2017/01/10 公開

起業家と投資家の“二刀流”でフォーブス6位。柴田泰成のスタートアップ創業術

Pocket

様々な場面で自分が関わっている感が楽しいんです

shibata-yasunari1-5
――サムライト社立ち上げ期には、いろいろな苦労をされたようですね。創業直後にエンジニアに夜逃げされたとか。 

柴田 そうなんです(苦笑)、ローンチ直前の12月に逃げられて。翌年3月に現代表(池戸聡さん)が入社するまでは、1人でなんでもやっていました。1人で営業して1人で記事を書いて、オウンドメディア運営に関することすべてを1人で。起きている間は、ずっと記事を書いていた記憶がありますね。加えてアドネットワークの開発にも携わっていました。

――投資家・起業家・社長・現場リーダーすべてをこなされていたと……。

柴田 そうです、なかなか大変でした(苦笑)。ただ、ここで得たものは大きかったですね。どうオウンドメディアを回せばいいか、サイト制作はどうやるべきか、体系化されたノウハウが手に入りました。後から入ってくる編集者の方々に、ノウハウを色々伝えていきました。 

――最初に入られるメンバーは、どんな人でも取る!と決めていらっしゃったとか。

柴田 そうなんですよ(笑)。社員はゼロだったし、最初に応募してくれた人を取ろうと決めてました。結果、編集者として初期のサムライトを支えてくれた人を獲得できました。その後、当時アルバイトだった池戸が入社しまして。3カ月アルバイトでやってもらったあと、社長になってくれと打診しました。

――正社員登用をすっ飛ばして社長を打診したんですか!

柴田 さすがに彼も最初は躊躇したので、まずは取締役COOに就任してもらいました。その一年後に共同代表という形になり、現在は代表としてサムライトを率いてもらっています。彼を早い段階で獲得できた時点で、社長になってもらうことは想定していました。なぜなら投資業務や次の起業を矢継ぎ早に行っていくため、事業の型化が出来たタイミングで適任者に代表をバトンタッチしようと考えていたからです。

もともと彼とは新卒時の取引先という関係だったので、その仕事の進め方やコミュニケーション能力の高さを知っていました。彼がアルバイト契約ながら率先して他のメンバーと丁寧に対話を重ね、モチベーションを向上させる高いマネジメント能力を発揮しているのを見て、任せるなら彼しかいない、と確信しました。以降、採用や組織など人にまつわる業務は完全に一任しています。

朝日新聞への売却、そして今後。

――そして2016年4月、サムライト社を朝日新聞社に売却されました。日本のベンチャー企業が、レガシー企業それも大手新聞社に売却されるのは日本初のことです。

柴田 これは、毎週木曜朝7時に行なわれる『モーニングピッチ』という、ベンチャー企業によるプレゼンテーションイベントをきっかけに、朝日新聞社の“実験工房”であるメディアラボの方々とお話したのがきっかけです。彼らは大変優秀で、ベンチャー企業のあり方をしっかり理解し、「一緒にやっていきましょう」という話になったというのが簡単な経緯ですね。

もちろん、社内には当初違和感を覚える声もありました。大企業の文化とベンチャーの文化は相容れないものではないか、と。ただ、朝日新聞社とは売却交渉を始める前に事業提携を進めていたのですが、その時間を通じてお互いに信頼関係を構築出来ていると感じていました。また、朝日新聞社という伝統的な大企業と、コンテンツマーケティングのベンチャー企業とを連携させることでメディア界・広告業界にインパクトを残せるかもしれないし、いい影響を与えられるのではと思いました。

――現在は非常勤取締役になられましたが、今後サムライトとの関わりはどのように?

柴田 朝日新聞社に対していかにバリューを発揮するか、というところが新しい目標として追加されました。サムライトが抱えるノウハウやリソースを生かした事業提携案を立案、実行するのはもちろんのこと、今後のメディア・広告業界トレンドや、私が投資している企業の状況、将来見据えているストーリーなどはメディアラボの皆さんへ定期的にレポートしています。
 
例えば、すでに動画の流れは来ていますし、ソーシャルメディアを介したライブ配信も活発です。今後、ますますその流れはフレキシブルな形になって、VRやARにもつながっていくでしょう。リッチでインタラクティブなコンテンツが求められる世界になっていくことは間違いありません。

実はソラシードで、2016年に動画領域、VR領域、LIVE配信領域のスタートアップをそれぞれ起業または投資しました。既に各社とサムライトとの連携も開始していますが、今後は朝日新聞社に対してこうしたテクノロジーやトレンドを提供していきたいと考えています。
 

――やはり柴田さんは、投資家でありながらも現役のプレイヤーもあるんですね。

柴田 こうした新たな変化に自分が関わりたいんです。自分の知らないところで、トレンドが起こってほしくない(笑)。1パーセントでも自分が関わりたいと思うんです。自分が関わっている感が楽しいんですよ(笑)。完全に投資家だけに絞って、現場から手を離すのはもったいない。いつかそうなるとしても、それはまだまだ先でいいです。 

――今回は、興味深いお話をありがとうございました!

<了>

Pocket