【後編】「人が、幸福度高く、力を合わせるために“なんとかする”。それが僕にとってのマネジメント」為末大(Deportare Partners代表)

失敗ヒーロー!

2018/07/11
Pocket

華々しい成功の裏には、失敗や挫折がある。その失敗エピソードから成功の秘訣をヒモ解く『失敗ヒーロー!』。今回ご登場いただくのは、元陸上競技選手で400メートルハードル日本記録保持者の為末大さん。現在はSports×Technologyに関するプロジェクトを行うDeportare Partnersの代表を務める経営者でもあります。またツイッターやブログでの発信も注目され、「走る哲学者」との異名もお持ちです。後編では、そんな為末さんの引退後の歩みやアスリートだからこそのマネジメントの視点も伺います。

マネジメント=「なんとかする」。自分の役割は、空気を作ること

――会社は、陸上選手として現役の時に設立されていますね。設立当初はいかがでしたか?

tamesuedai02-02

為末大(ためすえ・だい)
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初めてメダルを獲得。3度のオリンピックに出場。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2018年5月現在)。現在はSports×Technologyに関するプロジェクトを行うDeportare Partnersの代表を務める。新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。主な著書に、『走る哲学』(扶桑社、2012年)、『諦める力』(プレジデント社、2013年)などがある。

為末大(以下為末):個人競技をずっとやっていたせいか、自分ひとりで決めて自分でやるのが至極の幸せとなっていたんです(笑)。会社を始めてすぐは、情報を分け合ったりコーチングしたりができず、失敗しましたね。これはチームを作らないと、どんなに優秀な人でもうまくいかないことがあるなと学習しました。

――ご自身をどのような社長だと思いますか?

為末:数字への執着が弱いので、そういう人間と組むしかないと思って割り切っています(笑)。全社会議をやるとき、月次の発表は5分くらいで終えて、そこから僕がずっとプレゼンをするんです。「唯一無二について」とか(笑)。

――おもしろいですね(笑)

為末:また何か言ってるよ、という感じでみんな最近諦めてきています(笑)。

――(笑)。マネジメントについては、どのようなお考えをお持ちですか?

tamesuedai02-03

為末:もしマネジメントを僕が日本語にするなら、「なんとかする」なのかなと思うんです。個人的には、統括するようなことは苦手なので、みんなが生き生きとするような状況を作る「管理人」になろうと思いました。場の空気にセンシティブなので、みんなやれるよねっていう空気をいかに作るか。これが現役時代、金メダルを獲るぞとなると、嫌いな人とでも力を合わせられたんですが、そこまで強烈じゃないと、嫌いな人とはやってられないじゃないですか(笑)。会社をやっていると、感情や空気で決まっていることも社会において多々あるんじゃないかと気づきました。だからどうすれば人が、幸福度高く、力を合わせる気になるかがテーマなんです。

――空気を読むために意識されていることはありますか?

為末:うちの社員によく言うのは、カウンターに座ろうということ。テーブルでは正面に座った瞬間に、対峙型の話し方になってしまいますよね。クライアントなどと精神的に、いかにカウンターで隣に座ってWin-Winになれるか。この問題どうしましょうねと、肩を並べて話せるかは大事なことだと思います。

tamesuedai02-04

あと大好きな話があるんですが、ある人が、首から下に麻痺のある方に電動車椅子を納入したんです。そのお客さんに肘掛けが高いと言われて、上げ下げの調節を繰り返しました。最後に「この高さがいいんだよ」おっしゃったのが、結局最初の高さだったそうなんです。仮に自分のアイデアだったとしても、相手が自分のものだと思えるように仕向けられるかは大事ですよね。意地の悪い話ではなくて、「俺が決めたんだ」という状況をいかに作れるかだと思います。肘掛けひとつでも自分で高さを決められたら、愛着が持てるはず。だから社員にも、僕からの命令はできるだけしないようにしています。出てきたアイデアに対して、こうやってみようと返していく感じでしょうか。

マネたまご マネたまをフォローすれば最新記事をお届けします!
運営会社 | Copyright © kaonavi, inc. All Rights Reserved.