2017/02/28 公開

もしもピエール中野が、P・F・ドラッカー『マネジメント』を読んだら

もしピエ 第一回

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非バンドマンにも伝わる言葉を選ぶ(GEN16)

――最後にもう一つ選ぶとすると、「大工と話すときは大工の言葉を使え」はいかがでしょうか。 

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中野 あー! これはそうですね。「相手がわかる言葉を使う」、っていうのは、常に意識しています。例えばドラムクリニックをやる時、僕は割と難しい機材の紹介を依頼されることもあるんです。この間あったのは、ジルジャンという世界最大手のシンバルメーカーが出した次世代シンバル『GEN16』という機材で。通常のシンバルより音は小さいんですが、光っている部分がマイクになっていて、機械を通して音色を変えられたりする機材なんです。

――半分、電子シンバルのようなものなんですね。 

中野 そうです、『エレクトリック・アコースティック・シンバル』と言われてます。これをどう訴求するかが僕の仕事で、そうなるとあまり専門的な話をしすぎると購買意欲はわかないじゃないですか。なるべくわかりやすい言葉で、例えば「単純に見た目カッコイイよね、家に置いたら普通のシンバルより気分が上がりますよ」とか「練習した時の感触はちゃんとシンバルだから、普通の電子ドラムよりも細かいニュアンスを確認できますよ」とか。そう伝えると、「ああ、良さそうですね」と言ってもらえたりします。

――しかも、家で鳴らすとそこまでうるさくないと。 

中野 うるさくない。そういう、バンドマンやドラマーじゃない人たちにも伝わるように話したり。僕のクリニックって、ドラマーじゃない人も来るんです。単純にドラムが好きで、間近で見たいって人も結構来ます。専門的な話ももちろんするので、そのときは「やってない人には伝わりにくいんですけど」とか断りを入れたりしますね。

自分自身、そこまでちゃんと勉強してこなかったタイプの人間なので、難しい言葉や言い回しは使えないんです。なるべくわかりやすいように、伝わりやすいように心がけてます。無駄をそいで、シンプルに、なるべく短くなるように。受け止め方も一つじゃなくて、その人によって受け止め方が変わるような言い回しにしたいですね。

Twitterでも、言葉の使い方はすごく考えていますね。シンプルにしつつ、どうとでも受け取れるような言い回しをすることで、「これ、自分の今の状況に当てはまるな」と思ってもらえたり。コミュニケーションの取り方は、いつも考えています。

――伺っていると、本当にマーケティングの素養がある方ですね。お客さんを無視しないんですね。ミュージシャンとしてプロダクトにはこだわるけど、マーケットも絶対に無視しない。 

中野 そうですね。

――ドラムのテクニック的な部分も突き詰めて、とてもマネできないレベルにある上で、きちんとお客さんのことも考える。それは強いわけですね……。 

行き詰まっている万人に使える名著

――以上、P・F・ドラッカー『マネジメント』についての感想を伺いました。最後に、この本はどんな人に読んで欲しいですか? 

中野 やっぱり、上司および上司になる予定の方ですね。これを今誰かの部下になっている人が読んだら、マネジメントに対するアラが見えるわけじゃないですか。見る視点も変わってきて、ひょっとしたらイラッとすることも増えるのかもしれない(笑)。

あとは、制作サイドの人は読んでいるかもしれませんが、プレイヤーで読んでいる人はほとんどいないと思います。後輩から悩み相談されることも多いんですが、そういう時にこの本を薦めたいですね。行き詰まっている人に対して、万人に当てはまるようなこと、僕にすら当てはまるようなことがたくさん書いてある。ぜひ読んでもらいたいです。

――何らかの形で問題を抱えている人は全員読むべき傑作ですね。 

中野 実際、そこに着目して『もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)』ってものすごく流行ったわけですよね。ドラッカーは別にビジネスマンだけのものじゃないし、マネジメントにしても仕事している人だけのためのものではない。ただ、ドラッカーにしてもマネジメントにしても、存在を知っているけど読んだことのない人はとても多いと思います。そういう人たちに届くといいな、と思います。

――この連載が、その契機になることを願います。次回以降も、素晴らしいお話を期待しています! 

<了>

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