【後編】「自分自身のキャラクターを見極め、最大限に生かす」・サッシャ
失敗ヒーロー! 第一回(後編)

「もっと良くしなくちゃ」という気持ちが大きなモチベーションになるし、「じゃあ、そのために自分は何ができるだろう?」って
「あらためて振り返ってみると、ファーストチョイスはいつも叶わない」。
それでも自ら選んだセカンドチョイスを「いま、一番やりたい仕事」に変え、華やかなキャリアを築いてきたラジオDJ・サッシャさん。
前編に引き続き後編となる今回は、キャリアを重ねたからこそ向き合うこととなったリーダーとしての自分、そして、リーダーになったからこそ味わった不完全燃焼な思いを始め、マイナスをプラスの変えるマネジメント術の秘訣に迫ります!
「どんな番組がつくりたい?」でリーダーを認識した
――DJデビューから約15年。キャリアを重ねる中で、「一人のDJでは済まされない」という面も出てきているのではないでしょうか?
サッシャ そうですね。明確に感じたのは、J-WAVEで担当している『BEAT PLANET』という番組かな。2012年の10月に放送が始まり、当時、僕は36歳。それまでは「こういう番組です、やってください」という依頼だったのが、『BEAT PLANET』では、番組の立ち上げが決まった段階から「どんな番組にしたいか、どんなスタッフとやりたいか」まで、意見を言わせてもらえたんです。番組そのものの根幹から携われたことで、自分から引っ張っていくことの必要性を感じましたね。
――そのときに伝えられた、「つくりたい番組」のイメージとは?
サッシャ 大きく2つ、「トークは抑え、音楽が主役の番組にしたい」ということと、「できるだけスタジオの外から放送したい」ということ。正直、ラジオがスタジオから放送されている理由って、機材がそこにあるからということだと思うんです。そしてそれはひとつの制約でもあります。たとえば「コールドプレイの東京ドーム公演が、数十分後に迫っています」なんて放送をするときにも、六本木のスタジオから「ドーム前には相当な数の人が集まっているそうですね」と伝えるのと、実際にドームまで出向き、「物凄い人が集まっています!」と伝えるのとでは、リアリティがまったく違うじゃないですか。
スマホ時代にラジオを広める“ゲリラ配信”
――後者のほうが、ずっと興奮します!
サッシャ でしょ? 音楽や番組をもっと楽しんでもらうためには、少しずつでも制約を取り払う必要があるし、制約を取り払ってくれるのが技術の発達。実は「スタジオの外から放送したい」という想いの下地には、以前、担当していた『RADIO×SPIDER』という番組での経験があるんです。この番組内で、Ustreamを使ってゲリラ的に配信を行いました。恐らく日本初だったんじゃないかな。
――まさに強引にでも制約を取り払う行為ですね。
サッシャ 配信に踏み切ったのは、言うまでもなく、ラジオを広めるためでした。当時の番組に高校2年生の女の子から、「私はラジオを聞いていますが、周りの友だちは誰も聞いていません。なぜなら、誰もラジオを持っていないから」というコメントが届いたんです。たしかに僕らの時代と違って、家にあまりラジカセのない時代。けれど、スマホやパソコンなら多くの人が持ってますよね。「だったら」と、スマホで視聴できるUstreamを使ったわけですが、当時意見をくれた女の子というのが、なんと今J-WAVEの『SONAR MUSIC』でナビゲーターをしているLicaxxx(リカックス)ちゃん。
――それはまた、なんと運命的な!
サッシャ Licaxxxちゃんの意見に触発された当時から、いまではさらに技術も発達して、スタジオ外からの放送も容易にできます。ただ、実際は技術以外の制約がたくさんあって、本当はもっともっと、この想いを叶えたいと思っています。正直、不完全燃焼だなと、話していてあらためて思いましたね。

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