2017/04/06 公開

【後編】「豊かに生きていくための効率化」・大宮エリー

失敗ヒーロー!

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全力で挑めないなら「断る」ことも真摯だと思う

――それはすごい。美術館の方も衝撃でしたでしょうね(笑)。

大宮 だけど「ゆりかごのように癒やされてほしい」と思って描いた絵だったから、「本当に寝るんだー!」って。私の感じた自然のエネルギーが、絵に転写されていたんです。

こういう絵を描くには、あくせくした中ではダメ。絵を依頼してくれた人にも失礼だし、そのためには他の仕事を断らなきゃいけない。それにぎりぎりの状況で他の仕事を引き受けたとしても、120%の力で挑めるかと言えば、ちょっと難しい。だったら私が断って、他の方にやっていただいたほうが真摯ですよね。目下、断ることの大切さを痛感しているところです。

――ちなみに絵の制作中に「失敗した」「修正しなきゃ」というときには、どのようにリカバリーされるのですか?

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大宮 失敗かぁ……。失敗が許されないという緊張感で挑んでいるからですかね、「やっちまった」ということがないんですね。もちろん、小さな試行錯誤はありますけど、絵に関しては一発勝負の感じが強くて。

失敗したら「とっさに策を練る」ことが大切

大宮 そもそも絵だけじゃなく、失敗って、日常的にもあまりないんです。というか、失敗って思ってないのかも。たとえば昨日も会食の時間に遅刻しちゃって、これも一つの失敗ですよね。とりあえず先方に連絡して、スタート時間を遅らせてもらったんだけど、向かう電車の乗り換えを間違えちゃって、さらに遅刻しそうだ! って。

――「リスケした時間にも間に合わない!」っていう。めちゃくちゃ焦りますよね(苦笑)

大宮 だけど焦っても仕方ないし、あらためて乗り換え案内を調べる時間ももったいないし。だからすぐに電車を降りて、タクシーに乗って。そうしたらリスケ後の時間よりも早く、先方よりも先に到着してしまって、逆に「すみません」とか謝られちゃって。「いやいや、もともとは私がすみません」って。

とっさの判断力ですよね。たとえばうちのスタッフでも、「ダブルブッキングしちゃいました。どうしましょう」って、焦って、落ち込んで。だけど失敗したものは仕方ないんだから、すぐにリカバリーの方法を考えないと。相手だって「失敗してしまいました、申し訳ございません」では困りますよね。「なので、A案とB案を考えました。いかがでしょう?」って、失敗した分、自分から落とし所を提供しないと前に進みませんし。

――しかし一つ失敗をすると、雪だるま式に失敗したりして……

大宮 それは失敗に浸っちゃっているから。迷惑をかけた相手のことを思えば、これ以上の失敗はできない、さらなる迷惑はかけられない。すると落胆の「どうしよう」ではなく、策を練る「どうしよう」に変わるはずですよ。

マネジメントとは「より豊かに生きるための効率化」

――相手を思ってこそのリカバリー。肝に銘じるべき言葉ですね

大宮 「打ったらすぐに構えろ」って、テニスの構えみたいな。この姿勢は自分のミスだけじゃなく、先方都合で発生したリスケや修正でも一緒じゃないですかね。「そんなこと聞いていないよー!」って思いつつも、文句を言うよりリカバリー方法を考えて、やっちゃったほうが早いから。

こうしたリカバリーやスケジュール管理って、効率化を目指していくことだと思うんです。相手への思いやりや仕事の進行だけじゃなく、非効率になってしまうと人間、どんどん荒んでいっちゃうものだから。

――効率化、まさにマネジメントに通じるフレーズですね。

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大宮 だからマネジメントって大事ですよね。たとえばスケジュール管理にしても、考え方はさまざまだと思います。スケジュールって振り返ってみれば、自分が歩んできた人生そのものですよね。先方都合でずれてしまうことも多々あるからこそ、「スケジュールは崩れるものだ」くらいに思っていたほうがいいし、その余白というか余裕があれば、自分でリセットしていけるというか。

さっき話した“断る”ってこともマネジメントの一つだし、お金だってそうですよね。「エネルギーを補給しに旅に出たいけど、お金はどのくらいかかる?」とか、「次の絵にはどのくらいの予算をつけよう?」「いや、この絵の予算は抑えて、次の絵にバーンと使ったほうが、きっとみんなも面白がってくれるだろう」とか。人って不死身じゃないし、お金も無尽蔵じゃない。そうした制限の中で、より自分が自分らしく、豊かに生きていくために効率化を目指すことが、マネジメントなんじゃないかなぁ。


4月22日より福井県「金津創作の森」で絵の展覧会を開催!

北陸で初個展となる「大宮エリー展This is forest speaking 〜 もしもしこちら森です」を開催。「森が語りかけてくるような、物語のような絵の展覧会を。」という大宮エリー氏の思いをもとに、なんと森の中にも作品を展示。4月23日の昼にはTOKYO No.1 SOUL SETの川辺ヒロシ氏によるDJと大宮エリー氏のライブペイントのコラボレーションが無料で味わえるイベントも開催予定!

会期/2017年4月22日(土)~6月11日(日)休館日/月曜日
時間/10:00~17:00(最終入場16:30)
会場/金津創作の森アートコアミュージアム-1、ギャラリー、野外
観覧料/一般800円(600円)、大学生500円(400円)、障がい者および65歳以上400円、障がい者介護者(当該障がい者1人につき1人)、高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金

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© Ellie Omiya, Courtesy of Tomio Koyama Gallery


【前編】「迷惑をかけるくらいなら、やめたほうがいい」・大宮エリー
【後編】「豊かに生きていくための効率化」・大宮エリー


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