【前編】「ラジオはテレビへのカウンター。他では聞けない番組にするための工夫」荻上チキ(評論家)

失敗ヒーロー!

2019/02/19
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気づきを与え合いながら、トークの化学反応を起こす

――インタビューを行う際、手応えのある答えを得るために工夫されていることはありますか?

荻上:インタビューを行う前提として、そのゲストが得意とする分野に対して、僕自身も「土地勘」がないといけない。ですから、ある程度リサーチは行います。こちら側を信頼してもらうことで、トークに化学反応が起こって、相手もより良いパフォーマンスを発揮できるんです。そういったトークの化学反応が起こった時には、必然的にいいインタビュー、いい番組になります。

また、インタビューする時には確認の意味を込め、例えわかっていたとしても「つまり〇〇ということですね?」だとか「じゃあ、○○という問題が生まれてしまいますよね?」と、あえて聞いてみたりもします。そのフレーズを入れ込むことで、相手側も「言われてみればそうだな」と思ってくれて、準備してきた答えだけではなく新たにお話をしていただけるということもあるんです。

準備された答えをただ単に話してもらうより、そうやってお互いに新たな気づきを与え合いながら進めていった結果、ゲストの方に「こんなに深く話せるとは思っていませんでした」と言ってもらえたりもします。

反対に「もっと話したかった」と言われる時もあるのですが、それくらいの感触の方が、聞き手の反応がよかったりもします。Twitterのタイムラインを追っていると大量にそのクラスターの人たちがやってきたと、反応が如実にわかるんですよね。

――まさに生放送のラジオならではのメリットですね。では、自ら意見を述べる際の心がけのようなものはあるのでしょうか?

荻上:何かの議題に対して答える時、「オピニオン」を伝えることと、「ファクト」を伝えること、どちらが重要なのかを問われる場面があります。ファクトのみを伝えて自ずと皆さんが考える場面もあれば、一見ファクトを共有できているようで、実はその一部分しか見えていない、こういった角度が足りていないという場面もある。ラジオの議事録を読んでいると、テレビでは映らないさまざまな情報があるんだなと思うことがしばしばあります。生の情報に当たっているからこそ述べられることを大事にしていて「他では聞けないことを教えてくれるから聞いてよかった」と思ってもらえるように、お土産を渡すような気持ちで情報提供することを心がけています。

他には、なるべく幅広いリスナーを意識することでしょうか。スタジオ内にもさまざまなジャンルに携わる人たちが出入りしながら僕のことを見ていますが、僕に対して批判的な人がいらっしゃったとしても動じないようにする。そうすることで、内輪向けになり過ぎず、「自己満足の論争マシーン」にならないように意識しながら話すようにしています。

あとは、とにかく間違えないことを心がけています。後から間違えたことに気づくと、本当に死にたくなってしまうので、自身の健康のためにも極力間違えないようにしていますね(笑)。

後編では…

会社員から評論家への転身、ラジオでのいい番組づくりに欠かせないコミュニケーション術や環境づくりへのこだわりなど、マネジメント術についてお話を聞かせていただきました。後編では荻上さん自身の失敗エピソードや「上司・部下」におけるマネジメント論、今後の理想のメディアについて伺っていきます。

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