草野絵美 結婚はリスクヘッジ。創作も育児もチームプレイでいい【後編】

逆境ヒーロー!

2020/05/28
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結婚は分散リスクにもなる?

――頼るべきじゃない。そうした言葉が重くのしかかり、人を頼ることに引け目を感じてしまう人も少なくありません。

草野:そうですよね。でも、引け目に感じる必要なんて、全くないと思うんです。もちろん、周囲の助けに対する感謝の気持ちは忘れちゃいけないし、そもそも人間関係って、お金以上に大事な資産だと思うんです。多様な人的ネットワークは自分の想像力を育むし、協力し合うことで実現できることも増えます。全ての人が結婚すべきだとは思わないけれど、結婚したパートナーと共働きすることも、実現できることを増やすための一つの術だと思っていて。自分が新しいことに挑戦したくなったり、病気で働けなくなったりしても、パートナーの存在によって、家計のリスクを分散できるというか。これは依存とは違うと思うし、家族という共同体を作ることの一番の醍醐味なんじゃないかな。

頼ることはネガティブな行為じゃないし、周囲の助けが必要なのは、自分が未熟だからとは限りません。近代以前の日本では「村全体で子どもを育てていた」なんて話もあるし、人は元来、支え合って生きてきたと思うんです。一人きりで生きていける人間なんて、この世には存在しない。そう考えれば、引け目は感じなくていい。どんどん頼ればいいと思う。今は私が育児をする立場ですが、いずれ年老いた時には、今度は私が息子を頼る立場になるかもしれないし。やっぱり、支え合いだと思うんです。

――草野さんは1年ほど前から、マネージャーさんと共に活動されているそうですね。これも一種の「頼る」ですが、活動に変化はありましたか?

草野:マネージャーさんのたちおかげで、自分の活動に集中できるようになりました。苦手な書類整理もそうだし、お仕事の折衝に関しても、本当に助けられています。私個人だと気が回らないこともあるし、ついつい恐縮して、相手に圧倒されてしまうことも少なくなくて。そこをマネージャーさんは、私のことを客観視しながら交渉してくれます。そうすると私は、制作に集中できる。その客観視をもって、「草野絵美をどう見せるべきか」を教えてくれた存在です。

そもそもアーティスト活動の原点となったSatellite Youngからして、チームを組むことがスタートライン。美大も出ていない、技術もない私には、音楽制作は無理だと思っていました。それがユニットを組むことで形にできたんです。ミュージックビデオの監督さんやアーティスト写真を撮るカメラマンさんたちと組むことで、より世界観を具現化できました。アート作品にしても私が練り上げた構想を実装してくれるのは、一緒に創り上げるパートナーである、技術者の山岡潤一さん。発注するとか、お願いするというより、人を巻き込んで一緒に活動しているような感覚なんです。あまりに自分一人だとサボってしまうし、そもそも一人で作り上げることに興味がないのかもしれません。

苦手意識から個性が浮き彫りになる

――お願いするというより、一緒に活動する。そうした考え方をすると、意識が変わりますね。そして草野さんのお話を聞いていると、自分の得意分野を知ることの重要さが腑に落ちます。

草野:でも、私も何の疑いもなく「これが得意!」という自信が持てたわけじゃないんです。それよりも苦手なことが明確だったことのほうが、大きいのかもしれない。苦手なことが明確だったからこそ、世界観を作ってプロデュースしたり、作詞からアートのコンセプトを作ったり、自分の得意分野が見つかったような気がします。やっぱり私は、苦手なことに関しては本当にダメで(笑)。でも、そこで悲観的にならず、苦手じゃないことに没頭すればいいと思う。そうしていれば、やっているうちに楽しくなってくる。「これをやっている自分が好きだ!」、つまりは「得意」に変わる時が来るんです。

私自身、やっと割り切れるようになってきたところ。アーティストとして活動していますが、自分に対して自信満々かといったら、全くそんなことはなくて。スポーツ選手やYouTuberのように、ある分野で超一流の活躍をしている人たちを眺めながら、「私には何のスペシャリティもないし」なんて、ついつい落ち込んでしまう。でも、誰しもがわかりやすいプロフェッショナルになれるわけじゃない。複数の分野を掛け合わせてもいいし、何かテーマを持って、異なる活動を並行してやってみてもいいと思う。自分の好きを資本にする生き方を目指すなら、とにかく実績を積み重ねて、行動し続けることが大事。それが、生きる糧になるんです。

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