PTA会長(男性)が話し始めるとひたすら相づちを打つ母親たちが、男性を会長にしている

PTAから考える、多様な生き方と働き方。

2017/12/25
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著者:大塚玲子
 

私、よくPTAの座談会やグループワークに立ち会うのですよ。雑誌でPTAの特集を組むときとか、PTA役員さんの勉強会や研修会があるとき、呼んでいただいて。

このとき、わりとたびたび遭遇するのが、
「数少ない男性参加者が、ひとりで延々としゃべり続けてしまう」光景です。
いやあ、なんだろうかこの現象は。

こういった場では、大体の場合、お父さんの参加者が少なめです(平日の日中にやることが多いからなんですけれどね)。
5、6人のテーブルのうち、ひとりだけお父さんとか、そんなことが多い。

で、そのお父さんの参加者というのは、ほぼ必ずPTA会長(経験者)です。
男性の場合、会長以外の役職を経験しても「PTAをやった」とみなされづらく、その他の役職の父親がPTAを語る場に出てくることは少ないのですよね。男も不自由だ。

対する女性陣はというと、会長職も稀にいるものの、ほとんどは副会長・会計・書記など、その他の役員さんたちです。

すると、何が起こるか。数少ない男性参加者=会長が話し始めると、お母さんたちは一斉に口をつぐみ、聞き役にまわってしまうのです。

そしてナチュラルに、例の「さしす(せ)そ」的なやり取りが展開されます。

 さすが会長 知りませんでした スゴイ そうなんですね
 
「せ」=「センスいいですね」は、話題的にないのですけれど。

話を遮る人もおらず、「それ違いますよ」と反撃する人もいない(するとしても、ごくやんわりと「異論」を唱えるレベル)。
お父さんは、それは快適に、しゃべり続けます。

お互いに見知った同士だとまた違うのでしょうけれど、座談会はホラ、初対面同士で組むことが多いので、そんな展開になりがちです。

「お母さんたち、あんなにたくさんいたのに、あんまりお話聞けなかったなぁ……」
ぼんやりと思いながら会場を後にしたことが、何度かあります。

こんな話も聞きました。

離婚ぎりぎりで踏みとどまる、あるご夫婦。ダンナさんがPTA会長に就任したところ、「学校でほかのお母さんたちにチヤホヤされるので、家でも機嫌がよくなり、以前よりも夫婦喧嘩が少なくなった」とのこと。

さもありなん、です。
会長のお父さんの人柄にもよりますし、母親たちのタイプにもよりますが、基本的にお母さんたちは、男性会長をチヤホヤしようと、努力するところがあります。

***

しかし母親たちは、なんだってこれほど、(よその)お父さんの話を傾聴するんでしょうか。

まずは「PTA会長を経験している」というのが、大きいかもしれません。

会長は校長と話をする機会も多いし、自治会の“重鎮”や他校のPTA会長、教育委員会、地元の議員などとの接点もあり、ほかの役職には知り得ないことをたくさん経験しています(逆に会長は、PTAの活動現場で起きていることを知らないことも)。

そりゃ、お母さんたちが話を聞けば、自ずと「さすが会長知りませんでしたスゴイそうなんですね」となるわけだ。

でもたぶん、それだけではないのです。
そもそも母親たちは、相手が「男性だから」というだけで「立てねばならん」という意志を働かせています。無意識のうちに。

だからこそ、PTA会長を、お父さんたちにやらせているのです。

つまり、まず母親たちは「女が、男の上に立ってはいかん」と思い込んでおり、
→だから男を会長にしているのであり、
→お父さんが話を始めると、口をつぐんで、相づちを打ち始める。

どちらも同根、なのです。

たまに、一般の“委員会活動”にお父さんが参加して、一人ぽつんと佇んでいる姿を見かけますが、あれも根っこは同じこと。

母親たちは「上に立たない男」にはどう接していいのかわからず戸惑ってしまうのでしょう。
ちょうど、40歳を過ぎて初めて女性上司にあたった、男性社員のように。

だから「ヒラ」のお父さんを遠巻きにして、まるで「いない」かのように扱ってしまうのではないですかね。

***

「会長も経験していないくせに、PTAのことを語るな」

3年前、私が初めてPTAの本を出したとき、よく言われたものです。
男性からも、女性からも、言われました。
本のレビューや、記事のコメント欄に、書かれましたよ。今だって、たまにある。

でもね、当時わたしが入っていたPTAには「会長は男性」という不文律があった。

取材中にも、言われましたっけ。
「女の人に、会長は無理」「PTAの本は、女性には書けないよ」

会長をやらないとPTAを語れない。
男でないと会長になれない。
すなわち、男にしかPTAを語れない、ということ。

しかしめげずに本を出し、その後もワーワーとPTAについて書き、話し続けてきました。

女性会長は今でもたいして増えてはいませんが、少なくとも、「男にしかPTAを語れない」という風潮は、多少変わってきたと思うんですけれどね。
いや、もうちょっとなんとかしたい。


phto by Taylor Johnson

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大塚玲子

編集者、ライター。主なテーマは「PTA」と「いろんな形の家族」。各地で講演、テレビ・ラジオ出演多数。PTAでは学年総務部長。
シングル母。著書『PTAがやっぱりコワイ人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』。
http://ohjimsho.com/