2017/06/27 公開

職場におけるLGBT当事者って? 会社は何をすればいいの?

「働く」を考える。

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近年、外資系企業や大手企業を中心にLGBTの採用を積極的に行う企業が増えています。そうした傾向もあり、会社という組織がLGBT当事者にとって働きやすい環境を整えるのはもちろん、現場で働く非当事者もLGBTについて理解を深めていくことが求められているのかもしれません。

一方で「いったい何から学び始めたらいいんだろう」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。そんな思いから、まずはLGBTとはどんな人たちなのかを知るべく、2人の性的マイノリティの方にお話を伺いました。

LGBTとは?

L…女性の同性愛者、レズビアン。
G…男性の同性愛者、ゲイ。
B…同性も異性も愛せる、バイセクシャル。
T…心と体の性別が一致しない、トランスジェンダー。

LGBTとはレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字をとった性的マイノリティを表す言葉のこと。LGBTのうち、レズビアン・ゲイ・バイセクシャルは「どの性を恋愛対象とするか」という「性的指向」を示し、トランスジェンダーは「自分がどの性を認識するか」という「自認する性」のことを示します。

たとえば、最近話題になったある病院による問診票 のおかしさは、「性的指向」であるレズビアン・ゲイ・バイセクシャルと「自認する性」であるトランスジェンダーを混同していることにあります。

結果を出す人間を、「性」に関係なく評価してほしい:トランスジェンダーのAさんの場合

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最初にお話を伺ったのは、体は男性で心が女性というトランスジェンダーのAさん、27歳です。家族と職場にはカミングアウトしていないが、ゆくゆくは性転換手術をしたいと考えているそう。

――ご自身がトランスジェンダーだと気付かれたきっかけを教えてください。

Aさん 幼稚園くらいのときですね。当時はまだ男の子が好きとかは分かっていなくて、でも、ピンクとか女の子っぽいものが好きでした。女の子の孫が欲しがっていた祖母に、いつもピンク色の服を着せられていたんです。でも、それで幼稚園に行くと、「男がピンクを着るのはおかしい」って言われてしまって。そうやって自分の好きな色を否定されることが、子ども心に納得がいかなかったんですよね。小学校に上がるときも、男は黒のランドセルって決められていることに、なんとなくモヤモヤとした感情を抱いていました。

――最初はもやっとした違和感だったんですね。恋愛対象が男性だとはっきり認識したのはいつ頃ですか?

Aさん 小学校3年生くらいのとき、初恋の相手が男の子でした。もうその頃から女の子と遊んでいるほうが楽しかったし、恋バナして盛り上がるのも女の子でしたね。でもまだそのときは、自分の性別に対する認識はふわふわしていました。

小学校高学年のときにインターネットが普及しはじめて、成長期にはホルモンバランスの関係で一時的にどちらも好きになることがあるという情報を得たんです。だったら自分も、中学生くらいになれば女の子を好きになるかもしれないと思って、実際に彼女を作ったりもしました。でも、結局は好きになれなかったんですよね。親友的な存在の子への友情を恋愛感情に置き換えただけで、手をつなぎたいとかは一切思えなかった。それは高校、大学へと進んでも、ずっと変わらないままでした。

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――恋愛対象が男性であることを自覚しながらも、異性愛者として過ごしていた時期があったんですね。Aさんが初めてカミングアウトされたきっかけは何だったんですか?

Aさん 大学生のときですね。すごく仲良くしていた女の子がいたんですけど、何がつらいって、恋愛の話になったときに何も答えられないことなんです。隠し事をしている後ろめたさみたいなものもあるし、「この子ともっと仲良くなりたい、ずっと友達でいたい」と思ったので、初めて打ち明けました。

――そのときの相手の女の子の反応はどんなものでしたか?

Aさん 自分の話し方も女っぽいし、薄々気づかれているだろうと思っていたら、「え、そうなの!?」ってすごく驚かれてしまって、その反応に逆にこっちも驚いて。でもたしかに過去を振り返ると、女っぽいからっていじめられたこともなかったんですよね。珍しいケースだとは思うのですが。

「性」に不公平な社会。もっとフラットに評価してほしい

――職場ではカミングアウトされていないとのことですが、職場でカミングアウトするためのハードルみたいなものは感じられますか?

Aさん そうですね。最近、キャリアチェンジで同業他社に転職したばかりなんですけど、面接のときにカミングアウトしたことで採用結果が変わるかもしれないって考えてしまって、怖くて言えなかったです。

それにトランスジェンダーの場合は、カミングアウトするか否かの選択だけじゃなくて、性転換手術を受けるか否かの選択もあるんです。手術を受けるとなると、それなりの期間、仕事を休まないといけないし、その後も受け入れられるかわからないですからね。まだまだ理解が足りない気はします。

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――実際にAさんは性転換手術を希望されていますが、具体的にいつまでにするとか決めていられますか?

Aさん 体力的なことを考えて、30代前半までにしたいと考えてます。聞いた話では、あまりにも若いうちに手術を受けてしまうのもリスクがあって、社会人経験やスキルが足りないせいで一般企業に入れず、キャバクラや性風俗でしか働けないという人も多いんです。僕は自分のやりたい仕事をして自分らしく生きていきたいので、まずは一人の人間として、仕事で結果を出すことが最優先だなと。そうすれば、手術をしても変わらず同じ職場に復帰できると思うんです。そういう人材になれるよう、いまから基盤を作っておいたいですね。でも正直なところ、手術にはまだ迷いがあります。

――それはどういった理由で?

Aさん 女性の社会進出といいつつも、やっぱりまだ男性が出世しやすい社会だよな、と感じるんです。もし自分が女性になって、将来誰とも結婚しなかったら、男としてもっと仕事すればよかったって思うかもしれない。男であるメリットを放棄するのが怖いんです。でもこれってすごく不公平ですよね。

――そういう風潮自体が、一般企業に勤めるLGBT当事者の方が抱える問題なのかもしれませんね。

Aさん いまLGBT枠を設けて採用活動をしている企業もありますけど、それもかえって失礼というか。LGBTだろうがなんだろうが、仕事ができる人はできると思うので。特別視するんじゃなくて、世の中全体がもっとフラットに、平等になってほしいと思ってます。

職場では「カミングアウト」できない

――私はストレートなのですが、性的マイノリティの方が職場にいる場合、現場で働く人にとっては「どういう風に接したらいいんだろう」と戸惑う部分もあるんじゃないかと思うんです。

Aさん あぁ、それも職場でカミングアウトできない理由の一つですね。やっぱり偏見は持たれるだろうな、と。でも、同性愛者の中にも仕事とプライベートを完全に分けようとする人とか、恋愛一つをとっても同僚は恋愛対象外とか、職場恋愛をしないとか決めている人って結構いて、そういう部分は異性愛者も同性愛者も変わりませんよね。

あとは上の世代の人だと、「同性愛者イコールHIV」っていうイメージがまだまだ払拭されていなくて、それも面倒くさいです(笑)。世代や環境によって、見られ方は違うなと思いますね。

――たしかに、そんなふうに言われていた時代もありましたね。いまは情報が増えたことで、若い世代の間ではどんどんイメージが更新されてますよね。

Aさん そうですね。ただ、テレビに出ているオネエタレントみたいに商業的に明るく振る舞っている人たちもいるけど、そっとしておいてほしいという人もいるので…。「ゲイだから面白いこと言えるんでしょ」みたいに雑に括られるのは、ちょっと困りますね(笑)。

いまは同性愛者向けの出会い系アプリもあって、異性愛者向けのそれと遜色ないんです。プライベートの面ではLGBTはどんどん生きやすく、面白い時代になってきているなと思っています。

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