草野絵美 結婚はリスクヘッジ。創作も育児もチームプレイでいい【後編】

逆境ヒーロー!

2020/05/28
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成功の裏には、逆境が隠されている。そんな逆境をはねのけ活躍する“インディペンデントな人たち”の成功の秘訣に迫る、『逆境ヒーロー!』。前編に引き続き、アーティストとして活動する草野絵美さんが登場。草野さんは大学在学中に結婚・出産を経験し、現在は7歳の男の子を育てています。そこで後編では「仕事と育児の両立」にフォーカス。すると両立するための姿勢のみならず、自分らしく生きるための極意まで見えてきました!

直感は究極のロジック、過去の経験が生み出す

――前編では「自分の価値を資本に生きる」というお話がありましたが、自分の価値を見つけられない人もいます。どうすれば、見つけられるのでしょう?

草野絵美(くさの・えみ)
1990年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部在学中に音楽ユニット「Satellite Young」を立ち上げ、歌唱・作詞作曲・コンセプトワークを担当。同じく大学在学中に結婚・出産を経験し、音楽ユニットとして活動するかたわら、広告会社に新卒入社。その後、アーティストして独立し、最新作は遺伝子操作や消費サイクルを題材に倫理問題を問いかける「Insta Baby Generator」、水中ドローンを用いた移動式サンゴ「Floating Coral」など。現在は東京藝術大学で非常勤講師を務める。

草野絵美(以下、草野):自分の価値というと大げさに聞こえるだけで、単に自分の好きなこと、得意なことが、そのまま自分の資本になると思うんです。でも、確かに「好きなことが見つからない。得意なことなんてない」という声も聞きますよね。ただ、「見つけなくちゃ」と悩むより、大事なのは直感じゃないかな。というのも、直感は究極のロジックだと思っているんです。何の理由もなく、感覚のままに「これが好き!」と思っていても、実はその裏に、蓄積された論理があるというか。

そう考えると、まずは多くのインプットをすること。いろいろなことを経験して、学んで、蓄積させていく。この経験や知識の蓄積が、直感の基盤になると思うんです。毎日のように同じお店のハンバーガーばかり食べていても、味覚は育ちませんよね。いろいろな食事をしてこそ、「私はこれが好き!」というお気に入りが見つかるというか。私自身は直感型の人間だと思うし、大学在学中に結婚や出産をしたのも、会社を辞めたのも直感がベース。それでも直感には、過去から蓄積された経験や知識が反映されていると思っていて。

――草野さんは育児に関しても、インプットを大事にされていますね。一年間に400冊以上もの絵本を読み聞かせたとか。

草野:そうですね。今は息子も7歳。自分で本を読めるようになった今も、読み聞かせを継続しています。公立の図書館では一人6冊まで本が借りられるので、2週間おきに図書館に行くのがルーチン。私と夫と息子の三人で、計18冊の本が借りられるんです。図書館に通い始めたのは、息子が4歳くらいからかな。この時期から「前とは違うお話が聞きたい」と言い出して。当時は息子が寝る前に、一晩に2冊の本を読み聞かせていました。息子はもちろん、私自身のインプットにもなりましたね。

ファクトのない精神論には惑わされない

――草野さんにはデジタルのイメージがありました。図書館とは、ちょっと意外です。

草野:もちろん、電子書籍やオーディオブックも活用しますが、息子には自分で本を手に取って、自分でお気に入りを見つけ出すような経験をさせたくて。それにネットに情報が氾濫している今だからこそ、私は一次情報を大事にしたいんです。複数の情報源でファクトを検証して、本当の情報と向き合うことって、すごく大事。人間は感情的で、ドラマティックな出来事を好む傾向にありますよね。いつも惑わされる危険をはらんでいます。

特に子育てに関しては、不安になる要素が多いからなのかな。検証されていない、謎の定説がまかり通っていたりして。働くママを悩ませる「3歳児神話」も、その一つだと思います。3歳までは保育園に預けちゃいけない。母親が育児に専念しなければ、子どもに悪影響を与えるという。ここ数年で非科学的だと言われていることでさえ、政治家の方が平気で発言されているのを見かけると、ヒヤヒヤしてしまいます。

本から厚みのある情報を得るって、重要なこと。ネットの世界は自由な分、意図的に誇張したり、根拠のない情報も多いのが現状です。私自身、ネットの情報を参考にすることもありますが、取捨選択の基準は、やっぱり一次情報であり、最新のエビデンスがあるかどうか。発信者のバイアスがないものなんて存在しないと思っているので、冷静に事実だけを抜き取るように努力したいし、時には論文まで読みます。面倒ではあるものの、確かな情報を得ることは、自分自身の安定にもつながるから。

――フェイクニュースやデマに疑心暗鬼になることが多い昨今だけに、より心に響きますね。「3歳児神話」についても納得ですが、アーティスト活動と育児をどのように両立しているのでしょうか?

草野:それに関しては、周囲の人たちのおかげです。特に新卒一年目、広告会社に勤めながら音楽制作をしていた時期は、本当に疲弊していて。当時は息子も今以上に手のかかる時期だったから、常に睡眠不足の状態。それでも乗り越えられたのは、やっぱり周囲のサポートがあったからです。父も母も妹も育児を手伝ってくれたし、身内に頼るのが難しい時には、ベビーシッターさんをお願いしたりもして。「小さいころは母親が一番。周りに頼るべきじゃない」という論調もあるけれど、そうした精神論に傾倒していたら、乗り切れなかったと思う。

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