鈴井貴之「失敗」が僕の通常モード。だから、一か八かで勝負ができる【後編】

失敗ヒーロー!

2019/08/21
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華々しい成功の裏には、失敗や挫折がある。その失敗エピソードから成功の秘訣をヒモ解く『失敗ヒーロー!』。前編に引き続き、映画監督、タレント、放送作家として、テレビや演劇業界を盛り上げてきた鈴井貴之さんが登場。後編では「僕の人生は失敗だらけ」とおっしゃる鈴井さんの失敗の向き合い方について迫っていきます。

言えない失敗ばかりだけど、それがあるから次に進める

――前編では『水曜どうでしょう』の裏話などを伺ってきました。これまでも、地方だからこその苦労もあったかと思いますが、連載タイトル『失敗ヒーロー!』にちなんで、失敗談を教えてください。

鈴井貴之(すずい・たかゆき)
1962年5月6日生まれ、北海道出身。CREATIVE OFFICE CUEの取締役会長。映画監督、タレント、放送作家。大学在学中に演劇に出会い中退、以後いくつかの劇団を立ち上げて北海道の演劇界にその名を轟かす。1992年にCREATIVE OFFICE CUEを立ち上げ、自身も出演、企画、構成をした『水曜どうでしょう』が全国で人気に。2010年プロジェクトとしてOOPARTSを再始動。Takayuki Suzuki Project No.5 OOPARTS『リ・リ・リストラ〜仁義ある戦い・ハンバーガー代理戦争』が東京・札幌・大阪にて2019年8月23日より開幕。

鈴井貴之(以下鈴井):失敗だらけだからなあ。今までの人生で上手くいったことって逆に何があるんだろう? 僕は常に失敗している意識があるから、頑張らなきゃと思えるんですよね。言えない失敗ばっかりだもん(笑)。

――気になりますね(笑)。

鈴井:つまずいてばかりなんですよ。受験だって失敗しているし。『水曜どうでしょう』にしたって、失敗とはいわなくても成功とも思っていません。舞台や映画をやっても、すぐ嫌悪感というか、反省が出てきちゃうんですよ。「なんでこういう演出にしちゃったんだろう」って。でも、それがあるから次に向かえる。それは偉大なる大先輩が教えてくださったことでもあります。

――大先輩ですか。どなたか教えてください!

鈴井:深作欣二監督です。いつも映画を作っては、試写の最初で反省点が見えて立ち上がりたくなると。僕が初監督をやる時に対談させてもらったんですが、巷の噂とは違ってすごく優しい方でした。「なぜこんなふうに撮ったんだろうと反省するのは、未来永劫続いてく。これでよかった、満足だと思えたら、そこで終了だ」と教えていただきました。だから、失敗は次への原動力だと思っています。

“安パイ”が量産されてもつまらない

――昨今、何かと失敗できない世の中ですよね。一度失敗したら、立ち上がれないくらいに世間から叩かれてしまうことも…。

鈴井:そうですね。あくまで僕個人の考えですが、北海道の魅力一つは「失敗できること」だと思うんですよ。失敗しても許してもらえるんです。糧にしてがんばれって。でも東京だったら、失敗したら次がありません。空いた席を狙って多くの人が控えています。一度コケたら、よほどの人じゃないと次がないわけです。でも、北海道含め田舎なら、失敗しても次の席を待っている人数は東京ほど多くないので、もう一回くらいチャンスが回ってきます。

――チャレンジの仕方も変わりそうですね。

鈴井:そうなんです。「地方は失敗しても、もう一回できるからいい」という意味ではなくて、「失敗を恐れずに、一か八かで勝負できるからいい」ということなんです。東京だと失敗したら終わりだから、一か八かで勝負するのを恐れてしまい、7割くらいの安パイでやってしまう。それが北海道なら、120、150%挑戦できる。もちろん失敗することも多いけど、一か八かだから、突然変異が生まれる可能性もでてきます。『水曜どうでしょう』もその一例かもしれないです。

――数々の失敗があって、あの番組があるんですね。

鈴井:当初半年で終わる予定の番組だったので、「どうせ終わるんだからやりたいことやろう」と開き直って作りました。言ったように、北海道だけじゃなく、地方は失敗が許される場所です。だから、おもしろいものは東京ではなく、地方から生まれる可能性が高いと思っています。

――東京だと叩き潰されてしまいますもんね。

鈴井:失敗を恐れて当たり障りのないものが量産されるのは、どこの世界でもあると思います。「まあこの程度にしておこう」ではなくて、「どうせならやっちゃえ!」とチャレンジし続けたいですね。失敗したら、北海道の森に逃げ帰ればいいんですから(笑)。

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