マキタスポーツ/芸人・ミュージシャン 「超自己表現時代」は、ホンモノしか生き残れない【後編】

失敗ヒーロー!

2019/06/13
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好感度だけが売り物になる芸能界は不健全

――著書では、これからは「第一芸能界」と「第二芸能界」のバランスを意識するというお話をされていましたね。

マキタスポーツ:テレビを中心としたメディアでは、広告料がものをいいます。好感度や視聴率という指標が仮想通貨的に存在している。それが「第一芸能界」です。でも、その仮想通貨を使っていない人たちもいることが、ある時わかったんです。綾小路きみまろさんとか、モノマネタレントの人たちや、同郷の田原俊彦さんとか。そうした自分のコミュニティを作って、原始的なモデルで芸能活動をやっている人たちの世界を「第二芸能界」と名付けました。

この2つの芸能界のバランスをとり、上手く循環させていける人たちが一番たくましいですよね。好感度だけが売り物になり、恋愛スキャンダルごときでバッシングを受け違約金をとられる第一芸能界的な働き方だけでは不健全だと思います。

――とても興味深い発見ですよね。

マキタスポーツ:僕の場合、第一芸能界では消費されるおじさんとしてちょっとでも流通できた。じゃあ、第二芸能界では何をやっていくべきかを考えた時、やっぱり原点であるオトネタライブだなと。オトネタはしばらく休んでた時もあったんですが、久しぶりにやった時、終わった後の充実感がすごかったんです。丸3ヶ月くらい準備にかかるし、その間の仕事も調整しなければいけない。かつ、お金にもなりません。独演会だから何もかも一人でめちゃくちゃしんどいし、何がおもしろいかもわからなくなる。でもその苦しさを超えてやり切るんです。

そうやって自分の活動のコアをしっかりと保てるオトネタライブで、第二芸能界を回していきたい。そのマネジメントは個人事務所でやっていて、そのライブが儲かって第二芸能界の割合を増やしていけたら一番いいんですけどね。

「超自己表現時代」では、ホンモノが貴重になる

――テレビなどのマスメディアだけでもやっていけそうであっても、あえてオトネタを続けて第二芸能界を担保していくわけですね。

マキタスポーツ:そうですね。今は「超自己表現時代」なので、マガイモノでもいくらでも発信できます。だからこそ、これからの時代は、ニセモノかホンモノかが非常に重要だと思います。例えば、ミュージシャンで俳優の峯田和伸くんは、俳優として生きていけそうでも決して曲作りやライブはやめなかったじゃないですか。ミュージシャンとしても一流な証です。そのホンモノの部分があってこそ、俳優としても存在感があるというか。だからこそ自分もオトネタという看板をしっかり立てていかないと、と。

――役者としてのお仕事はいかがですか?

マキタスポーツ:僕の拠点はオトネタですが、役者の仕事もライブに結構生かされていると思いますね。インタビューでしゃべってる時や家族と過ごしている時でも、演じているんだなと役者をやってみてわかったんです。芸人としての自分がデフォルトな状態というポーズでやってきましたが、それはつまらないなと。デフォルメしていびつにしていったほうがおもしろいなというのは、芝居してわかったことです。だって、香川照之さんの顔を見てください、現実世界にないですよね。でもおもしろいじゃないですか。嘘を拡張できるお芝居の醍醐味が、お笑いの表現や音楽に効いてきているんですよね。

――第一芸能界・第二芸能界の仕事が影響し合っていると。

マキタスポーツ:はい。僕は芸人、ミュージシャン、役者などいろいろやってますが、実は全部つながっています。芝居で学んだことが音楽へ、音楽で学んだことが文章へ、といったように。表現方法が違うだけで、僕はずっと同じことを思っていたんだなとわかってもらえると思いますね。

――今後、挑戦していきたいことはありますか?

マキタスポーツ:まずは復活したオトネタライブを1年に1回のペースで10年続けること。あとは、自分は執筆もするし、演技もするし、音楽も作るから、その全てを詰め込んだ映像作品にも挑戦したいと思っています。日本社会をコメディとして描いて、海外資本で作り日本に逆輸入したいですね。日本の芸能界ではタブーは破れないので、「日本でどうして公開されないんだ!」って抗議運動が起きるのを、海外から温かい目で見ていたい(笑)。ゆっくり実現できたらいいなと思っています。

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