2017/04/10 公開

まさか、人前で怒ってませんよね? 心理学者が指南する「怒り方」のススメ

今日から役立つマネジメントメソッド 第三回

Pocket

1.人前では絶対に怒らない

しばらく前のことですが、インドネシアで働く日本人駐在員が、暗闇で現地人のグループから襲われたことがありました。犯人を捕まえてみると、なんと部下とその友人たち。彼らは、人前で叱責されたことを恨みに思ったのです。
 
インドネシア人は、プライドが高く、人前で恥をかかされることを何よりも嫌います。けれども、それはインドネシア人に限らず、日本人だってそうではないでしょうか。大勢の人が見ている前で怒られれば、腹が煮えくり返るに決まっているのです。たとえそれが正当な理由があったとしても、人前では絶対に怒ってはいけません。

2人きりなのであれば、私たちは理不尽な怒られ方をされても、それなりに耐えることができます。なぜなら、周囲に他の人がいなければ、少なくとも“メンツは潰されない”からです。自尊心が傷つけられないのです。
 
オーストラリアにあるクイーンズランド大学のエリザベス・ホブマンは、人前でバカにしたり、人前で嫌なコメントを言う指導者や監督には、だれも従いたくなくなるという指摘を行っています。
 
大勢の人がいる前で人を叱るのは、やめましょう。それは百害あって一利なし。単に自分が恨まれるだけで、何の利益もありませんし、ましてや指導効果、教育効果などは望めません。
 
グループやチーム全体に対して叱るのは、どうでしょうか。実は、これもあまり意味がないのでやめたほうがいいでしょう。米国コーネル大学ナターリャ・ザバロバによりますと、「みんなが悪い」「お前たち全員の責任だ」といった叱責は、あまり効果がないというのです。
 
なぜ効果がないかというと、グループ全体に向かって注意しようとすると、私たちは、“自分のことではない”と考えてしまうからです。「自分を除く、他の人に向かって注意しているんだろう」と考えてしまうのが、人間というものです。
 
注意したいのであれば、きちんと一人の人間に向かって、「あなたの、○○の点がおかしい」と言ってあげないと、私たちは自分が叱られたのだとは思わないのです。
 
学校でもそうです。先生が、「みんな、もっとたくさん本を読みましょう」と注意喚起しようとしても、生徒たちは聞く耳を持ってくれません。自分以外の人が注意されたと思うだけですから。「○○さん、もっと本を読みましょう」と、個人に向けて言ってあげないと、私たちは自分のこととして理解しないのです。
 
もちろん、そういう特定の個人への注意は、2人きりのときにやらなければなりません。そうしないと、叱られた人の自尊心を傷つけてしまうからです。
 
最近の人は、打たれ弱いというか、ちょっとした注意を受けても、すぐに会社を辞めてしまったりする、という話をよく聞きます。たしかに、若い人にも問題があるのはもちろんですが、上司のほうにも、「上手な叱り方ができる人が減ってきた」という側面もあるのではないでしょうか。若者だけが悪いとするのではなく、上司であるみなさんのほうも正しい叱り方ができるように気を配るべきではないでしょうか。

マネたまご マネたまをフォローすれば最新記事をお届けします!
内藤誼人
心理学者。有限会社アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。ビジネス心理学の第一人者として、実践的な心理学の応用に力を注いでいる。自然を愛するナチュラリスト。どんな女性にもやさしいラディカル・フェミニスト
運営会社 | Copyright © kaonavi, inc. All Rights Reserved.