2016/09/26 公開

「業績貢献度だけでは見えない良さが可視化できた」。社内通貨『GAT』は株式会社じげんをどう変えた?

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2000年代後半から普及し始め、いまや多くの会社で取り入れられている社内通貨制度。社内コミュニケーションの活性化、モチベーションアップなど様々な目的で利用されています。

今回紹介させていただく株式会社じげんも、そんな会社の一つです。同社は、感謝の気持ちとともにプレゼントする社内通貨制度『GAT』を、2008年にいち早く取り入れました。

この制度は、同社にどんな変化を起こしたのでしょうか? 経営推進部にて人事を担当されている山口智史さんにお話を伺いました。

IT企業であるからこそ、手書きのメッセージで。

—御社ではいつから「GAT」を始められたのでしょうか。

山口:創業初期の2008年からある制度です。弊社の社名が『じげん』に変わる2009年より前に制度そのものが存在していたことになります。

— 2016年現在で8年目ですか、歴史ある制度なのですね。この制度ができた経緯について教えてください。

山口:主な目的は2つありました。

1つはGATを贈り合うことで社員同士の結節点を増やし、社内コミュニケーション活性化していくこと。もう1つはなかなか表には出づらい、会社を支えたり、誰かを助けたりといった日々の行動を可視化して評価していくことです。

弊社には「次元を超える事業家集団」というビジョンがあり、社会の問題を事業で解決したい、という志を持つ社員が集まっています。当然ながら事業を見ていくためには、人の上に立つ人格、器が不可欠で、GATは他者からの信頼を図る1つの判断軸として、非常に重要だと考えています。

— 社員の方々はこの社内通貨「GAT」をどのような方法で得ているのでしょうか。

山口:社員にとっては得るものというよりは贈るものという印象が強いかもしれません。月に1度、お世話になった人、感謝の気持ちを送りたい人に、手書きのメッセージと共に1,000GATを贈ることができます。

毎月白紙のGATが配られますが、それ自体に価値はなく、社員から社員へと贈られて初めて社内通貨として機能します。

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— 自分で取っておく……というのではなく、誰かに贈るものなのですね。導入後、GATはどのような形で役立っているのでしょうか。

山口:弊社は、ベンチャーとして業績を追いかけて会社を伸ばしていくことはもちろんですが、業績貢献以外の部分でも評価軸を持っています。GATは、後者の部分で役立っています。

例えば、他部署の困っている人の相談にのって助けてあげたり、率先して電話をとったり、社内イベントの運営を頑張ったり、目立つ貢献ではないにしても、細やかな気配りは意識していないと気づかないこともあります。そんな部分が可視化されたのは、導入によって得られた効果です。

— 通貨とともにメッセージを添えるとのことですが、この理由について教えてください。

山口:インターネット企業である弊社では、オンライン上でのコミュニケーションツールを駆使して日々、効率良く連絡を取り合うことを意識しています。一方で、関係の質の向上という観点からは、手書きのメッセージを直接渡し合うGAT交換のようなオフラインでの深いコミュニケーションを重視しています。

というのも、弊社では様々な職種の社員が多様な志向、スキルを発揮して働いており、交流が深まり互いに刺激し合うことで、新たなイノベーションが生まれていくと考えているからです。

GATを運用するのは『お祝い委員』!?

— 続いて、社内通貨の使用についてお尋ねします。GATはどのように使用されていますか。

山口:貯めたGATを1GAT=1円で換算して欲しい商品やAmazonポイントに変えることができます。

弊社には様々な制度があるものの、コーポレート部門は少数精鋭、管理する負担は極力下げていかないと、社員の多様なニーズに応じて制度を運営していくことは困難です。

そこで徹底的な仕組み化を行い、社員主導で運用を回せる体制を構築しています。

— 具体的にGATの運用はどのように行われているのでしょうか。

山口:会社の運営に全社員で参加する体制の1つとして委員会制度「zigeIN」があります。図書委員、給食委員など様々な委員会がある中で、GATの運用及び利用促進を担うのは『お祝い委員』です。

ー えっ、『お祝い委員』ですか!?

山口:そうなんです。毎月GATを印刷し、社員に配布、交換するよう声かけし、集計用に回収までを行なっています。

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— GATだけでなく、会社全体を社員の方々が運営しているのですね。導入して予想していなかった効果があれば教えてください。

山口:想像していた以上にGATをたくさんもらう人に偏りが出てきていて、しかもそれが純粋な業績貢献度とはまた違った形で現れたことでしょうか。

集計した結果を、評価の際に考慮に入れることもあります。

— 「GATはメッセージカードとともに直接手渡しされている」とのことですが、どのくらいのGATが交換されているのでしょうか?

山口:メッセージカード1枚で1,000GAT、これを毎月1人だけに贈ることができます。厳選した1人だけ、というところにプレミアム感が生まれます。誰もが1人にしか渡せないなかで、自分が選ばれる。すごく嬉しいことですよね。

— 確かに尊敬している上司から贈られたとしたら、非常に嬉しいです。

山口:GATは手書きのメッセージカードにもなっています。交換されたGATは、オフィス内に貼ったりイベントでお披露目したりもします。

— そういった形で、「誰がどういった形でGATをもらったのか」周りにもわかるということですね。

山口:そうですね。個々人がもらったGATのデータは人事側でももちろん確認していますが、「あの人はこんなことで感謝されてGATを贈られたんだな」というのは掲示されることで多くの社員が把握することができます。それが関わりの薄かった社員を知る機会の1つにもなっているかもしれません。

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— GATの利用例として興味深いエピソードがあれば教えてください。

山口:弊社のリフレッシュスペースには、ゲームの筐体が2台あります。これは代表とゲーム好きの社員が何人か集まり、合算したGATで購入したものです。ゲーム機はほぼ毎日社員の誰かに利用されていて、社内コミュニケーションの活性化に大きく寄与しています。別のものに形を変えてGATが生きているのは面白いですね。

新入社員と既存社員の新たな結節点。

— 社内通貨制度が、採用面でプラスになったケースはありますか。

山口:GATそのものというより、委員会制度のように、GATも含めた制度開発やその運用に社員が主体的に関わる仕組みに興味を持っていただけることは多いと思います。

— 委員会のルールはどのように決めているのでしょうか。

山口:生徒会のような役割を果たす「Znow(ずのう)」という委員会が、委員会のルールづくり自体から関わり、活性化させるための施策を考えています。たとえばお祝い委員に何人必要かを考えたり、ちゃんと仕事をしているかを把握して問題に対処したりしています。
組織が拡大してもGATが運用され続けているのは、組織の状況に応じて制度の運用の形を変えるなど、主体的な社員の関わりによるところが大きいと思います。

— 入社したばかりの方は、どのように社内通貨制度に参加されるのでしょうか。

山口:『じげんランチスタンプ』という入社お祝いキャンペーンのようなものがあります。これは入社後に違う職種の人など様々な条件の人とランチをし、1ヶ月以内にサインを6個集めると「入社してくれてありがとう」という意味を込めて、GATが支給される制度です。

ランチスタンプを集めることを口実に新入社員は話したことのない社員でもランチに誘いやすくなり、新入社員と既存社員の新たな結節点を創りだすことに役立っています。

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— 元々の「GAT」以外にも、様々な場面で形を変えて活用されているのですね。

山口:そうですね。他にも制度アイディアを募集して採用されたら代表からの特別GATが支給されるという試みを2年前から実施しています。最大で10,000GATもらえるもので、代表と一社員がGATを通じて交流することができるもので、もらった社員にとっては普通のGAT以上に特別感があるようです。

最近では社内通貨制度が、特にITベンチャーの間で一般的になっている気がしますが、弊社がGATを導入した2008年の時点では、社内通貨は画期的な取り組みでした。

こうした取り組みを社内外で評価いただいたことが、組織課題の解決のためにじげんならではの制度をみんなでつくろうというカルチャーに繋がる1つのきっかけになったのではないかと思っています。

— 今後の活用方法として検討していることがあれば教えてください。

山口:「ZIGExN ZOO (じげんズー)」プロジェクトという組織基盤のさらなる強化に向けて、200の多様な人事制度を創る取り組みがあり、そこでは事業・組織の成長フェーズに合わせて、時に無くなっていく制度もあります。けれども、創業当初からあるGATに込められた思いは引き続き大切にしていきたいと思っています。会社の規模がどれだけ大きくなっても、何らかの形で残していきたいですね。

GATが作り出した、新たな評価基準。

感謝の気持ちを伝える手段として、メッセージカードを贈り合う「サンクスカード制度」を行なう企業は存在していました。しかし、導入当初こそ活発に行われるものの、次第にマンネリ化してしまった……というケースも多く見られます。

じげん社はそこに月1人しか渡せない社内通貨を付随させ、「もらって本当にうれしいもの」であるとともに、「誰かから感謝される社員」という新たな評価基準を持たせました。

GATによって「誰かから感謝された」経験をした社員は企業愛を持ち、企業は社員の人となりを見る基準にできる……じげん社の社内通貨制度は、お互いに良い相乗効果をもたらしているように思います。一般的な社内通貨制度の目的である社内コミュニケーションの活発化やモチベーションアップ以上のものを、じげん社は得られたのです。

「次元を超える事業家集団」というビジョンのもと、新しい社内文化を作り続けるじげん社の取り組み。今後も注目です。

株式会社じげん ホームページ:http://zigexn.co.jp/

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