リーダーに必須なのは、強さと優しさと判断力! ゴリラとチンパンジーから学ぶ組織運営を円滑にするために必要な要素って?

「働く」を考える。

2018/07/17
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リーダーに求められる資質とメリット、その苦労とは

――へぇー、メスは立ち回りの上手さが重要になってくるわけですね。群れの上位にいることによるメリットとデメリットとしては、どんなことが考えられますか?

メリットは何かをする時に、優先的に良いポジションを取ることができるという点ですね。デメリットとしては、上に立つ者としての苦労があると思います。やはりオスもメスも、立ち回りの上手さが必要なんですよ。
特にオスは力が強いだけ、優しいだけではリーダーになれません。群れ全体をまとめる統率力や賢さ、包容力、気配りも必要になるんです。

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――なんだか、まるで人間のようですね……。それに対して、下位であることのメリットはあるのでしょうか。

正直、下位にいて得することはないと思いますね。

――メリットを感じたいなら、上に行くしかない、と。では、リーダーが入れ替わるような「下剋上」も?

多少の順位変動はありますが、基本的には大人になってからの順位は変わらないと思いますね。あくまで大人になるまでが重要なんです。

ただ、リーダーも常にパーフェクトに判断できるわけではありません。群れのメンバーが喧嘩をして、どちらに非があるかの判断を上手く下すことができないと、下の者たちからやんややんやと抗議されることもあるんです。

――リーダーは喧嘩の仲裁までするんですね! その際に判断力も問われると。

はい。むしろ喧嘩の仲裁こそが、リーダーの役目なんです。それができないと、群れのみんなからの信頼は得られません。

――ますます人間社会に通じるところがありますね……! オスはどのように群れでの立ち居振る舞いを覚えていくのでしょうか?

たとえばチンパンジーの場合、若いオスが力をつけてきたからといって群れの中で好き勝手なことをし始めると、大人のメスにこっぴどくやられてしまうんです。そうしたことを経験しながら、群れでの立ち居振る舞いを覚えたオスが、大人になるにつれて一目置かれるようになるんじゃないかと思いますね。

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▲アスレチックの上でコミュニケーションをとる2頭のチンパンジー

群れの生活で重要なのは、「挨拶」と「暗黙のルール」!?

――ところで、チンパンジーとゴリラは「マウンティング」と呼ばれる行為をするのでしょうか?

ゴリラもチンパンジーもマウンティングをします。どちらの種も立場が下の者は、必ずリーダーに挨拶に行きますよ。

――え、挨拶!?

はい。夜間は個室で過ごして朝の開園前に広場で集合するのですが、その時に下位の者がリーダーに近寄っていって、手を差し出したり、お尻を見せたりするんです。するとリーダーは差し出された手にタッチする。それが挨拶です。

――へぇー、礼儀まであるのですね。

ただ、リーダーもいつも機嫌がいいわけじゃないので、たまに挨拶を無視することもあるんです(笑)。逆に、下の者が挨拶をしに来ないと「どうして挨拶に来ないんだ!」と怒ることもあります。

――面白いなぁ。まるで会社組織のようですね。となると、プレゼントでご機嫌取りをすることも?

いえ、プレゼントはないですね。食べているものを、他の個体が欲しそうにじっと隣で見ている時はありますが。ただ、個人の食べものを横取りするのは、やってはいけないことなんです。

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▲チンパンジーの群れのメンバー構成を説明する、動物相談員の島原直樹さん

――御法度もあるのですね。毛づくろいなど、群れの平和を維持するための行動をとることはあるのでしょうか。

今お話ししたように、とにかくしっかり「挨拶」をして、「横取り」はしない。あとは他の者が何かをしている時に、邪魔に入らないこと。これらのことは、みんな暗黙のルールとして守っているように思いますね。人間の目から見ても、「それはまずいだろう」と思うことを誰かがやると、間違いなくトラブルになりますから。

――チンパンジーやゴリラの世界も、リーダーは強さと優しさ、目配りと判断力が大切で、下の者は礼儀を守り、上手く立ち回ることが必要なんですね。こうしたことって人間社会でも同様に大事なことですよね。

そう思います。チンパンジーやゴリラって人間のような言葉を発しないだけで、それ以外は本当に人間そのものなんですよ。
長いこと接していると、みんな性格がそれぞれ違って個性豊かなことが分かって、面白いですね。家族や群れのつながりも強いので、本当に人間を見ているような気持ちになります。

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