2017/01/10 公開

起業家と投資家の“二刀流”でフォーブス6位。柴田泰成のスタートアップ創業術

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起業家と投資家の二刀流、「スタートアップ界の大谷翔平」みたいな存在でありたくて(笑)

投資家と起業家の二刀流でありたい

――やや旧聞に属しますが、『フォーブス』誌2017年1月号にて、「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキングBEST10」の6位にランクされました。

柴田泰成(以下、柴田) ありがとうございます、大変光栄に思っています。

――2016年のご自身のパフォーマンス、自己評価すると何点ですか?

柴田 100点ですね。出したパフォーマンス(IPOやイグジットのキャピタルゲイン)に関して上から数えたほうが早かったこと、他の大御所の方々と肩を並べられたこと。10年選手、20年選手が多い中、私自身は投資家としてまだ3年目のプレイヤーに過ぎません。十分すぎる成果だと思います。
 
――確かに現在33歳、投資家の中では若手にあたると思います。

柴田 たまたま当たった部分もありますし、狙って当てられた部分もあります。そういう意味で、結果が出てよかったなと思いますね。
 
――改めて柴田さんの経歴を拝見しましたが、プレイヤーとしても大変優秀でいらしたんですね。新卒で入られた楽天株式会社で、新規事業コンテストで1位を獲得されたとか。そのままプレイヤーを続けるのではなく、起業家兼投資家へ舵をきられたのはなぜですか?

柴田 「20代は修行、30歳で起業しよう」とずっと思っていたんです。この考え方は、亡父の影響も大きく受けています。父は経営者で、私が高校生の時に亡くなりました。その背中を見て育ったので、サラリーマンとして会社に勤め上げるイメージは最初からなかったんです。志半ばで他界した父の思いを継いで起業家として成功することが、父への恩返しになると信じていました。
 
私自身、自分のことをあまり「投資家」だとは思っていないんです。起業家と投資家の二刀流、「スタートアップ界の大谷翔平」みたいな存在でありたくて(笑)。今年は投資家として『フォーブス』紙に評価いただいたような成果が出せ、起業家としてはサムライト株式会社の朝日新聞グループ入りという大きなイベントがありました。一定のインパクトは残せたかなと思います。
 
――確かに、投資家と起業家の二刀流という方はほとんど聞きません。

柴田 誰もやったことのないことをやりたいんです。『メルカリ』の山田進太郎さんのような素晴らしいシリアルアントレプレナー(いくつものベンチャー事業を次々と立ち上げる起業家)はいらっしゃいますが、私はいわば“パラレルアントレプレナー”でありたいなと。投資家であるだけでなく、並行でたくさんの企業を立ち上げる起業家でもありたいんですね。
 
――投資家は、投資完了後には経営のプロに任せ、自身はあまり経営にタッチしないイメージがあります。柴田さんは全く違いますね。

柴田 案件にもよりますが、2016年にはゼロから共同創業というスタイルで複数社、起業しました。どんなビジネスが面白くなるかな、今後伸びるかな、ということを日々考えていて、「これだ!」と思ったら知り合いや起業を考えている人にビジネスプランとお金を提供して、「一緒にやろうよ!」って提案するという形です。

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柴田泰成(しばた・やすなり)
1983年生まれ。愛知県出身。2006年楽天株式会社に新卒入社し、複数の新規事業立ち上げに携わる。2010年には、社内で開催される新規事業コンテストにて優勝を果たす。2012年に株式会社リクルートに入社後も新規事業の運営に従事。2013年にはインキュベイトファンド主催の「Incubate Camp 5th」で優勝。2013年9月サムライト株式会社を設立し、代表取締役を務める。2016年に同社を朝日新聞社に売却。同時に、独立系VC「ソラシード・スタートアップス」の代表を務め、シード投資や共同創業を10社以上手がける。

20代の修行は無駄ではなかった

――先ほどのお話にも少しありましたが、柴田さんは20代を明確に「修行の時期」と位置づけていられたんですね。

柴田 そうです。「20代のうちに修行して、30歳で起業する」とずっと決めていて。楽天社内の新規事業コンテストで優勝したのは入社5年目のことですが、それまで毎年コンテストに応募し続けていました。まあ、4年失敗し続けたということですけど(苦笑)。
 
――失敗し続けたということは、「5年間バッターボックスに立ち続けた」ということですよね。その新規事業へのモチベーション、使命感はすごいですね。

柴田 実際、この経験は投資家としての仕事に活きていますよ。30歳で起業した時点でいろいろなベンチャー投資家の方が認めてくださったのは、楽天やリクルート時代に新規事業の立ち上げを経験してきたからこそだと思います。サムライト社を立ち上げたきっかけである『インキュベイトキャンプ』というコンテストで優勝できたのも、20代を修行に当てた成果だったなと思っています。ただ、若い人はすぐ起業したほうがいいと思いますよ。私の時代に比べても、様々な環境が整っていると思いますから。 

――なるほど。ロールモデルになるような人物はいらっしゃいますか?

柴田 ロールモデルはいないですね。起業家として見ると、例えば楽天の三木谷浩史社長、サイバーエージェントの藤田晋社長はとんでもなくすごい人たちです。「経営者として、この人たちに勝つのは無理だな」と思います。ただ、フィールドを変えれば自分が一番になれる分野はあると思っていて、それが自分にとっては“パラレルアントレプレナー”だと思っています。ここで成功すれば、自分が先駆者になれる。私は、常にパイオニアを狙いたいんです。

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