるでしょう。あまりにも長期的に他のメンバーに悪い影響があるのなら、直接注意をしたり、他のチームに異動させたりすることも必要になるかもしれません。具体的にどうすべきかは、実際の被害の状況を見て判断する必要があります。

繰り返しになりますが、会社のチームメンバー間でどっちが優位なのかなどと争ったところで、いいことはひとつもありません。不毛なことに時間を取られないためにも、ぜひうまくマウンティング社員に対処する方法を身につけていただけたらと思います。


photo by Dejan Krsmanovic

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