清野とおる おもしろいことは、半径2~3m以内に転がっている【後編】

失敗ヒーロー!

2020/06/24
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一生かけても北区赤羽のことは知り尽くせない

――『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』に関しても不思議だったんです。どうやって見つけているんだろう、と。

清野:喫茶店でいつもアイスミルクをチュウチュウ飲む「おこだわり」なんて、ご自身は無意識だし、見ていないような振りをしつつも観察していないと、見つけられないんですよ。だから視界の端、20%のスイッチオンなんです。それにネタを探しに行こうと躍起になると、至近距離への感覚が麻痺してしまうんです。「自分の周りになんて何もない。どこか遠くに行かなくちゃ、おもしろいことは見つからない」という考え方になるからでしょうね。遠くばかり見てしまうんです。でも、実はそうじゃないんです。自分の半径2~3m以内、いや、半径2~3cm以内のところに、意外とおもしろいことが転がっているんです。灯台下暗しですよね。

だから僕は、海外には全く興味が持てないんですよね。30歳手前くらいのタイミングだったので、ちょうど『東京都北区赤羽』の連載が始まったくらいですね。そのくらいの時期から海外には行かないと決めて、パスポートも持っていないんです。一生をかけたとしても一つの区、いや、何々町レベルの範囲のことも、知り尽くせないじゃないですか。そう考えたら、海外なんて行っている場合じゃありません。もったいないと思うんですよ…とかなんとか言いつつ、いつか、しれっと海外旅行に行っちゃうかもしれませんけど、その時はスンマセン(笑)。

――『東京都北区赤羽』を描かれた清野さんだからこそ、説得力のあるお言葉ですね。しかも壇蜜さんとのご結婚後も、赤羽にお住まいのままだとか?

清野:そうなんですよ。一週間に2~3日くらい、壇蜜さんの家にお世話になっているくらいで、ずっと一緒に生活しているわけではありませんし。生活そのものに大きな変化はないんです。壇さんを北区に住まわせることはできないし、かといって彼女の家に住み続けるわけにもいかないので。壇さんはたくさんの動物を飼っていて、ネコにヘビに鳥にトカゲに巨大な魚に、ナマケモノもいますからね。長居できるスペースもありません。

漫画家として、いつか彼女との生活を作品に

――なるほど、確かに長居は難しそうですね(笑)。すると清野さんはこれからも変わらず、赤羽に住み続けるのでしょうか? 今後の展望をお聞かせください。

清野:そうですね。今のところ、赤羽を出る気はありません。そもそも、結婚したばかりのタイミングで引っ越しなんてしたら、北区民全員を敵に回すかもしれないじゃないですか。ただでさえ、「赤羽をネタにした三流カルト漫画家が、壇蜜と結婚しやがって」なんて思われているのに、ここで赤羽を出たら、完全に裏切り者ですよ。現時点では幸いにも、壇さんとの結婚を好意的に見てもらえているので、だからこそ、引っ越せませんよね。まぁ、単純に北区が落ち着くというのが大きいですけど(笑)。

ただ、壇さんとのことは、いずれ漫画にするつもりでいます。編集さんから「描け描け、今すぐに描け」と急かされたりもしますけど、まだ結婚したてですからね。もうしばし、この生活を続けて、半径2~3m以内にある彼女の生活、自分の生活を舐め回すように観察してからですね。彼女とのことを描かないままでは、漫画家かとしてどうなんだろうというか、漫画家として疑義が生じるような気がするので。そうならないためにも、いつか作品として仕上げたいと思っています。

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