2017/03/23 公開

「父母の会」を「保護者の会」 に変えたアラフィフマーケッターやよいさんのお話

PTAから考える、多様な生き方と働き方。 その0

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「父母の会」って、どうなの……

近藤やよいさん、アラフィフ。

息子さんが1歳のとき、東京近郊にマンションを買い、ふたりで暮らしています。息子のユウヤくんは、いま小学3年生です。

やよいさんがユウヤくんを保育園に預けたとき、園にはPTAのような保護者組織として「母の会」というものがありました。

いまどき「母の会」って、どうよ……。うちは母と子だから「母の会」でもおかしくはないけれど、世の中には母がいないおうちだってあるのにね?

違和感を抱えていたところ、同様に感じる人がいたのか、会の名前が変わりました。
今度は「父母の会」です。

いや、でも、「父母の会」もどうなの……。母がいない家もあれば、うちのように父がいない家もあるよね?

ただの「保護者会」でよくない? やよいさんは、そう思っていました。

あらゆるシミュレーションのうえ決意

やよいさんのお仕事はマーケティング。よく知られる企業にお勤めで、管理職をしています。
「けっこう稼いでいますか?」とわたしが聞くと、にっこり微笑んでくれました。すてき。

30代の頃に一度、結婚経験アリ。やよいさんは子どもが欲しかったのに、相手はそうではなかった。だまされたような気持ちでした。
その後いくつかの恋愛を経て、今の彼と付き合うように。

もう、子どもをもつことも結婚もあまり考えていなかったのですが、あるとき、まさかの妊娠発覚。「いちおう」彼に結婚を打診してみところ、反応はイマイチ。

彼は前妻のもとにいる2人の子どもに養育費を払っており、これ以上の子どもの養育は、経済的に難しかったのです。

さて、では、どうする? やよいさんはすぐさま、ファイナンシャルプランナーに相談予約を入れました(勤め先の福利厚生を利用したそう)。

おなかの子どもを、自分の稼ぎだけで大学まで行かせられるか? シミュレーションを頼んだのです。

判定は「大丈夫」。自分も老後の生活に困ることはなさそうだとわかり、やよいさんは産み育てる決意をかためたのでした。

「仕事柄、いつも3年、10年の長期戦略を立てて、最悪のケースも全部想定して、シミュレーションをするのには慣れているんです。

子どもをもつにあたっても、それを全部やりました。そのうえで“大丈夫だな”と判断したので」

彼の住まいから、やよいさんのマンションまでは、車で30分ほど。彼はときどきやって来て、ユウヤくんのめんどうを見ています。

ユウヤくんは保育園のときに、発達障害の診断を受けました。
やよいさんは、小学校に入る前に「ありとあらゆる準備をした」ため、入学後は「空の巣症候群」に陥ってしまったそう。

どんだけ準備したんでしょうか……。

「稼ぎ柱が一人、というのはやっぱりリスキーですよね。病気になったり、事故にあったりする可能性もあるし。

子育ては、パパにみてもらったり、周りのお母さんに助けてもらったりして、なんとかやってます。実家の父の具合が悪くなってからは、母には頼れなくなってしまって。

産む前は、子どもをもったらもっと公的なサポートがあるのかと思っていたんですけれど、全然なかったので、驚いちゃいました。日本は子育てを支える制度が薄すぎますよね」

でっすよねぇ。

会長になって変えた

そんなやよいさんが保育園の“父母会”の役員になったのは、いまから約5年前のこと。
翌年度は、会長を引き受けました。

「ほかの役員さんたちには、『わたしが残るから、みなさんは安心して次の人にバトンタッチしていいですよ』って伝えました。わたし以外は総入れ替えになったので、2年目はある意味、やりたいようにできました(笑)」

そこで冒頭の、会の名称です。やよいさんが会長になるまでは“父母会”でしたが、さっそくこれを“保護者会”に変えることにしました。

「いまどき“父母会”っていう名前、どう? ってみんなに聞いたんです。うちみたいに父がいない家もあるし、母がいない家もある。

ほかにも、わたしたちが把握していないだけで、おじいちゃんおばあちゃんでお孫さんを育てているとか、同性カップルで子育てしてるおうちとか、いろいろあるかもしれない。

だから“父母会”じゃなくて“保護者会”でよくない? って提案したんですよ」

役員会では、みんなアッサリと賛同してくれました。

次に話をしたのは園長先生。「話が通じるタイプ」だったため、予想通りの好感触。園の経営についての実権を握る「運営会議」にも、うまく話を通してくれました。

「古い保育園で、おじいちゃんおばあちゃんの代から三世代通っているようなおうちもあるんですね。だから、運営会議の発言権がとても強いんです。

だからもし、ほかの保護者から反対の声が出ても、“運営会議”を押さえておけば大丈夫だろう、と思って先に話を通してもらいました」

そして最後は、父母会の総会に議題をあげました。
準備の甲斐あって、そこでも無事に承認を受け、“父母会”はようやく晴れて“保護者会”という名称に。

話の進め方が、なんとも巧みです。

その後もやよいさんは、保護者の負担を減らすため、いくつかのプチ改革を実行しました。

それまでは年に2回、保護者が総出で行っていた園の“大掃除”を、業者に外注する形に変えたり。

近所の学童との合同イベントで、保育園の保護者に負担が偏っていたため、イベントを別に行うことにしたり。

卒園から、そろそろ3年。

やよいさんは、今日もお仕事です。


photo by bluesbby

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大塚玲子
編集者、ライター。主なテーマは「PTA」と「いろんな形の家族」。各地で講演、テレビ・ラジオ出演多数。PTAでは学年総務部長。 シングル母。著書『PTAがやっぱりコワイ人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』。 http://ohjimsho.com/
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