中川翔子 “褒めてみるゲーム”が相手へのリスペクトに繋がる【後編】

失敗ヒーロー!

2019/12/11
Pocket

華々しい成功の裏には、失敗や挫折がある。その失敗エピソードから成功の秘訣をヒモ解く『失敗ヒーロー!』。前編に引き続き、“しょこたん”こと中川翔子さんが登場。今年8月、自身のいじめを受けた経験に基づいた著書『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』を上梓された中川さんですが、いじめ問題は、大人にも無縁ではありません。そこで後編では、いじめを乗り越えた中川さんだからこそ語れる、あるべきコミュニケーションの形に迫ります!

一人ひとりの個性を信じ、そして任せる

――前編ではいじめの経験についてお話しいただきましたが、著書で印象的だったのが、小学5、6年生時の担任の先生です。改めて、どのような先生だったのでしょう?

中川翔子(なかがわ・しょうこ)
1985年5月5日生まれ、東京都出身。2002年、「ミス週刊少年マガジン」に選ばれ芸能界デビュー、2004年に開始した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」をきっかけに大ブレイクを果たす。歌手、タレント、女優、声優、漫画など多方面で活動し、近年は自身の経験を踏まえた「いじめ・引きこもり」をテーマに多数の番組に出演。2019年8月には、いじめを受けた経験をもとにエッセイと漫画で綴った著書『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』を上梓。

中川翔子(以下、中川):私がいじめに遭う前のことですね。本にも書いた通り、5、6年生の時の先生には、本当に感謝しています。先生は女性で、当時、30代後半くらい。キャラが濃くて、誰からも慕われる先生でした。授業のスタイルも独特で、クラスメイトの背中ではなく、みんなの顔を見ながら意見を交わせるように、机をコの字型に並べて、授業をしていたんです。

それに先生は、生徒一人ひとりの個性を大事にしてくれました。私自身、あの先生がいなければ、自分の個性に気づけなかったと思います。私は勉強も運動もパッとしなくて、ただ、絵を描くことだけは大好きだったんです。先生は、楽しそうに絵を描く私の姿に気づいてくれていました。運動会のしおりとか、文集とか、何か挿絵が必要になると、「これは中川さんの得意分野ね。頼むわよ」と、私に任せてくれたんです。

――個性に着目するだけでなく、その個性を信じて任せるということですね。

中川:中学校では、教室で絵を描いているだけで「キモい」と罵られ、学校では絵が描けない。描くのが怖いんです。それでも絵を描くのが大好きだったし、自分の部屋で絵を描いている時だけは、いじめのツラさを忘れられました。楳図かずお先生の漫画を徹底的に模写して、「こんなに細かい線まで描かれていたのか! 気持ち悪い! すごい!」って、まるで写経のように無心になれましたね(笑)。

そのくらい夢中になれたのは、担任の先生のおかげです。先生が絵を描くことを任せてくれたから、私は単に絵が好きなだけじゃなく、「自分は絵が得意なんだ」と自信を持てました。得意なことって、その人にとっての宝物なんです。苦しさを覆ってしまうほどの力があるし、何かに取り組むにも「私は絵が得意だから、この方法で、この順序で進めよう」というように、筋道が立てやすい。実際に『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』も、得意な漫画から着手しています。

大切なのは、相手をリスペクトする気持ち

――自分の得意分野を軸にプランニングする。ビジネスにも応用できるお話ですが、学校だけでなく、大人の社会にもいじめがあるのが現実です。

中川:大人の場合、そもそも「いじめ」という言葉を使うこと自体が、間違いだと思っています。教員いじめなども問題になってますが、世の中には素晴らしい先生や、素晴らしい大人がいっぱいいて、かつての私のように、先生の言葉から自信や勇気をもらう生徒だっているんです。それなのに大人が誰かを攻撃しているなんて、子どもが幸せになれるはずがない。

ただ、大人の問題をいじめという子どもの問題に置き換えて考えてみると、大切なのは風通しだと思います。私は通信制の高校に通い始めて、席が自由に選べることに驚いたんです。驚いたし、席が自由なだけで心が軽くなりました。席が固定されていないから交友関係も固定されず、一人でいたい日には自然と一人でいられるし、誰かとおしゃべりしたい日には、その子の近くに座ればいい。毎日を流動的に過ごせるからですよね。中学時代から一転、どのグループが強いとか弱いとか、私の通った高校には、スクールカーストがなかったんです。

――社員の席を固定しない、フリーアドレスにも通じるお話ですね。では、大人同士のコミュニケーションについても聞かせてください。中川さんが上司の立場だとしたら、部下にどのような指導方法をとりますか?

中川:うーん。私は常に一匹狼というか、事務所のなかでもソロで活動してきてしまったので、なかなか難しい質問ですね。しかも私は、褒められるとイエーイとなるのに、叱られるとダメなタイプ(苦笑)。自分の性格に置き換えてみても、上司と部下の関係は一筋縄にはいかないなって、改めて考えさせられます。

ただ、立場や年齢に関係なく、相手をリスペクトすることって、絶対に大事。これはアラサーになってからできた、一回り下の女友だちから学んだことです。お仕事をきっかけにプライベートでも遊ぶようになったのですが、一人で過ごすのが好きな私には、めちゃくちゃ珍しいこと。でも、その子はよく私を誘ってくれて、映画を観に行ったり、浅草でお雑煮を食べたり、もう、感動しちゃったんですよ。「友だちと遊びに出かけるって、こんなにも楽しいんだ!」って。

マネたまご マネたまをフォローすれば最新記事をお届けします!
運営会社 | Copyright © kaonavi, inc. All Rights Reserved.