母親と父親に「かかる圧」と「かからない圧」があるのを、じろじろ見て考える

PTAから考える、多様な生き方と働き方。

2017/10/20
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著者:大塚玲子
 

PTAがお母さんばっかりなのって、べつにお父さんの邪悪な陰謀によるわけではなくてね。

お母さんたち自身が「やらねばならん」と思い込んでいるから、そうなるんだよね。

という話を、前回書いたのですけれど。
どうしてそうなっちゃうのか、もう一歩、踏み込んで考えてみましょうか。

お母さんたちはどうも、自らそうしているフシがあるじゃないですか。

「お金にならない仕事は、女がやるもの」ということにして、お金になる仕事を、無意識に遠ざけてしまう。

気付くといつも、お金にならないほうの仕事を、選んでいる。

なんでそう思うかっていうと、自分にもそういう傾向があったからです。

まわりの女友だちを見ていても、それは感じることがあります。
バイタリティもある、仕事もできる。でもどうも、金になりづらいポジションを選択している。

もしこの人が男だったら、たぶんもっと自分を高く売りこむんじゃないのかな。
そういう女のひと、みなさんの周りにもいませんかね。

なんでだろうな、なんでそうしちゃうんだろうな~。

思いついたところを、あげてみますね。

#1「稼げない」と思い込んでいる

「できない」って思いこまされているところが、どこかあるのかもしれません。

たとえば高校を卒業して進学するにあたって、「女の子だから、これくらいの学校でいい」と言われるとか。

取引先や、上司から、「女の子には、これはできないよね」と態度で示されるとか。

言ってくるのは、男の人とは限りません。むしろ意外と、女性のほうが多いかもしれない。

身近な人から、テレビから、社会のいろんな場面で「女には、稼ぐのは不向き」と言われる。

「女に向くのは、家事育児」というメッセージを受け取る。

そんな意識にも上らない記憶の断片がいくつも積み重なって、本人もそう思ってしまっているのかもしれません。

#2「稼ぐべし」という圧力が男より弱い

ひとつめに書いたことの裏返し、でもあるのですけれど。

女の人たちが「稼げない」というメッセージを受け取るのと同じくらい、おそらく男の人たちは、「稼がねばならない」という圧力を受けています。

身近な人から、テレビから、女からも男からも、「男は稼いで、妻子を養うべし」というメッセージを受け取り続けている。

逆にいうと、女のひとには、その圧がかかっていないわけですね。

だから、ある意味、稼がずに済ませてしまうことができる。

金を稼ぐことって、みなさんご存知のとおり、ラクなことではありません。
もちろん家事育児だってラクじゃないけれど、それとはまた違った種類のしんどさがある。

意地悪な言い方をすると、女はそこから逃げてしまうことができるのです。「稼げなくてもいいや」ということで。

男だって本当は、回避したいかもしれません、もしできるものならば。
でも、男には「稼ぐべし」という圧が強くかかっているから、そうはいかない。

そこで、差ができてしまうんじゃないですかね。

「女はラクでいいね」って思うかもしれないけれど、そう単純な話でもありません。

女が貧困に陥りやすいのは、そのせいでもありますから、「回避できることの不幸」というものも、じつはすごく大きい。

*

シンプルにまとめると、こんなところでしょうか。

これって逆に見ると、「男の人がPTAをやらない理由」でもありますよね。

男には「稼ぐべし」というプレッシャーが強くかかる一方、「家事育児をやらなければいけない」という圧が少ないから、PTAをスッと回避できてしまう。

でもね、このままじゃやっぱり、お母さんたちはつらいですよ。

だっていますでに、多くの母親たちは、家事育児だけをやっているわけではないですから。かなりの人が働いて、お金を稼いでいますよね。

そうしたら家事育児PTAのほうを、もう少しお父さんにやってもらわないと、そりゃバランスが悪い。ムリがあります。

女も男も、放っておけば、圧のままに流れてしまいます。
だからそこは意図的に、流れに逆らわないといけないのではないですかね。

そんでもし、お父さんたちの家事育児PTA参入が進んできたらですよ。
その次は、母親たちのほうももうちょっと、自分の労働力を市場で高く売ることを考えたらいいと思うんです。

見てると、すごいお母さんたちいっぱいいますものね。
「この人、会社にいたら喜ばれるだろうなー」って人、PTAでもよく見かけます。

それに、お父さんたちが背負っている「稼がねばプレッシャー」も、大変です。
そこについても、分け合っていかないと。

ただし、順番には気を付けてくださいよ。

「オレ(父親)が家事育児をやる前に、お母さんがもっと稼いでくれないと」っていうのは、相当ムリな話です。

だっていま母親たちは、家事育児をやる前提だから、稼ぎのいい仕事に就けないんだもの。
パートや非正規のお仕事しか、ないんだもの。

お父さんが家事育児をシェアするのが、まず先です。
でないとお母さんたち、潰れちゃう。

もちろん、「いまの分担でいいんだ」ってご夫妻は、そのままお続けください。

でももし妻が、夫が、その分担にモヤモヤしているなら、「圧」の具合を見比べて、いい具合に調整する必要があるんでないでしょうか。

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大塚玲子
編集者、ライター。主なテーマは「PTA」と「いろんな形の家族」。各地で講演、テレビ・ラジオ出演多数。PTAでは学年総務部長。 シングル母。著書『PTAがやっぱりコワイ人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』。 http://ohjimsho.com/
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