【後編】「『飽きる』ことはAIにはできない」 AIの時代に求められるスキルと働き方とは?

マネたま新幹線

2018/11/14
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「面白いことを探す」ことは人間だけの特権

柳橋 : 個別化現象のなかでどのような新しいECが生まれるかがポイントですね。

森 : 結局のところ、100万人いて100万通りの好みがあるとしたら、それを人間の思考能力で処理することはできないんですよ。だから、AIを使って、一人ひとりの好みを分析するしかない。

柳橋 : 個別化現象の時代ではビジネスを行う上で人間もいらなくなるんじゃないですか?

森 : そこが難しいところです。我々が三年前からやっているのは、「商品の企画をAIに考えさせる」ということです。まずAIに、ユーザーがどのページを閲覧して、どういった商品を探していたか、そして、どの商品を購入したかといった行動データを分析させます。その分析の結果、「ユーザーが求めているけれどまだ存在しない商品」がわかります。つまり、「ニーズの発見」をAIに行わせているんです。

編集部 : そんな個別化現象の時代にビジネスパーソンが生き残るために必要なスキルは何だと思いますか?

森 : 僕自身の仮説としては、既成の概念に挑戦する力なのかなって思います。つまり、既に当たり前となっている枠組みとかルールにチャレンジする力。もしかしたら、規制緩和も必要かもしれないけれど、既成の枠組みを壊すチームを作って、挑戦する力を伸ばしていければ、今後、新しい仕事を作り出せると思うんです。例えば、AlphaGoは囲碁を打つ能力では最強ですけど、囲碁より面白いゲームを考えられるわけじゃないですから。

柳橋 : 俺もそれが言いたかった。「囲碁より面白いゲームを考えろ」って言ってもたぶんAIにはできない。それがAIと人間との境目なんだと思います。

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森 : コンピューターにはなくて人間にある重要な概念に「飽きる」ということがあります。これが枠を超える力なんですよね。コンピューターは飽きないんです。「一万回やれ」と命じたら、同じことでも一万回やり続ける。でも、人間は「飽きる」。だから、次のやりたいことを探す。それが枠組みを超えるってことなんです。つまり、「面白いことを探す」っていうことは人間だけの特権なんですよ。

100人いたら100通りの働き方がある

編集部 : 最後に、50年後、AIが当たり前になった時代に人間はどんな風に働いていると思いますか?

森 : よくAIによって人間が仕事を奪われるって言われますが、働き方自体はそもそもAI以前にインターネットの出現によって大きく変わってしまったんです。インターネットによって個別化現象が生じ、結果としてAIを使わざるを得なくなったわけですから。だから、新しい働き方を模索しなきゃいけない時代はとっくに来てるんですよ。

柳橋 : 昔、「ラッダイト運動」ってあったでしょ。蒸気機関が発明された時に、自分たちの労働を奪われると思って人々は反乱を起こした。でも、蒸気機関によって石炭を運ぶ仕事は無くなったかもしれないけど、逆に新しい仕事が生み出されていった。だから、労働の質が変わるだけで、労働自体は奪われないと思う。

そして、組織で働くということに関して言えば、人事制度はなくなっていくと思います。むしろ、なくなれば良いと思う。100人いたら100通りの働き方、評価の仕方があるのに、それをクラスタリングして無理に枠の中で評価することなんて意味がないから。

森 : 人事評価によってスティーブ・ジョブズが生まれるかっていう問題は常にありますよね。

柳橋 : 人事制度は社員を「平均化」するプロセスでしかないし、平均化することに本当はなんの意味もない。人間ってさ、放ったらかした状態が一番才能が伸びるものだと思うんだ。それに人間は太古の時代から働いてきたけど、制度なんてごく最近までなかったんだから。だから、すごく原始的な話に聞こえるかもしれないけど、50年後はむしろ大昔に戻って人事制度のない働き方が増えてると思います。

森 : 僕も柳橋さんの言っていることわかります。ただ、人間には「社会とつながっていたい」、「社会に貢献したい」っていう欲望もあるんですよね。その欲望が人事制度を生み出しているとも思います。でも、その一方で、僕たちはまだ人類が見たことのない新しいかたちのモノを作ろうとしてるのに、そのための働き方が枠組みに収められていたらどうするんだ、って思っちゃうんですよね。

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