会員制人事コミュニティ「HLC」と曽山哲人が目指す「人事の未来像」

気になる会社の気になる人事 その7

2018/08/08
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人事は経営層と社員をドライブさせるエンジン。双方を動かせる「選択肢」を増やすのが仕事

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曽山 哲人
株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括/株式会社CyCAST 代表取締役社長
新卒で株式会社伊勢丹(現・株式会社三越伊勢丹ホールディングス)に入社し、1999年に株式会社サイバーエージェントへ入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年に人事本部長に就任。現在は取締役 人事統括として採用・育成・活性化・適材適所に取り組む。著書に『強みを活かす』『最強のNo.2』(以上、単著)『クリエイティブ人事』(共著)など。人事担当者向けコミュニティ「HLC」を主宰。

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「サイバーエージェント曽山の人事なんでも質問会!」

これまでの「HLC」の定例会では、人材活用で成功事例を持つ企業の人事担当者や専門家をゲストに招き、曽山さんがモデレーターとして会員の皆様が知りたいノウハウを聞くイベントを実現してきました。中には、これまでメディアでは語られたことのない「ウラ話」が飛び出すことも。

でも、それだけでは「講演会」の域を出ません。そこで「会員制コミュニティ」として、会員一人ひとりの「個」にダイレクトに迫るべく企画されたのが、今回の「なんでも質問会!」です。サイバーエージェントの黎明期から、人事として数々の人事制度を立ち上げ、人材活用のあり方を模索してきた曽山さんが、会員一人ひとりの悩みや質問にマンツーマンで答え、他の会員と共有するのが今回のイベントです。

各社の人事担当者が語る「悩み」に対し、事例として自社の内情まで驚くほどぶっちゃけながら回答する曽山さん。示唆に富んだ質問会の一端をお届けします。

お悩み Case.1 「(参考書を)1冊読んだら1個は真似する」がファシリテーション上達の秘訣

Tさん(卸売業/以下、Tさん) 人事として、社内の研修や勉強会の企画や進行をしています。ですが、普通に実施するだけでは盛り上がらず、ファシリテーションの大切さを痛感しています。曽山さんは研修の実施にあたって何を意識していますか?

曽山 研修や勉強会なら、私は参加者にとっての「出口」が大事だと思っています。例えば「参加者アンケート」ひとつとっても、型通りに「満足」〜「不満足」の5段階評価をいただいても意味がないですよね。まして実名も書くとなったら、仮に批判するとしても勇気がいる。トラブルの種になるくらいならマイナスなことは書かないですよね。だから、具体的に何が「学び」になったのかを、必ずフリースペースで書いてもらうようにしています。

企画する際には、逆にそのコメントで「参加者に何を書いてもらいたいか」をイメージして内容を組み立てています。「楽しかった」と書いてほしいなら盛り上げていくし、「学びが多かった」と感じてほしいなら、徹底的に紙に書かせて持ち帰ってもらうワークを設計します。その引き出しをたくさん持つために、私の場合はとにかくファシリテーションの本をたくさん読んで、「1冊読んだら必ず1個は真似する」と決めて実践して勉強していました。読んだら、必ず翌日の研修やミーティングで試してみました。「こういう効果があるらしいから、試させてもらっていい?」って参加者にも相談した上で試すようにしていました。

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Tさん このイベントでも、曽山さんは他の参加者のメリットになる「質問」をしていますよね。その質問力はどうやって鍛えたんですか?

曽山 とにかく講演や勉強会に参加していました。そこで、講演中にメモを取って質問を考えておくんです。必ず質疑応答の時間があるとは限らないけど、タイミングが来たらまっ先に挙手します。当てざるを得ないような手の挙げ方で(笑)。そこで、「いい質問とはなにか」がわかるんです。芯を食う質問や他の参加者にメリットのある質問ができると、相手も喜んでくれますから。恥ずかしい空振りをする経験も含めて、積み重ねですね。

お悩み Case.2 退職を減らすには?

Hさん 役員や部署の上長から、退職の可能性がある社員へのフォローを依頼されることが多いのですが、どのように対応すべきでしょうか?

曽山 「あいつ、心配だから面談したり食事にでも誘ってやってよ」というフォローの依頼があるかもしれません。私が心掛けているのは、まずスピードです。調整して「来週に」となると、その間に何が起こるかわからないので、まずなるべく早く連絡して、15分でも30分でもよいので面談を行なうようにしています。状況を把握するために、2つのキラー質問を投げ掛けるときがあります

1つめは、「仕事楽しい?」
2つめは、「評価って、ちゃんとされている?」

この質問は、表情に表れるんです。相手がどんなに取り繕った回答をしても、表情で本音がわかります。「これは、やばそうだな」と思ったら役員に面談してもらったり、あるいは私が信頼関係をつくれたのなら「今度、食事に行こうよ」と誘って悩みを聞いたりしています。

私が営業職から初めて人事になったとき、最初に着手したのが「なんで彼が!?」と思ってしまう「びっくり退職」の撲滅でした。兆候を確実につかんで、フォローできるようにしないといけません。そこで、上司と部下で月一回の面談を重ねる「ツキイチ面談」、いわゆる「1on1」を導入し、各部署に毎月のツキイチ面談の状況を報告してもらうようにしました。

それでも、最初は「びっくり退職」が発生していました。その際に、上司が兆候を把握し、私たちに報告していたなら、それは気づいていても対応できなかった人事の責任。でも逆に、上司も把握できていなかった場合は、上司に対して面談を増やすなど、コミュニケーションの見直しをお願いするようにしました。

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一人ひとりの悩みに寄り添いマンツーマンで答えていく

Yさん(情報・通信業) 社内制度が浸透し成功するには、ネーミングがとても重要だと考えています。曽山さんはサイバーエージェントの施策をどうやってネーミングしていますか?

曽山 担当者にネーミングを100案くらい考えてもらっています。100案ぴったりではなく、それくらいたくさんという意味です。考えてもらう際には、関連するキーワードを100個考えて、その中の組み合わせを考えてもらったりしています。その上で、「ジギョつく」や「キャリチャレ」など母音4文字のネームが成功する率が高かったですね。特に、育児支援制度「マカロン」は成功例ですね。既存のお菓子の名前なので、聞いた瞬間にビジュアライズされて、すぐ覚えられる。内容も女性活躍のための妊活や育児支援なのでインパクトもありました。

Cさん(官公庁) 社員との飲み会やランチでは、どうやって信頼関係を築いていますか?

曽山 相手の仕事に「興味を持って」教えてもらう姿勢で聞いています。仕事の内容や面白いところ、その分野のトレンドなどを聞くようにしています。それにくわえて、ときどきは「何か困っていることはない?」と聞くようにしています。たいてい「大丈夫です!」と返されてしまうので、「なんでもいいよ。『パソコンの処理速度が遅い』とか」とレベルを下げて例示すると「それだったら……」と話してくれます。

それが「今日できること」のレベルなら、すぐ対応して「誰々に言っておいたよ」「役員会で伝えておいたよ」とフィードバックしています。解決まで至らなくても、「この人に言えば、問題を一歩でも前に進めてくれる」と思ってもらうことが信頼につながるのだと思います。打てば響く。この関係性がとても大事だと思っています。

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このほか、「人事のキャリアプランのあり方」「ヘッドハンティングの仕方」「伸び悩んでいる社員の扱い方」など、曽山さん個人の体験に基づくスキルやノウハウから、「給与制度の作り方」「評価制度のあり方」「採用基準の考え方」など、サイバーエージェントとしての人事制度に触れる内容まで、計13人、約2時間にわたる質問会は終了。自社の事情や特性を念頭に、曽山さんにとことん質問し、アドバイスを求められる有意義な質問会となりました。

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