2016/03/16 公開

立候補して目立てば即出世?!固定概念にとらわれない、優れた人事制度を表彰する「グッド・アクション」とは

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年功序列、終身雇用……

ひと昔前には魅力的に感じられた、この“絶対的安定”な条件を掲げるだけでは、働き方への価値観が多様化してきた現在では、人はついてこなくなりました。なぜなら今の人たちは“働く”ということを、自分で意思決定をする人生の一部としてとらえていて、「なぜ働くのか?」「どうしてその会社で働くのか?」といった考えを人それぞれが持つようになったからです。

その風潮から、社員1人1人の希望に寄り添った“会社独自の人事制度”が求められるようになりました。

これからは働く人たちが企業を評価して、企業を選ぶ時代になったのです。

従業員に“選ばれる”会社になる

最近では働く人と企業の関係が大きく変わってきました。働く人たちが、「働きがい」や「働きやすさ」を求めて企業を選ぶようになってきたという傾向があるためです。

そんな中で“選ばれる会社”になるためには、今までの画一的な人事制度では多様なニーズにこたえることができなくなってきたため、「人事の創造性」を向上させる必要があります。

社員が働き続けたいと思うような企業にするために必要なのは、「経営のための戦略人事」ではなく「働く人のための戦略人事」なのです。

しかし今までに無い、まったく新しい取り組みは評価されにくいものです。そんな人事部のチャレンジに対して、光をあてるためにあるのがこのリクナビNEXT主催の「グッド・アクション」です。

「グッド・アクション」が目指すもの

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「グッド・アクション」とは、働き方の多様化の実現に向けた企業の取り組みを募り紹介するプロジェクトです。

例を挙げると

    ・現場から自然に生まれた取り組み
    ・チャレンジ性に富んだ取り組み
    ・会社の収益には直結していないものの盛り上がっている取り組み

など。

モチベーションの向上や職場の環境づくりに悩んでいる企業や個人に「これなら自分たちもできる!」と思えるようなヒントを発掘したい、という思いで誕生しました。

応募された中から、既存の制度にとらわれないチャレンジ性や、その企業ならではの独自性を重視して“書類審査”や“訪問審査”を行い選出した15の「グッドアクション」の取り組みが表彰されました。

その中で、人事タックル編集部が選んだ3つの取り組みをご紹介します!

モチベーションを失ったかのように見える50代社員とその上司500人に対して、たった1人で面談。NTTコミュニケーションズ

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“働き方”に関する議論は若い人たちに関心が行きがちですが、50代のベテラン社員も言葉にならない悩みを抱えているのです。NTTコミュニケーションズが行ったグッド・アクションは「50代社員への徹底的な個人面談」でした。

同社は現在、平均年齢が43歳。10年後には50代以上が5割を占めるという状況です。もともと同社は、グループ内の精鋭が集う会社として立ち上がりました。

「もともと凄く優秀であったのに不満を抱え、組織の中で存在感を発揮できずにモチベーションが低下したかのように見える人たちも中には何人かいたんです。社員の高齢化が進む中で、この問題を放置することはできなくなっていました」と、人事・人材開発部門の担当課長を務める浅井公一さんは言います。

これには会社の過渡期の中で、ちょうど現在の50代社員は優秀な若手との競争に直面し、昇進の難易度がどんどん上がっていく中で勤務を続けてきた、という背景があるそうです。
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この問題に対して浅井さんは専任担当として1人で500人への面談を実施することを決め、人事の立場としてではなく、「同僚として関係性構築を重視し本音を引き出す」ことを実行してきました。

まずは自分から赤裸々に本音を語ることで、相手の「言葉にならない不満」を引き出していきました。それによって対象者は、退職まで仕事をただこなすだけのつもりだったものの「自分のために働く」「私にはまだ15年もある」という気持ちに徐々に向いていったと言います。

浅井さんが1年間に面談をした人の中で、約半数がTOEICの勉強を始めたそうです。新技術分野の案件に自ら手を挙げたり、専門性を生かして若手向けの勉強会を開いたりする人も増えました。ベテラン社員が前向きに動き続けることは、若手のモチベーション向上にもつながっているとも言います。

決して目新しい取り組みではないものの、人事の根本の部分である「1人1人をどう細かく見るか」ということに情熱を持ってやりきった部分で評価され、受賞することとなりました。

 

離職率50%の解決策となったのはエリアマネージャー解散総選挙/オンデーズ

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メガネの製造・販売をし、全国にメガネショップを展開する株式会社オンデーズは2008年当時、離職率50%、負債額14億円という危機的状況にありました。

そんな状況をなんとかしようと社長が直々に全店舗をまわり、現場の社員1人1人の声を聞くことで分かったのは、「現場を知らない上司」に対して積もりに積もった不満があることでした。業績回復のために異業種から管理職を中途採用していたのが裏目に出たのです。

この声を最大限に反映させ、人事制度を「究極に透明化」した結果、全社員が自由に立候補でき、全社員の投票でエリアマネージャー(部長職相当)を選出する取り組みに踏み出したのでした。

「やりたい人間に管理職を任せる」「意欲のある人はとにかく目立て」と全社に号令し、エリアマネージャーだけでなく、下の役職であるスーパーバイザーや店長職への昇進、他部署への異動にも「自ら手を挙げて」挑戦する制度を作っていきました。
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社長の“解散宣言”を受けて立候補受付が始まり、毎年1月に全社に向けて公示。社員全員が閲覧できる特設サイト上で候補者のマニフェストや政見放送を流し、サイト内ではスタッフから候補者への応援コメントも表示されて、コミュニケーションツールとしても機能しています。約3カ月の選挙期間を経て、4月の“オンデーズサミットで候補者が最終プレゼンをして、その場で全社員からの投票結果を発表しました。

取り組み開始5年目で離職率が当初の50%から5%に低下し、業績も7年連続で拡大。若手社員の間にも上昇志向が広がり、人事を変えることが業績につながることが体現されていました。

「人事の透明性を図るべき」とよく言いますが、体現するのは大変難しいものです。「手を挙げればエリアマネージャーになれる」という人事の常識を覆す取り組みだと評価され、「グッド・アクション」でも「ベスト・アクション」として受賞に至りました。

 

現場の声を徹底的に汲みあげる/フロンティアワークス

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「アニメを通じて夢を提供する仕事なのに、自分たちが“仕事でわくわくできない”ことは問題だと思ったんです」

DVDや書籍、映画など幅広いエンタメ商材を扱っている株式会社フロンティアワークス。クロスメディア事業部課長代理の中田翔さんは、取り組み開始時の思いをそう振り返ります。

中田さんはグッド・アクションを受賞した取り組み「わくわくプロジェクト」の発起人の1人。中田さんの呼びかけに応じ、若手を中心として10人の仲間が有志のグループを作りました。

愚痴が社内で多く聞かれるようになったり、社内環境やコミュニケーションに課題を感じるようになったりした原因として、事業拡大で社員数100名超えをしたことによる「経営陣との距離」や「社内環境の悪化」が考えられました。

まずは手を付けやすいところから改善し、成果を示すという方針で、プロジェクト内に「わくわくオフィス班」を作り、エアコン洗浄やオフィスサービスの導入など、目に見える改善活動をすぐに実行していったそうです。

また、社内コミュニケーションを活発にする「わくわくコミュニケーション班」も発足し、経営陣を招いての交流会イベントを企画したりもしました。「30代から考えるマンション購入」や「地下アイドルのライブに行こう!」など、経営陣を巻き込み、経営陣それぞれの得意分野をテーマに実施しました。
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こうした成果を社内に伝えるのは「わくわくニュース班」。毎月の取り組み結果やコラム記事を社内報で発信します。

事業推進部係長の羽田淑恵さんは、「活動に対する反応が増え、手応えを感じています。私自身も取り組みを通じて他部署との交流が増えました。今後はみんなが分担して社内を活性化させる状態を当たりまえにして、“プロジェクトの必要がない状態”に持っていければベストですね」と語っています。

プロジェクト発足のきっかけも、活動を継続していく力も、「自分たちで変えていこう」という社員の自由意志。かつては愚痴が飛び交っていたフロンティアワークスには今、仕事をより楽しみ、「わくわくする」職場を作っていこうとするポジティブな感情があふれています。

 

今後を生き抜くには三社三様の人事制度が必要である

以上でご紹介してきたように、社内の「現場の声」をくみ上げた新しい人事制度を企画・実行し、更に成果を挙げることは今後一層求められてくるでしょう。しかし、新しい取り組みは日の目を見にくいもの。それでも地道な努力を続けることで後々社内を大きく変えることになります。

そんな取り組みを応援するグッド・アクションのような賞は、今後も益々「新しい」人事制度の普及を後押しするでしょう。

リクナビNEXT GOOD ACTIOM公式サイト:http://next.rikunabi.com/goodaction2015/

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