2017/02/20 公開

「おやじの会」にモヤモヤモヤモヤ

PTAの抱える問題は女性の働きにくさそのものだと思う。その5

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みなさま「おやじの会」ってご存知でしょうか? 
主に小学校で活動する父親たちの団体なんですけれど、PTAの取材をしていると、わりとよく耳にします。

30年くらい前に出現し、いまや全国で4千団体くらいあるのだそう。小学校はいま全国で約2万校ありますから、平均すると5校に1つくらいは存在するってことですね。

休眠中のところも含むのでしょうが、意外とあるね、という割合です。

PTAって、みなさんご存知のとおり、お母さんばっかりじゃないですか。それで「お父さんたちが入りにくいから」ということで、別途こういう「お父さん向けの会」がつくられるようになったようです。

活動内容は、それぞれのおやじの会によってバラバラ。たとえば、校庭で親子鬼ごっこ大会をやったり、もちつきイベントをしたり、学校の運動会などの準備や片づけを手伝ったり。

そして、おそらくすべての会に共通するのは、「活動が終わったあと、飲みに行く」というところ。「これがじつはメインなのだ」と言い切るお父さんたちの笑顔。

みなさん、とにかく、楽しそうにやっておいでです。誰に強制されているわけでもなく、自分でやりたくてやってるから、いいのでしょうね。

父親たちには死角がある

しかししかし。この「おやじの会」、母親たちの側からみると、なんというか非常にモヤモヤとした気分を誘う存在だったりもします。

「お父さんもPTAやったらいいじゃないの?」

「なんでイベントのあとの豚汁の用意だけ、お母さんにさせるワケよ」

「飲みにいってるだけでしょ」

「自分たちは楽しいことばっかりやって、めんどうなことは全部PTAにおしつけて」

「いいとこどり!!」

おっほう……。

これ、もちろん、わたしの声(だけ)じゃありませんよ。さんざん、お母さんたちから聞いてきた声です。もっとソフトな方もいますけれど。

でもまぁ、わたしもこの気持ち、とてもわかるはわかるのです。

「おやじの会」で楽しそうに活動するお父さんたちと、「PTA」に苦しむお母さんたちとのギャップは、あまりに大きすぎる。

しかもそのギャップや、母親たちのモヤモヤに、無自覚なお父さんも少なくない。

「うちの学校では“おやじの会”っていうのをやってるんですよ! 要は、みんな飲みたい親父なんですけど(笑)、すっごく楽しいんです!」

それはステキなことですね。でも、でも……(言葉を呑み込む)。

ああ、この目に見えない深い断絶を、一体どこからどう。

そこはお母さんたちも、ホラ

この件については、お父さんたちにもお母さんたちにも、言いたいことがいろいろあるのですが。順番にいきましょうか。

1つめ。
でもね、お母さんたち。実際のところ、PTAにお父さんたちを入れてあげてないんだから、こうなるのも仕方ないじゃない? っていう面もあるんですよね。

「PTAが母親ばかりなのはおかしい」と言いつつ、みなさん自分のオットをPTAに行かせておいでではありません(わたしみたいにオットがいない母はやむをえない)。フルタイムの共稼ぎですら、オットをPTAに行かせるお母さん、あまりいないです(地域差が大きい話でもあるのですが)。

そんでまた、せっかくヨソのおうちからお父さんが来ていても、お母さんたちはなかなか話しかけてあげないでしょう。あれじゃたしかに、お父さんたち来づらい……。

そういう現状を考えたら、お父さんたちがPTAとべつに団体をつくるのも、ある意味仕方ないじゃない、って思うところもあるはあるんですよね。

次、2つめ。
これはホントは学校に言わなきゃいけないことなのですけれど、「PTAだけに学校のお手伝いを頼むんじゃなくて、おやじの会にもふってはどうですか」というところ。

「学校のお手伝いはPTAがやって、おやじの会はおやじが好きなことをできる」みたいになっていると、お母さんたちはモヤモヤ悶絶するのです。「おやじの会」も、そこはフラットに扱わないと。

お母さんたちも、そう学校に言っていいと思うのです。いまPTAはこの仕事をやれる余裕がないので、「おやじの会」とか他団体に頼んではどうですか、と。

実際、登下校の見守りなどで活躍する「おやじの会」もときどきあるようです。

そして3つめ。
これは、この連載でしつこく申しあげてきたことでもありますが。

お母さんたちも、お父さん並みの「ゆるさ」をめざしましょうよ、というところ。

「おやじの会」を「PTA」に近づけるよりも、「PTA」を「おやじの会」に近づけるほうが、みんな幸せじゃないかな、って思うのです。

「全員必ずやってください」じゃなくて、「やりたい人がやる」形に変えていく。

現状、学校から頼まれたわけではないけれど、「ただなんとなく前例踏襲で続いてる」お仕事も、PTAにはわりとけっこうありますよね。

やりたい人がいるならもちろん別ですが、もしいないなら、無理に続ける必要はないのです。どんどん減らしたらいいと思うのですよ。

学校から頼まれる仕事だって、全部そのまま引き受ける必要はないのです。PTAにも、おやじの会にも、拒否権はありますからね。

過渡期がいつか終わるまで

とまあ、ここまではわりと「おやじの会」をフォローしてしまいましたけれど。

でも、ほんとはやっぱり、お父さんもお母さんも一緒に活動できるのが一番いいんじゃないかな、とは思うのです。

「PTA」も「おやじの会」も、性別を問わないものになるといい。

母親、父親、でそれぞれ活動団体が決まってるのって、とても窮屈です。

いまは、専業主婦が多かった時代から、共働きを含め、いろんな形の家族が増えていく過渡期なんですよね。だから、一時的に「おやじの会」も必要になるんでしょうけれど、最終的には、PTAと融合しちゃってもいい。
 
そのときが、早く訪れますように。と祈りながら、念じながら、この連載を書いております。

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大塚玲子
編集者、ライター。主なテーマは「PTA」と「いろんな形の家族」。各地で講演、テレビ・ラジオ出演多数。PTAでは学年総務部長。 シングル母。著書『PTAがやっぱりコワイ人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』。 http://ohjimsho.com/
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