「リーダーはいらない、全員がリーダーになれ」ピエール中野の“もしピエ”第二回「日本3.0」

もしピエ 第二回

2017/05/18
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公共性=「自分に何が期待されているか」を把握すること

――続いてのピックアップはこちら。非常に印象的なフレーズですね。

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中野 この記述を読んで連想したのは、大森靖子 さんですね。非常に破天荒なイメージの人ですけど、実は公共性が強い人です。

大森靖子『ミッドナイト清純異性交遊』Music Video

――日経DUAL での連載を拝見しても、それは感じました(周囲の声に対して葛藤するというのは、公共心の裏返しにも見えます。

中野 優等生タイプではなく、破天荒に見えるけど、行動と思想には公共性がある。だからこそ色々なフィールドを開拓しているし、イノベーションも起こせている。そういうアーティストだと思います。

――それは、中野さん自身も当てはまる部分が多いのでは。行動と思想に公共性がある。人の目を無視して何か行動することはまずない。中野さんのDJは、まさにその典型ですね。

中野 確かに、DJに関しては破天荒ですね(笑)。めちゃくちゃなことやっていると思います。優等生だったら曲と曲とをちゃんと繋いで、テンポも揃えます。でも僕は1曲1曲をフル尺(全部)でかけるし、自分で歌ったりするし、「そんなつなぎ方ないわー」ってつなぎを平気でやります。DJ好きな人には「あんなのDJじゃない」ってよく言われました。

けど、そもそもDJって何でしょうか? 僕は「場を盛り上げたり、音楽を楽しむための手段の一つ」だと思います。みんなが楽しめて、さらには何か意味合いや愛情を感じられたら、それでいいんじゃないのと思ってやっています。それに、僕がDJとしてのスキル、テクニックと言われるものを披露しても喜ぶ人は多くないでしょう。できる人は他にたくさんいます。自分がDJをプレイすることで成り立つエンタメもあるということです。

ドラムに関しても、そうかもしれません。僕はクリック(編集部注:テンポ維持のために鳴らされる音、メトロノームのようなもの)にあまり合わせないというか、そんなに気にしないんです。もちろんしっかりクリックに合わせて叩くこともできますが、それは自分の持ち味じゃないと思っていて。

そして周囲も「そのほうがかっこいい」といって合わせてくれたりしますから、そういう意味で独特なことはできているのかなと。1人で無茶なことをやっているのではなくて、みんながカッコいいと思うことをやっていきたい。それはドラムでもDJでも、それから文章でもそうかもしれません。

――そういう意味で、中野さんの活動には常に公共性がありますね。

中野 公共性って、要するに「自分に何が期待されているか」を把握することだと思うんです。自分の一番身近な人が楽しんでいるか、納得しているか。ある意味、イノベーションとは真逆のことかもしれません。「イノベーションは優等生でなく、破天荒でいい。ただし、行動と思想に公共性が求められる」この一文って、実は矛盾しているんですよね。でも、そこがすごいなと思う所以です。

自分の思いって、それほど重要じゃないと思うんです。「自分の思いを無くす」というとネガティブに聞こえるけど、そうじゃなくて「自分勝手さ」を減らすというか。自分の思いって、悪い言い方をすれば独りよがり。そこをどう減らせるか。DJを始めてからこのスタイルである程度結果を残せているので、そういう部分で悩むことはなくなりました。

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