2016/11/28 公開

なんでPTAにお父さんいないのかな?

PTAの抱える問題は女性の働きにくさそのものだと思う。その2

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小学校に入ると突然消える!

なぜでしょうか、お父さんがPTAにいませんね。
「PTAって、お母さんばっかり!」

子どもが保育園から小学校に入って驚いたのも束の間。2、3年も経てば、すっかり状況に慣れ、お父さんを見かけると、「あそこんち、お父さん来てるスゴイ!」と感動する始末です。地域にもよりますが、そんなふうな母親ばかりのPTAもまだ多いでしょう。

PTAで見かける男性は、会長さんと数名の役員さんのみ。会長さんも女性の場合は、女子校のようです。まれにヒラのお父さん(役員ではなく、ふつうの委員)を見かけても、翌年は必ず役員に引き抜かれるため、ヒラ父はなかなか増えません。

どうして、こうなっちゃっているのか。
ちょっと、記憶を遡ってみましょう。

保育園のときには、お父さんもけっこういましたよね。数か月に1度、土曜日に集まった保護者会。半分まではいかないにせよ、お父さん率はそこそこ高かったはずです。
 
それが小学校に入ったのを境に、パタッと消えてしまいました。PTAの役員を決める最初の保護者会から、魔法のように、お父さんを見なくなります。

いったい何が起こるのでしょうか? 細かくみていきましょう。

まず子どもが小学校に入ると、保育園から来た子たちと、幼稚園から来た子たちがまぜこぜになります。

子どもたちはすぐ仲良くなるからいいのですが、問題は保護者、お母さんたちです。
ここで「保育園文化」vs「幼稚園文化」という摩擦、衝突が起こります。

幼稚園というのは、育児を主な仕事とする親が存在する、という前提の場です。
まれにお父さんの“主夫”もいますが、ほとんどは性別役割分担ですから、母親が“主婦”として、育児を担当しています。
幼稚園に顔を出すのは当然、お母さんです。

一方、保育園は、育児を主な仕事とする親が存在しない、という前提の場です。つまり、共稼ぎや、ひとり親の家庭が前提です。
保育園の親にも、性別役割分担意識は残っているので、顔を見せるのはやはり母親が多いですが、幼稚園ほどではありません。父親もそこそこ出てきます。

こんなふうに幼稚園と保育園は前提が違いますから、保護者のほうもまた当然、違った価値観をもっています。

たとえば保育園母は、なによりも時間を節約したいのに対し、幼稚園母はどちらかというと交流を重視するので、時間の節約はそれほど気にしないことも。
もちろん人にもよりますが、おおまかには、そんな傾向があります。

そんな両者が、小学校でいっしょになるのです。
なかでもPTAという場では、この両者が「いっしょに活動すること」を求められます。
それはもちろん、平穏にはいきません。目には見えないぶつかり合いが起こり、キナ臭い空気が立ち込めます。

結果、どうなるか? これまでは主に、幼稚園文化が勝ってきました。
戦後の高度成長期からつい最近まで、日本社会では、専業のお母さんが多数派でした。そのため自然と、保育園文化は幼稚園文化に負け、消えてきたのです。

ですから、活動時間は土曜日ではなく、平日の日中。
活動に参加するのは、お父さんではなく、お母さん。
それが、暗黙のルールとなってきたのです。

当然のこと、保育園出身の母たちは困ります。なかには自由業や、土日が仕事の人もいますが、会社にお勤めの人たちは、平日の日中の活動に応じることはできません。

だから本当は、「行けません」とか「引き受けられません」と言って、PTAの仕事を断りたい。
でも、それは許されません。

なにしろ性別役割分業が前提なので、平日日中に学校に来られないお母さんは「間違った存在」だからです。

だって、母親の一番の仕事は家事育児なんだから。
仕事を続けているから、平日日中の集まりに来られないなんて、そんなのおかしい。
そんな気持ちが、幼稚園出身の母親にもありますし、保育園出身の母親自身にも、あったりするのです。

で、お父さん。出てきませんね。
今回のテーマ、お父さんなのに。

ほぼ完全に忘れられているわけです。学校やPTAという場は、性別役割分担でお父さんがお仕事をしてお金を稼いでいる、という設定なので、存在が想定されていないのです。

そのような状況なので、前回も書いたとおり、強制参加圧力は母親の間でのみ発生します。男性であるお父さんには、その圧力が及ぶことはありません。

どうしたら父が増えるのか

ではさて、どうしたらPTAにお父さんが増えるのでしょう。

お母さんたちに話を聞いてみると、みんな「お父さんがもっとPTAをやってくれてもいいのにね~」などと、口では言います。
でも、実際には父親は出さず、自分が出てきます。

なかには、お父さんが「PTAに出たい」と言っているのに、お母さんがそれを制して出ている(しかもイヤそうに)、というケースも聞きます。

なんで、そうなるのか?
おそらく、ほかのお母さんたちの手前、気まずいんですよね。

ほかの母親たちがみんな「育児=女の仕事」という、昔ながらの暗黙のルールを引き受けているなか、自分だけが知らんぷりしてお父さんを出すのは、なにやら申し訳ない。
そんな気兼ね、同調圧力が働くのではないかと思います。

でもね、いいんですよ、出しちゃいましょうよ、お父さん。
出せる人はお父さんを出していく。それしかないと思います。

保育園の待機児童はふくらみ続け、幼稚園は定員割れが続く状況です。
もう、母親だけが家事育児を担う時代ではないのですから。

お母さんたちは、どんどん重荷をおろしていいのです。 

もしかすると、「ママたちの会話に入ってくの、おれムリ~」などと言うお父さんもいるかもしれませんが、大丈夫、行かせてしまえ。慣れます、慣れます。

筆者も以前、父親向けのNPOに入ったことがあるのですが、最初はやはり戸惑いました。男性同士の率直な物言いに慣れず、「なにこのひとケンカ売ってるの?」と悩んだこともあります。

でもね、じきに慣れましたから。自分で壁さえ作らなければ、だんだん「こういうコミュニケーションルールなのか」となじんできます。

PTA会長をやっているお父さんたちも、みんな同じようなことを言います。
最初はお母さんたちの会話にうまく入れなかったけれど、いつのまにか慣れちゃった。
意外とそんなもののようです。

お父さんがPTAに増えづらい一番のネック。それは、お母さん自身の中にある「呪縛」なのです。

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大塚玲子
編集者、ライター。主なテーマは「PTA」と「いろんな形の家族」。各地で講演、テレビ・ラジオ出演多数。PTAでは学年総務部長。 シングル母。著書『PTAがやっぱりコワイ人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』。 http://ohjimsho.com/
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