2016/09/26 公開

オヤカク(親に確認)が必要な内定者は採用しないほうがいい

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近年、新たに生まれた就活用語の「オヤカク」をご存知でしょうか。これは「親の確認」の略語であり、企業が内定を出した学生の親に「うちの会社に入ることを承諾してもらえるか」の確認を行うことを指しています。

能力もやる気も十分あり、入社させたい学生がいたとしても、学生の親が反対すれば内定を辞退される……なんてことも珍しくないのです。そんな事態を防ぐため、オヤカクを実施する企業が年々増加傾向にあるといわれています。

しかし、社会人は様々な場面において、個人の判断が求められます。「親が反対するので内定を辞退します」という内定者に、決断力があるとはいえません。そんな内定者はオヤカクまでして本当に入社させる必要はあるのでしょうか。

今回はこのオヤカクに対して就活生のリアルな意見、さらにオヤカクが生まれた背景に触れながら、企業が行うべき本当のオヤカクに迫ります。

 

社長自ら家庭訪問、高級な贈り物……過激になっていくオヤカクは事前のクレーム対策だった。

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では、オヤカクの具体的な内容を見てみましょう。両親に挨拶の電話をかける、手紙や会社案内を郵送する、社長自ら内定者の家へ訪問し、挨拶するといったように、オヤカクの内容は多岐にわたります。

なかには内定者懇親会に親を招待し、フルコースの料理をご馳走する、高級な贈り物をするなど、親に対し、誠意を感じてもらえるよう多額のコストをかける企業も。内定を出して承諾されたら採用活動は終了……だったはずが、企業には内定者の親も納得させるという新たな問題が加わったのです。

もちろん、オヤカクをしなくても内定を承諾する学生はいます。しかし、入社後に帰りが遅くなった、こんなことなら入社させなかったとクレームをつける親がいることも事実です。オヤカクは親が持つ企業へのイメージとのズレを解消するためのものでもあります。

 

「うちは別に必要無い」……就活生からのリアルな意見。

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当の就活生はこの”オヤカク”をどのように思っているのでしょうか。就活生4人から率直な意見を聞きました。

Sさん:オヤカクなんて初めて知りました。実際に自分がされたらと思うと怖いです……はっきり言ってしまえば囲い込みですよね。「絶対来るよね?」という。入社前からそんなに企業が必死になるのは、辞める人が多いからかな、と悪い想像をしてしまいます。

オヤカクは「多額のコストをかけたんだから、どうしても入社させたい」という企業の必死さを明確化してしまいました。入社の意思を確認できるはずが、「問題があるのでは?」と学生に不信感を抱かせてしまう面もあるようです。

 

Tさん:親が決めた企業に入ったら、いざ壁にぶつかったときに「でも、自分が選んだわけじゃないし」と言い訳に使ってしまいそうです。僕は「ここじゃなきゃ嫌だ、どんなことがあっても頑張りたい」という企業で働きたいです。

親に言われたから受けた、親が反対するから内定を辞退する、という親にべったりの就活生ばかりではありません。Tさんは親を言い訳にしないよう、自分の意思をはっきりと持っています。

 

Fさん:友達はよく親に就活のことを相談したりもしているので、そういうところはもしかしたら必要なのかもしれませんね。もしくは、「親の期待に応えなくては」とプレッシャーを感じていて、親が納得する企業に入りたいという人にはよいのではないでしょうか。私の両親は基本的に私に任せてくれているので、あまりピンときていません。もし自分がオヤカクをされても困ります。

Fさんの意見からわかる通り、オヤカクが必要なのかどうかは家庭によります。親が納得する企業で安心させたい、という希望を持つ就活生にとっては良い制度なのでしょう。

 

Iさん:親も親ですよ。自分の子どもくらい、信用できないんですかね。オヤカクで親が納得した企業に入った後、実はブラック企業で辞めたい、と思っても「こんな良い会社なのに。何が気に入らないの?」なんて言われたら、逃げ場がなくて嫌だなあと思います。

就活生がいざ入社してから「辞めたい」と思うことがあったとしても、企業だけでなく親とも対立してしまえばどこにも助けを求められなくなってしまいます。

 

認識の違いから、親の言いなりになってしまう就活生。

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子どもの就活に干渉する親世代は、バブル期に就活をしていました。大卒であれば苦労することなく内定を得られていたため、一部の親は現在の就活生がおかれている状況を十分に理解できていません。「大手企業に入ってほしい」と考える親は、子どもが内定を得たIT企業やベンチャー企業に対して具体的なイメージを持てず、「そんな企業、いつまで働けるんだ」、「聞いたことも無い企業になんか就職させない」と反対します。

そんな親の心配は、必ずしも勝手なものでもありません。パワハラやブラック企業の問題を知って、「うちの子どもにはそんな辛い思いをさせたくない」と心配する気持ちが背景にあります。

そんな親のひとことを受け入れて内定を辞退するのか、「自分の判断を信じてほしい」と思い、説得するのか……最終的な決断は就活生に委ねられています。そこで自信がない就活生は、そこで親の反対を理由に辞退を選んでしまうのです。

 

親の意見に左右されず、反対する親を説得してまで入社を希望する就活生こそ選ぶべき。

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就活生からすれば、自分を長年近くで見ている親のひとことには、説得力があります。そんな親の思いを受け止めながらも、説得を試みようとする就活生は、自分の意思を強く持っているといえます。

親の意見を理由に選考を受け、内定を得た就活生は、たとえ能力が高くても、ちょっとした挫折から立ち直れなくなることでしょう。子が子なら、親も親。立ち直れなくなった我が子を見た親が、企業に「何でうちの子にひどいことを言ったんですか?」と難癖をつけてくることだって考えられます。

企業がオヤカクで反対する親を説得しようとしても、徒労に終わります。その一方で、親は我が子の「僕(私)はここで働きたい」というひとことで心動かされるはずです。親にとって、よく分からない企業の言葉と、愛してやまない我が子の言葉では重みが違います。企業は就活生の親の顔色をうかがうよりも、自ら親を説得しようとする就活生を見極めるべきなのです。

実際に就活をしている子どもがいるAさんに意見を聞きました。

Aさん:正直に言えば、自分の子どもがどんな企業で働くかは親として気になります。ただ、私が良いと思った企業が必ずしも子どもにも同じように良い企業だとは限りません。考え方もおかれた状況も違いますし……なので、最終的に子どもが納得する企業であれば良いです。なんやかんや親はいくつになっても子どもに世話を焼きたいものなんです。とはいえ、行き過ぎた親にはなりたくないですね。

「最終的には子どもの納得する企業であればかまわない」と話すAさんのように、子どもの判断を尊重する親にわざわざオヤカクをする必要はないのです。

しかしながら、子どもが何歳になってもついつい気になってしまうのが親というもの。家庭の事情により、どうしても内定を辞退せざるを得ない状況もあるでしょう。

親に判断を委ねることで企業選びの責任から逃れようとする就活生なのか、それとも親の意見を踏まえたうえで自ら入社を選ぶ就活生なのか……企業側はそれを見極めることこそが、正しいオヤカクなのではないでしょうか。

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