【後編】「自分自身のキャラクターを見極め、最大限に生かす」・サッシャ

失敗ヒーロー! 第一回(後編)

2017/01/31
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頑張っていることを知るから言えない「もう一歩!」

――そうした番組に対する「不完全燃焼」な思いに駆られたとき、一つの番組を率いるリーダーとして、サッシャさんはどのように打開されていくのでしょう?

サッシャ 僕って、チームに対して「もう一歩!」をお願いする一言が伝えられない性分なんだろうな。「ここを何とかすれば」と思っても、すでにスタッフ全員が頑張っているのを知っているから、なかなか言い出せない。チームとしてみんなの力を使えば、もっと大きな山が動くはずなんだけれど、「その前に、まず自分はできるのか?」と思ってしまう。これは番組開始当初から、ずっと抱いているジレンマかもしれませんね。

――「言うべきだけど、言い出せない」。あらゆる業界において、リーダーに立った多くの人が抱える悩みのような気がします。

サッシャ そうですね。けれどこのジレンマって、なくなったら終わりだと思うんです。たとえばオリンピック選手にしても、金メダルを手にしたからといって、そこがゴールとは限らない。「2つ目のメダルが取りたい」「第2のキャリアを築きたい」と思う人もいるはずです。だから最終的なゴールなんてなくて、ジレンマを持ち続けることが大事だという気もします。「もっと良くしなくちゃ」という気持ちが大きなモチベーションになるし、「じゃあ、そのために自分は何ができるだろう?」って。

二足のわらじの秘訣は「徐々にアップデート」

――そうしたなか、サッシャさん個人では、非常に多彩なお仕事をこなしていらっしゃいます。2013年のスタジオジブリ作品、映画『風立ちぬ』では、声の出演からドイツ語指導や監修まで。
 
サッシャ 主人公がドイツ語で話すシーンでは、あの“世界の庵野監督”にリテイクまで出させていただきましたからね(笑)。 本当に貴重な経験をさせてもらいましたが、ドイツと日本の血を継いで生まれてきた以上、2つの国の架け橋になることは、僕にとってのライフワーク。同時に、こうした声優のお仕事やDJにスポーツ実況、ナレーションに司会と、さまざまな仕事をすることは、ひとつのリスクヘッジのようなものです。実際、VJをしていたVibeが閉局するという憂き目にも遭っているし、いつ仕事がなくなるのか分からないのが、僕のような仕事をする人の常。だから、あらゆることに挑戦して“二足のわらじ”を履くというか。

――しかし、ラジオで担当されている音楽番組にしても、スポーツ実況にしても、物凄く専門的な知識が必要な分野ですよね。挑戦することに怖さはないのでしょうか?

サッシャ そこは僕、悩みも寝て起きると忘れちゃうタイプなんです。それにVJとしてデビューした当時、いきなり取材をさせられ、原稿を書かされ、カメラの前に立たされたという原体験があるから、「なんとかなるじゃん!」と思える。自分なりに自信がもてるだけの準備さえすれば、回数をこなすうちに実力がついていくだろうと。例えて言うなら、現代のアプリ的な考え方ですよね。まずはリリースしちゃって、アップデートをしながら徐々に精度を上げていくという(笑)。

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多くの“わらじ”を履くことがベネフィットの源泉

――なるほど(笑)。 では、そうしたリスクヘッジも含め、サッシャさんにとってのマネジメントとは?

サッシャ まず、リスクヘッジという点でいうと、多くのわらじを履いておくことで、さっきも話したように食いっぱぐれないという、現実的な備えをすることができますよね。それに僕は、良くいえば好奇心旺盛、悪くいえば飽きっぽい性格だから、ひとつの会社に長く勤めるという働き方は、あまり向いていない気がするんです(笑)。そこで多くのジャンルに携わり、さまざまな現場に出向くという今の働き方があるわけですが、現場ごとにいろいろなタイプの人間がいるじゃないですか。こうして毎日、違う現場に行き、さまざまなキャラクターの持ち主と接していると、たとえば頑固だったり、ぶっきらぼうだったり、ちょっと苦手なタイプの人に対しても寛容になれる。それは、自分の精神を安定させる意味での備えにもなっているんです。

――お仕事の幅を広げていくことが、ご自身を守ることにもつながっているんですね
 
サッシャ 守ることにもつながるし、仕事の幅を広げれば、関わる人間の幅も広がり、その人脈から新たな仕事にまで広がります。2002年からツール・ド・フランスの実況を担当させてもらっているけれど、その縁で出演していた自転車関連のイベントで「音楽とも絡めたい」という話が出たとき、僕の人脈からJ-WAVEを紹介することができました。多くのジャンルに携わっているだけに、僕は専門的ではなく、広く浅くというタイプ。言い換えれば、そんな性格だからこそ、別の仕事から別の仕事へと、ベネフィットを共有することができます。そうした僕自身のキャラクターを踏まえていうと、「あなたは一つのことを突き詰める研究家タイプなのか、それとも僕のように広く浅くというタイプなのか」と自分自身のキャラクターを見極め、それを最大限に生かすための仕事や働き方を考えることが、マネジメントなんじゃないですかね。


【前編】「第一志望は叶わなかった」・サッシャ
【後編】「自分自身のキャラクターを見極め、最大限に生かす」・サッシャ


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