「お母さんはお父さんより稼ぎが少ないから家事育児やPTAを多くやる」っていう堂々巡りをやめないか

PTAから考える、多様な生き方と働き方。

2017/12/01
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著者:大塚玲子
 

 これだけ働く母親が増えても、PTAを含め、家事育児を女が手放せないのはなぜか?
 まだ考えますよ。

 よくほら「お母さんのほうが、お父さんより稼ぎが少ないんだから、家事育児を多く担うのは当然だ」っていう意見、ありますよね?

 「もっとお父さんにPTAやってもらってもいいんじゃないの」と言うと、お母さんたちはしばしば「だってお父さんは稼ぎ柱だから、そういうことは頼めない」と言います。
 パートで働く自分より、お父さんのほうがずっとお金を多く稼いでいるから、と。

 お父さんのほうも「俺は大黒柱なんだから、そういうことは妻がやるのが当然」と言っていたりするし、口に出して言わないまでも、そういう空気を発していることは多い。
 そうしたらお母さんも、「夫には頼めません」ていうことになりますよね。

 なかには、お父さんは「俺じつは地元の飲み友達がほしいから、PTAとかちょっとやってみたいんですけど」と思っているのに、お母さんのほうが「いや、そんなことは稼ぎが低い自分のほうがやらねばならん」と思い込んで、却下していることもあるでしょう。

*

 でもその「お母さんのほうが稼ぎが少ないから、家事育児を多くやるのは当然だ」って理屈、ホントのとこ、どうなんでしょうか。
 妥当なんですかね? 

 わたしも昔、短期間ながら結婚していたことがあるのですが、そのときはやはり、そんなふうに思い込んでいました。
 「夫のほうが稼いでいるんだから、家事育児は妻であるわたしがやらねばならん」と。

 でも、どこかモヤモヤするのですよ。
 何か、間違っているような気がする……。

 だってさ、夫婦が同じくらいの時間、働いているとしますよね。

そのとき夫は社員で、妻がパートだったら、当然妻のほうが稼ぎは少ないわけです。
 でもそこで、「稼ぎが少ないから」といって、お母さんだけが家事育児をやっていたら、お母さんが断然、長時間労働になります。それはどうなの。

 それにそもそも、どうしてお母さんの稼ぎが少ないかっていったら、「女が家事育児をやる」っていう前提だったからですよね。
 お母さん本人も、お父さんも、社会も、そういう前提でこれまでやってきたから、母はしばしば稼ぎの低い仕事に就いているのです。

 独身時代に、さんざん見聞きしたはずです。
 子どもが生まれて、運よく保育園に預けられたとしても、子どもの具合が悪くなれば「お母さん」がしょっちゅう呼び出されるとか。
 熱を出せばどこにも預けられず、「お母さん」が仕事を休まなきゃいけなくなるとか。

 そりゃ大変だわ。
 そう思ったから、女の人は妊娠を機に仕事をやめて、「家に入る」選択をする人が多かったわけです。

 そんでやっと子どもが小学校に入って、「さあ、少し手が空いたから、ぼちぼち仕事を始めようかね」と思っても、そのときにはもう、非正規やパートの仕事でしか雇ってもらえない。
 だからお父さんより稼げない、という実態があるのですよね。

 なのにだよ。
 そこで「稼ぎが少ないから、お母さんが家事育児をやらねばならん」と言っていたら、堂々巡りではないですか。

 家事育児をやるから 稼ぎが少ない
  稼ぎが少ないから 家事育児をやる

 ちょっとこれ、誰か止めてやったほうがいいんじゃない?
 て思いますよね。

*

じゃあ、誰がそれを止めるのか。
 お母さんも、お父さんも、お互いに、ですよね。

 お母さんは、家事育児を手放すように心がけ。
 お父さんは、家事育児を引き受けて。

 どっちか一方だけががんばっても、どうにもならないことなので、両方いっしょに変わっていかないと。

 本音を言えば、お父さんだって「大変なのはお母さんだけじゃない。これ以上の負荷は、俺だって辛い!」という人もいるでしょう。
 辛いでしょう。

 でも、お父さんが家事育児をもっと担えば、そのうち妻も、もっと稼ぐようになるかもしれませんよ。
 お父さんもいつか、もっと楽をできるようになるかもしれませんよ……(ささやき声)。

 慰め半分ですけど、でも「もしかしたら、そうなるかも」と思っていただけたら、ちょっとはいいかなって。
 少なくとも、熟年離婚は避けられます。

 お母さんも大変だけど、お父さんも大変です。
 だからお母さんたちも、家事育児に夫の協力を得られたら、その次は、稼ぐほうをがんばりましょうね。

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大塚玲子

編集者、ライター。主なテーマは「PTA」と「いろんな形の家族」。各地で講演、テレビ・ラジオ出演多数。PTAでは学年総務部長。
シングル母。著書『PTAがやっぱりコワイ人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』。
http://ohjimsho.com/