2017/02/28 公開

もしもピエール中野が、P・F・ドラッカー『マネジメント』を読んだら

もしピエ 第一回

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基礎なくして跳躍は大きくならない(マホロバケーション)

――では、具体的な感想をいただきたいと思います。特に刺さったフレーズはどのあたりですか? 

中野 「未知への跳躍を大きくしようとするほど、基礎をしっかりさせなければならない」ですね。

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中野 もう、そのまんま刺さりました。 基礎がないと、どうにもならないんですよ。絶対詰まっちゃうんです。

――かなり以前の話ですが、中野さんはmixi日記で「ミュージシャンとしてまずはテクニック志向です」ということをお書きになっていらっしゃいましたね。 

中野 表現するための手段ですからね。クリエイターの求めているドラムをちゃんと演奏することが、ドラマーの役割だと思うので。指定された演奏ができなかったら、話にならない。例えば極端な話、「ビートルズっぽいハネ方して」って言われて「ビートルズってなんですか?」ってなったらダメでしょう(笑)。

仮に名前だけ知っていても、そのニュアンスが身体に入ってないからどう叩けばいいかわからない。「これ、難しいっすね」となってしまう。基礎はとても大事です。ビートルズっぽく叩けたら、「じゃあもうちょっと今っぽく」とかやり取りが進んで、クリエイターが求める音楽に近づけることができるわけです。

――ピエールさんがドラマーとして参加した曲は多数ありますが、特にももいろクローバーZの「マホロバケーション」が印象に残っています。あの曲も時雨とは全く違うドラムパターンですが、どういう発注だったんですか? 

【ももクロMV】マホロバケーション / ももいろクローバーZ(MAHOROVACATION / MOMOIRO CLOVER Z )

中野 あの曲は『GOUNN』でハマ・オカモトくん(OKAMOTO’S)と一緒にやったプレイが好評で、ももクロサイドから「もう一曲、ハマさんと一緒にやりませんか」という発注が来たんです。で、デモ音源が来てからレコーディングに向かうと、他のパートは全て入っていてあとはドラムだけという状態だったんですよ。

――それはすごく難しいですね。 

中野 そうなんです。いわゆるクリックという、ガイドになるメトロノームがあります。普通はクリックだけに合わせればいいんですが、すでに演奏が入っている。人の演奏ですから、当然タイムの揺れがあるわけです。

――機械と人、双方微妙に異なるリズムに合わせる必要があったんですね。 

中野 クリックが鳴っていて、ベースのタイムもあって、その両方に合わせながら叩く。これは、基礎がないとできません。ドラムの技術だけでなく、レコーディング経験という部分でも基礎が必要でした。もし経験がなかったら、あの場でどうしたらいいか分からなくなったと思います。

逆に、あの現場ではクリエイターの2人も「ドラムのレコーディングは初めてなんです」と言っていたので「じゃあ、手伝います」と進行も手伝って。その時に、エンジニアさんに「僕のやりやすいやり方で録らせてください」とお願いしました。結果、時間もすごく短くなりましたし、あまった時間で「もっとフレーズ構築しましょう」「違うパターン試しましょう」とできる。そういう提案ができるのも、基礎となる経験が必要です。

――「マホロバケーション」は何時間ぐらいで録ったんですか? 

中野 確か、セッティングと音作り含めて3時間かかっていないぐらいですね。

――うわ、それは時給がえらいことに(笑)。 

中野 基本のドラムテイクを1時間ぐらいで録り終えて、サウンドチェックして、もう1テイクとっておしまい、みたいな。僕はドラムテックという仕事もしているので、音作りも早いんです。裏方に回ることを本格的に考えていた時期もありましたから。

だから、エンジニアさんに合わせて「こういうドラムの音だと録りやすいですよね」と提案もできます。みんな「もうちょっとスネアが」「バスドラが」とかのやり取りで1~2時間費やしたりするんですが、僕はすぐにレコーディングに入れるんです。これも、基礎のなせる業かなと思います。

――これは、基礎の話だけで1本書けますね(笑)。 

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