PTAの9割がお母さんで会長さんだけお父さんなのを、どうにかしようと思ったら
PTAから考える、多様な生き方と働き方。

お母さんの園、PTA。でも会長だけはお父さん、てことが多いのですよね。
PTA会長の男女比率、どれくらいか、ご存知ですか?
内閣府の「男女共同参画白書」に、数字が載っているのです。最新(平成29年版)でこちら、ほぼ9:1ですね。
やっぱりね~、すごい比率ですね~。
ちっとも、男女が並んでません。
実際、筆者がこれまで見聞きしてきた範囲でも、こんなもんだろうなという印象です。
じつはごく稀に、比率が逆で、女性会長が9割という地域もあるのですけれど、そういうところを含めて、全国平均12.5%なわけです。
つまり、女性会長が1割を切る地域のほうが多いということ。
たまたま男性が会長になっているというよりも、「男性が会長をやることが、ルール化されている」ということも少なくありません。
筆者も4年前、自分のところのPTAの役員さんから「会長は男性っていう、代々の決まり(不文律)があるんだよ」と聞いたとき、その場で気を失いそうになりました。
何それ、いつの時代の話?
さすがにPTA会則にまでは書かれておらず、(多少は)ほっとしましたが、それにしても「代々の決まり」ってのはどうだ。衝撃でした。
ちなみに、平成20年の調査をみても、PTA会長の男女比率はほとんど変わりません。男性90%、女性10%です。
他方では、会長以外の役職や、一般のPTA活動に参加するのはお母さんばかりです。ちょうど「会長が男性ばかり」という現状と、対応するかのように。
こちらはちゃんとした調査がなく、あくまで筆者の感覚ですけれど、それこそ母親が9割くらいじゃないですかね。
これもたぶん、昔からほとんど変わっていなさそうな。
こんなPTAの状況を、いかに変えたものか? さんざん、考えてきたのですけれど。
もしかすると、いくらPTAだけいじくったって、なかなか変わらないのかもしれません。という気がしてきた。
だってね、たとえばこちら。6歳以下の子どもがいる夫婦の家事・育児時間の比率です。
ほら、これも大体9:1。PTA会長の男女比率とほぼ同じですね。
それって、偶然じゃないと思うのです。
男の人は、家事育児(PTAを含む)を1割くらいやって、会長(上に立つ仕事、責任を取る仕事)を9割くらいやるもの。女の人は、その逆。
そういう役割意識が、母親のなかにも父親のなかにも、深~く染みついているんじゃないですかね。
もうひとつ、こちらは婚姻の際に夫と妻どちらの氏を名乗るか、という比率です。
これなんか9:1どころじゃない。97:3ですよ。
婚姻届けを出す夫婦はほぼみんな、夫の姓を名乗っているということ。
さらにこちらは、離婚によるひとり親世帯のうち、母子世帯と父子世帯の比率です。
これまたほとんど、9:1です。つまり、離婚後に子どもの親権をとっているのは、ほとんど母親ということ。
ついでにこちらは、衆議院議員選挙当選者の男女比率です。
こちらも、ほぼ9:1。政治はほとんど男がやっているということ。
こういう、一個いっこが、わたしらの意識のあらわれですよね。
結婚するときは、女の人が男の人の苗字にあわせるもので、
結婚して子どもができたら、家事育児はお母さんがやるもので、
離婚したら、お母さんが子どもを引き取るもので、
政治は男にやらせとくもの。
そういう全てが、PTAの性別役割にもつながっているのですよね。
そりゃ、簡単なわけがない。
だからと言って、あきらめるわけではなく。
どれかひとつだけ、急にどかーんと変えることは難しいだろうけれど、全部を、ちょっとずつ、動かしていくことはできるはずだから。
地道にいくしかないのでしょうねぇ。

-
Twitterでフォローする
-
Facebookでフォローする
編集者、ライター。主なテーマは「PTA」と「いろんな形の家族」。各地で講演、テレビ・ラジオ出演多数。PTAでは学年総務部長。
シングル母。著書『PTAがやっぱりコワイ人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』。
http://ohjimsho.com/